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復讐2話


 「なん、で………」



 ユイトは混乱していた。

 何故いきなり殺気を感じたのか。

 何故彼女はあんなものを持っているのか。

 何故彼女の視線はあんなにも冷たいのか。

 


 「キスでもされると思っていましたか? おめでたい方ですね。あんな醜いUS持っているだけはあります」


 「は———————————————」



 突然頭が真っ白になった。

 胸を刺されるような痛みと全身を引き裂くような悲しみだけ、はっきりと感じていた。

 受け入れてくれていると思っていた人からの突然の拒絶。

 それは、今の今まで抱いていた希望を、一気にどん底まで突き落とした。



 「姫、説明はいるんじゃないの? 困ってるじゃないか? 俺のし・ん・ゆ・う、が! あっはっはっは!」



 ユージンがはアリシャの横に行くと、彼女の肩を抱き寄せた。



 「ユージン?………何して………」


 「ユージン様、そうだった。こんなマヌケに説明無しじゃ、可愛そうですものね」


 「ああ、そうだ」



 そして、 ユージンは、ユイトの目の前でアリシャとキスをした。



 「ぁ…………」



 何がおきてる?

 ユージン?

 アリシャ?

 いつからそんな、

 え?

 アリシャ?



 「っは………ワリィなユイトォ………アリシャは俺の女なんだわ。いやー、苦痛だったぜ? あんな醜いUS持ちが自分の女をやらしい目で見てたところ後ろから眺めてるのはよォ」



 「醜、い」



 また拒絶。



 「みんなも醜いと思うよなぁ!? 」


 ユージンがそう言った瞬間、




 醜い、気持ち悪い、あんなものを持ってるなんておぞましい、なんであれが勇者なんだ? 穢らわしい、吐き気がする、きもいきもいきもいきもい。



 貴族、王族、兵士、そして友人までもが、自分を拒絶し、蔑んだ。

 ユイトはその事実に耐えられずにいた。



 「み、みんな一体どうしたんだ? なあ、ユージン、冗談だよな?」


 「うわっ、まだ信じてねーの? 気持ち悪ィなァ………」


 「アリシャ、俺を好きっていったのは嘘じゃないよね?」


 「嘘に決まってるでしょう? 私が愛してるのは、ユージン様ただ1人」



 アリシャはユージンの腰に手を回し、体をぴったりつけた。



 「リーリア、君は、君は俺の味方だよな………」


 ユイトがリーリアに近づこうとした、その時。


 「いやっ!」


 「え?」


 「触らないで、バケモノ」


 「——————」




 ユイトの中で、何かが壊れた。





 「ユイトよ………」


 「し、しょう?」



 彼がユイトの師匠、グレイブだ。

 グレイブはユイトを見下ろして、無感情にこう言い放った。



 「お前はお払い箱だ。とっとと死ね、このバケモノが」




 「ぅ、あああああああああ!!!!!!!!」



 ユイトは、剣を抜いて、グレイブに斬りかかった。



 「ふん、冷静さを欠いたバケモノの剣など、取るに足らない」

 




 ズバッ!






 血が弾ける。

 何かが欠けた。

 何かがなくなり、代わりに熱を持った何かを感じた。

 熱い、熱い、熱い、熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。


 腕が飛んでる。

 俺の、腕が、血を撒き散らしながら、飛んでる。


 俺の、腕——————






 「ぃ、ィィいッぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」



 

 ユイトは腕を押さえて、痛みを嚙み殺そうとした。

 しかし、痛みは抑えきれず、ユイトはかつてない痛みに苛まれた。



 「無様だな、バケモノ。冥土の土産だ。最後に余が直々に貴様にこの状況を教えておいてやろう。貴様のUS。実に強力だ。強力だが、些か醜すぎる。今、映像を外に流し、書を配布し、国中にお前の真の姿が知らされている」


 「う、そだ………」


 「残念ながら本当だ。貴様は忽ち国の英雄から国の害虫へと成り果てるだろう。代わりにこのユージンがアリシャと結婚し、勇者として国に居続ける。せめてもの情けだ。お前はここで楽にしてやる」



 グレイブは剣を上に振り上げた。



 ダメだ死ぬ。

 何で俺がこんな目に、

 いやだ、いやだいやだいやだいやだいやだいやだ!





 ズズッ………!





 「ッッッ…………ッ!!!!」


 「出たな………《終無キ者(イモータル)》」


 ユイトの腕からドロドロとしたものが溢れ出てくる。

 それはグレイブの剣を受け止め、瞬時にそれを溶かした。


 

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