復讐16話
「もう、一月も経つんだな」
ユイトが洞窟に潜って早1ヶ月。
髪がボサボサになり、白と黒が混合したような髪になった。
ストレスから一時は7割は白になっていたが、この一ヶ月でどうにか半々になった。
ユイトは未だに洞窟の中を散策している
食料は、中にいるモンスターを食べて過ごしているのだ。
水は、なんとか見つけた水源の水をろ過して飲んでいる。
「肉がマズイのは困りモンだが、なんとか生きていける環境だ」
ここのモンスターは非常に強力で、皆魔界に生息するレベルだ。
そして、もれなく全員凶暴アンド小賢しい。
以前戦ったレオサンダーも妙に頭がいいと思ったらここのモンスターだからだった。
ちなみに、ユイトは自分の意思でここに残っている。
ユイトは、もういつでも出られるが、何となくここを散策しているうちに、ここのことがわかり、興味が湧いたのでここに滞在することにしたのだ。
「いやァ、遺跡の文字が日本語だった時はマジで驚いたわ」
遺跡を探索していると、壁画やボロボロの古文書が置かれてあった。
そしてそれらは、なんと日本語で書かれていたのだ。
「この1ヶ月でよーくわかった。この国がどれだけ薄汚いか。《復讐者》がどれだけの屍の上に成り立っているのか」
ユイトがここ一ヶ月この洞穴を散策してわかったのは、ここが遺跡だと言うことだ。
そして、着地点は偶然にも、 その遺跡で最も重要な財宝が眠っている場所だった。
「このスキルがそうだったのは良いが、こいつも業が深いスキルだ」
国からここは不要になったと廃棄された人間が、国が連れてきた魔界のモンスターに食われて骨だけが残る。
いつしかここはゴミ捨て場と呼ばれるようになり、そこに溜まった怨念があるUSを作った。
それが《復讐者》。
あの時の声は、その怨念だ。
「復讐者………そんなもんが出来ちまう程に、この国は腐ってたってことか………本当に心底胸糞悪い国だ。自分たちは救われておいて、いざ要らなくなったら不要だと切り捨てる。性根の腐ったクズどもめ………」
つい手に力がこもり、持っていた石が砕けた。
「っと、しまった。楽しいこと考えないとな………」
今のユイトの生きる糧となっているのは、復讐だ。
だから、あいつらの事を考える。
「この様子だとユージン達もそろそろだな………だが、そうなる前に彼奴らに復讐するんだ。絶望したやつに復讐しても何も感じないからな。今最も気分が高まってる時に一気にドン底まで叩き落と………!」
また石を砕いてしまった………
「ふぅ、be coolだ。どこかのtrès bien!な御曹司もそう言ってたしな。落ち着こう」
ユイトは適当に深呼吸をして、洞窟を進んだ。
「さて、問題の洞窟だが………もう粗方探索し尽くしたんだよな」
ここにある情報は凄まじかった。
しかし、流石に何でもかんでもあるわけじゃないし、終わりもある。
だが、一箇所だけ、 調べていない場所があった。
「あの骨の山の真下………あそこで最後だ」




