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復讐20話


 銀髪の少女。

 今の白と黒の混ざったようなユイトの髪と違い、綺麗な銀だ。

 だが、本来美しかったであろうその髪は、ひどく痛んでいる。


 顔は、俯いているので、あまりよく見えない。

 ただ、口元や輪郭を見た感じ、かなり整った顔をしている。



 「あ、かるい………な、んで?」



 少女は目を忙しなく動かした。



 「お、おい! 大丈夫か!? ボロボロじゃねぇか!」



 ユイトは慌てて鎖を引きちぎろうとした。

 すると、


 

 バチンッッ!!



 「ッッッ、ぅぐああああッッ!!!」



 弾けるような音と共に、全身を突き刺すような凄まじい痛みがユイトを襲った。



 「あ、っぐ………ぃっ」



 マジかよ………腕ズタズタに潰された時と同じくらいの痛みだったぞ………!!


 拷問を受けてなかったら耐えられてなかったと思いつつ、少女の顔を見た。

 すると、



 「さわ、る、な………ケガ、する………」



 名も知らない少女は、傷だらけの体でユイトを気遣った。



 「け、が………ふぅーっ…………」



 ユイトは何とか痛みを堪えて呼吸を整えた。



 「ハンッ、お前の方が酷いだろう………お前、誰だ?」


 「私………私は、《在ラザル者(アンノウン)》」


 「アンノウン………unknownか? いや、意味わかんねーよ。聞き方が悪かったか? 俺は名前を聞いてんの」


 すると、少女は困ったような顔をした。



 「な、まえ? 私、は《在ラザル者》………それ、いが、い、知ら、ない」


 「名前がない? だからunknownなのか………? まあ、いい。何で繋がれてるんだ」



 ユイトが、そう聞いた瞬間、少女の様子が急に変わった。

 さっきまで微動だにしなかったのに、いきなり鎖をガチャガチャと揺らして激しく動き始めた。



 「なんで………なん、で………わた、しは………私、は、わっ、悪くな、いのに………」



 少女はブツブツと何かを呟きだした。

 そして、



 「み、んな………う、らぎ、った……」




 「——————————————————!」








 俺は今、どんな顔をしているだろうか。

 同情しているような顔か?

 嘲るような顔か?


 それとも、憤った顔か?




 裏切られるの辛さはよくわかる。

 ついこの前味わったばかりだ。

 だからこそ、頭の中がぐちゃぐちゃで、どう反応したらいいのかわからなくなる。




 しばらくして、普通に戻った少女が、話しかけてきた。



 「ど、うした………?」


 「お前、どれくらい繋がれてるんだ?」


 「………もう、わかん、ない………もう、数え、る、のをや………めた………でも、そ、と、時間は、あま、り経っ………てない、とおもう」


 少女がここに来た時の世代を聞いた様子では、今から2年前だ。

 それをなんらかの方法で


 見てわかるのは、途方もなく長い年月、彼女が虐げられたということだ。

 傷はどれも深く、明らかに普通じゃない。

 女の子が耐えられるとは思えないほど、酷い有様だった。



 「………」


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