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復讐3話


 「悍ましい………!」



 誰かがそう言った。

 しかし、怒りと絶望で目の前が見えなくなっているユイトの心には届いていなかった。



 「殺せないとは、存外厄介なものだ。だが、我々はついにお前を殺す方法を見つけた」


 「ふーっ! ふーっ!」



 ドロドロの俺の手はぐちゃぐちゃとした巨大な肉塊へと変貌していく。

 不死者の名を持つこのユニークスキルは文字通り死なないスキル。

 頭を割ろうが、心臓を貫こうが、魔力が潰えようが、全身を細斬りにされようが死ぬことはない。

 このドロドロはユイトの細胞だ。

 不死なのは、この細胞の変幻自在さ故のもの。

 このように姿を変え、攻撃することも可能。

 魔力を纏うことができるので非常に強力な武器となり、近距離遠距離で攻撃可能だ。



 「グレイブよ、疾くこのバケモノを始末せよ。見るに耐えん」


 「御意」



 グレイブは、剣に何かを纏わせ始めた。

 しかし、 ユイトには関係ない。

 接近さえすればこの細胞で押し潰し、握りしめることができる。

 グレイブも所詮は人間。

 魔王ほど厄介ではない。

 それが間違いだったのだ。



 「うあああああアアアアアアアア!!!!!」



 脚に魔力を貯め、一気に弾いて前に飛んだ。

 ユイトは全身を細胞で囲い、外側に無数の針を作った。

 内側では、攻撃の準備。

 攻撃して出てきたところをさらに剣で防ぎつつ1m圏内に入ったところを捉えて絞め殺す。


 だが、それらは全て無駄となった。



 パァンッ!



 「え?」



 外壁となっていた肉塊が一瞬で消え去ったのだ。



 「お前には、俺の能力を教えていなかったな。これが私のUS《無ニ帰ス者(バニッシャー)》だ」



 USを無効化するUS

 US殺しのUSだ。


 ズブッ


 「つまり、刃の通っている今の貴様は不死ではない」



 グレイブは剣を振り上げ、再び腕を斬り落とした。


 「ッ〜〜〜〜〜〜アアアアアアアアッ………!!!!」



 「再生もしない」



 斬られた腕が生えてこない。

 本当にUSを無効化されたのだ。


 「そして、」


 「ぐッ………ぁあ」


 グレイブは胸に十字の傷をつけた。


 すると、周りを二十人の魔法使いが囲んだ。

 ユイトがのたうち回っている間に何かを詠唱する。

 次の瞬間、巨大な魔法陣が浮上する。



 「あと1週間。それでお前はUSと全てのスキル、ステータス、レベルを失っていくだろう」


 「ぐああああああああああああ!!!!」



 魔法陣から電撃のようなものが発生し、ユイトを苦しめた。


 やがて攻撃は止み、力なく横たわるユイト。



 「地下牢へ運べ」


 「はっ!!」


 衛兵達が、ユイトを地下牢へ運ぶ。

 ユイトはまだ辛うじて意識が残っていた。

 


 「う………う、ううううう………!!!!」



 グレイブを睨みつけた。


 ——————溢れる。

 恨みが。

 憎しみが。

 怒りが。


 その黒い感情は突如として爆発し、地を這い、空を侵しながら、一気の放たれた。



 「「「っ………………………!!?」」」



 もう何をする気力もないはずの体から、背筋が凍りつくようなとてつもない殺気が放たれた。

 しかし、やはり動くことは出来ず、ユイトは気を失った。

バニッシャーを

《消シ去リ壊ス者》

から

《無ニ帰ス者》

へ変更しました


2019年4月9日

改稿作業

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