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軌跡はきっと繋がる  作者: 烏賊の竜田揚げ
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第四話 最終確認

魔力を込めると強化するの造語を分かりやすくするために、【強化】のルビをエンハンス→エンフォースにしました。

 面白い項目を見つけた。

【ステータス】という項目だ。

 魔力を発動させて、対象とした相手の身体能力を数値として見れる【解析】という魔法を使って覗き見ることの出来る項目。


【解析】自体は魔力に目覚めた人なら誰しもが扱うことが出来るという便利な魔法とも書いてある。

 書いてある通りに、試しに魔力に()()という意識を作用させて発動させることで発動させる。


 名前:

 種族:人間

 称号:・・・・者

 状態:衰弱

 ジョブ:なし

 Ⅼv:1

 HP:82

 MP:74

 筋力:11

 魔力:31

 体力:10

 俊敏:8


 ユニークスキル

 ・・・・


 スキル

 状態異常耐性Ⅼv3

 痛覚鈍化Ⅼv2


 魔法

 聖魔法Lv1

 魔術Ⅼv1

 干渉魔法Ⅼv1




(おぉ、これは便利だな、出来ることと出来ないことが分かりやすい)


 いいものを見つけたと内心ほくそ笑む。

 予想通り名前は空白で、気になっていた部分は解消されたので、次は本の説明と照らし合わせる。


 Ⅼv……その人間個人の力量。

 HP……生命力。0になると死ぬ。

 MP……精神力。枯渇すると意識を失う。

 筋力……自身の持つ物理的な力。

 魔力……自身の持つ反物理的な力。

 体力……持久力。

 俊敏……動き始めの速さと持続的な速さの合計。

 スキル……技術を磨くことによって得られる。

 ユニークスキル……持つ者個人の魂のありよう。


(おおよそは理解した。が、この称号やユニークスキルの項目の伏字は何だ?)


 所々で伏せられた項目にナナシは困惑する。


 その項目に、該当する能力がなければ【ジョブ】のように【なし】で表示されるのではないかと、この表記の違いは何なのかと、確認不足があるのかもしれないと本を眺めるが、このことについては載っていない。


(まぁ、そのうち分かるかもしれないし放っておこう)


 次のページを開く。このページも特に重要そうなことは書いてないな、とまた次のページへ、脱出に使えそうな魔法が書かれたページを探す。


 ペラペラと紙が擦れる音のみが部屋を満たす。リズムよく流れるそれがピタリと止む。


(……対象と対象を入れ替える魔法か)


 物体同士に魔力を干渉させ、まるで最初からそうであったかのように物体同士の位置を書き換える魔法――【書き換え(リライト)


(そのまんまのネーミングすぎてこの本の作者と好感が持てそうだ)


 内心バカみたいなことを思いながら読み込む。


 時に、理解が及ばない範囲は声に出して、それでも無理な部分は端を折ってカイトに後で聞くことにする。


 ガチャリと、音が聞こえた。扉の開いた音。

 俺はいつも通り、明かりを消し本を隠す。


「どうだった?」

「めぼしい魔法は見つけたが、理解するのに少し苦労しそうだ。できればカイトの力を借りたい」


「いいよ」


 これまたいつも通りに大人が去っていった後にカイトと作戦会議。


「先ずはこの【書き換え】についてなんだが、カイトの理解を聞かせてもらえるか?」


「んしょっと、えっとこのページだね、ちょっと待ってて」


 沈黙の時間が訪れる。


 俺はこの間に自分のこの魔法についての理解の筋立てを考える。


「……書き換えたっていうのは、位置を入れ替えることを目的としたのではなくって、何か……そう紙に書いてある内容を一度消して今度は同じ内容を別のところに書き直すってことなんじゃないかな」


「……大体わかった、もういいぞ」


 俺は物体の入れ替えを意識していたが、どうやらそれが真意ではないようだ。

 やはりこういうのは別々の意見を言い合ったほうが理解が早くて助かる。


「カイト、ちょっといいか?」

「なに?」


 俺はカイトに飛ばしていた光をカイトの顔付近に近づける。


「【強化(エンフォース)】」

「わっ!?」


 光に魔力を籠める。するとカイトの眼前に浮かんでいた光は光量を増し一気に膨張して爆ぜる。


「なにすんのさ!」


「ハハハ、いい気分転換になっただろ?」


「そんなわけないよ、っていうか何も見えないんだけど!!」


「ハハハハハハ」


 少し愉快に笑ってしまう。こういう感情は気持ちいい。


「ちょっと、笑ってないで何とかしてよ!」


「ハハハハハ、悪い、今治す」


 今度は光を目つぶしに使うのではなく、治癒の目的でカイトの眼前まで飛ばして癒す。


「カイト、これ、使えると思わないか?」


「これって何?目つぶし?」


「ハハハ、それもある。けれど【強化】の方」


「使えるとは思えるけどさ、どう使うの?」


「まぁ、その前に、そっちはどうだ?用意できたか?」


「とりあえずやっとナナシが言ってた硬い物、ナイフでいいんだよね?手に入れたよ」


「へぇ、こんなのよくおいそれと手に入ったな」


「ちょっと伝手があってね、それとこういうのは得意なんだ」


「いつも言ってるな、それ」


「そうかな?」


「そうだよ」


「じゃあ、はい」


 俺はカイトからナイフを受け取り、作業に入る。その間はカイトには本の解読を進めてもらう。


 魔力が切れそうになったら今度はしっかりと休む。怠いままだと次の日に支障をきたす。






 また随分と日がたち、八割がた準備が整った。


 カイトからこの屋敷の地図――手書きだが、よくわかるようにできている――と、屋敷についての情報、この屋敷がある町【チューリッジ】についてのこと、最後にいろいろな情報をすり合わせる。


「だから僕はこの町を出たらここには滞在できない。

 君は……ナナシの存在は、隠されているから、特に支障はないと思うけど……」


 カイトはこの町によく出るそうで町の人々に顔を覚えられてる可能性があるからここをでてもこの町チューリッジに滞在できないと言う。


「仕方ないさ、町の経路はあらかたわかるんだろ?

 ならすぐに街を出ればいい」


 気にするな、それくらいじゃ見捨てないさ、そう思っての言葉だ。


「ありがとう……。

 よしっ!なら決行は明後日がいいよ。

カルアレ家が王都から呼び出しがあって明後日の朝に出発するらしい。

残るのは使用人と、ピグレーだけだから、屋敷の警備が薄くなり、雇われている護衛も三人残して、行くらしいし、その方が、丁度都合がいいんだ」


 カルアレ家、この屋敷の所有者であり、男爵家の人間だ。ピグレーとはピグレー・ドメス・カルアレ、あの豚貴族のことだ。


 ならちょうどいいなと、手元のソレを急いで完成させようと手を動かす。


 あと少しで、本当にあと少しでここから出られる。

四話最終時のナナシのステータスです

名前:

種族:人間

称号:・・・・者

状態:衰弱

ジョブ:なし

Lv :1

HP:92

MP:234

筋力:13

魔力:43

体力:10

俊敏:8


ユニークスキル

・・・・


スキル

状態異常耐性Ⅼv3

痛覚鈍化Ⅼv2


魔法

聖魔法Lv1

魔術Lv1

干渉魔法Lv2

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