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復讐の引継ぎ

本日2度目の投稿です。前話を見ていない方はお気をつけてください

 逡巡はわずかだった。


「はい。私は必ず神を倒します」


 セーラは、はっきりと思いを口にした。


「力の差は理解しているのか。君の力は測定させてもらったが、はっきり言って弱すぎる。魔法に多少の心得はあるようだが、1万の軍勢を単独で倒せるのか? この程度の実力では神を倒すのは夢物語だぞ」

「ええ、今の私は無理です。ですが必ず強くなります」

「それは生半可な強さでは足りないぞ。これでも私は単独で一国の軍事力に匹敵する力を持っていた。だがそれでも何もできなかった」

「私はそれ以上になります」


 映像に合った神の力の一端。この世のあらゆるモノを上回るであろう、力を見ても、なおセーラの復讐心は変わらなかった。


「……ここまで粘って意思が変わらないということは、覚悟ができた者か、余程の愚か者のどちらかだ。ならば、記録に過ぎず君の姿を見ることのできない私は、君が前者であることを願おう」

「お分かりになって頂きましたなら、どうか地上に降ろしてくださいませんか。今すぐに

「心意気は良いが、もう少々待ってくれ。君に渡したいものがある」


 そう言った後、男の映像が消えて、目玉のついた黒い機械が、セーラの鼻先にまで接近する。


「これから君の頭に我らの開発した技術に関する情報を頭の中に入れる。必ず君の復讐の役に立つはずだ」

「助かります」


 頭の中に自分の知らないことが入り込むことに対しては不気味な思いもあったが、目的を果たすことに比べれば些細なことだった。


「では始める」


 青白い光がセーラの頭に向け発せられる。

 そして頭の中に今まで聞いたことのない情報がたくさん入り込む。

 あまりにもたくさんのことが入り込んだことから、まもなく頭痛が起きた。


「う……」

「痛みはすぐに治まるはずだ。どうか君自身の復讐のついででもいいから、私たちの無念も晴らしてくれ」

「……はい、絶対に」


 男の言葉通り、頭痛はすぐになくなった。そしてセーラは、覚えた技術の数々を確認する。

 数百年以上進んだ魔法はとてつもなく強力なものであった。

 セーラの故国を1発で地図から消し去ってしまうような魔法を始めとして、驚異的な魔法の数々があり、アングラス王国の技術を知れば知るほど、あっけなく消滅させた神の力を思い知らされる。

 

「これは……」


 セーラは数々の魔法の中に異物を見つけた。

 例え数百年進んだ技術だとしても、これらの魔法は到底作り出すことは不可能ではないかと思った。


「『システム』……」


 魔法のカテゴリーを呟くセーラ。


「そうだ。これこそが世界の仕組みを解析し、我らに扱えるよう生み出した神の力の模倣『システム魔法』だ。もっとも、すべてが本物よりも劣化しているから、さらに進歩させる必要があるがな」


 その言葉を聞いて、セーラは嫌悪の表情を顔に出す。


「あまり使いたくはないかもしれない。だが、強くなるために一番の近道は自分よりも強い存在から模倣することだ」

「ええ、あまり良いものではありませんが、わがままは言いませんわ」


 強くなるために手段は選ぶ余裕はないことはわかっていた。


「良かった。我らの遺志を引き継げてよか――」

 

 機械から王の言葉を発している最中、突如として機械から火花が発生する。


「だ、大丈夫ですか」

「いや、どうやら寿命らしい」


 淡々と語る。


「これは君らの星が生まれたときには存在していたものだからな、長く存在を保つよう力を注いだが、そろそろ寿命のようだ。まあ長持ちするように力を今すぐ完全に壊れるわけではなくもう少し持つだろう」

「それほど前から……」


 教わったものの中に星に関する知識があり、セーラにも星の概念も理解できた。


「この機械は元々、神の創造物であり、世界の異常を探知する役目を持ったものだった。だが、故障をしてしまったらしく、地上に墜落したものを我々が見つけ改良して、機能を追加した」

「では、これと同じようなものが私たちの星にも」


 機械がもうすぐ壊れるのなら、あたえられた情報以外も知りたいと思った。


「そうだ。これから君は強くなるために修行する必要があるが、絶対に見つかるな」

「はい、わかりましたわ」


 見つからない方法についてはすでに教わっていた。


「あとはそうだな、あくまで予想だが神の弱点について教えておこう」

「弱点ですか!? 教えていただいた中にそんな大事なものはなかったですが」

「確証できる材料がなく、入れてなかった。だが、この世界でも同じ事があり、推測があっている可能性が高まった」

「それはどのような……」

「火だ」


 その言葉にまた、自分の痛みをより強く思い出す。


「神は世界を観測しているが、どうやら火が燃え盛っている時は、神の視線が外れる」

「失礼ですが、本当に弱点なのでしょうか。人とは違うものだから同じように語るのは変かもしれませんが、火を見て思わず目をそらすのは誰でもするのでは?」

「それも我らは考えた。だが神の観測が弱まったのは、『火』だけだった。血や贓物が飛び散る戦場でも、首が飛ぶ斬首の処刑があった時でも、神は見ていた。例外は、我らの時においては、大軍を消し去るために私が生み出した、極大の火炎魔法を放った時だけだった。そして、君の時もそうだ。凄惨な戦いの時はしっかり見ていても君の処刑の時だけは奴は目をそらした」

「確かに火に関しては特別に苦手意識があるみたいですね」

「まあ、火が苦手な分、何らかの防衛措置を取られている可能性もあるから、有効打になるかはわからんがな」

「ですが少しでも見込みがあるのなら覚えておいておきたったのですが、残念ながら私には水魔法以外の適性が皆無なのですの」


 セーラには水精霊の加護がついており強力な水魔法を使えるが、水魔法以外の魔法については一切使えなかった。

 教わった魔法でも、適性がないので使えないものの方が多かった。


「いや、それはあくまで『物語』の設定に過ぎない。機械の測定では水以外の適性もある」

「どのようなものがあるのですか?」

「今言った火魔法を始め土や雷も覚えられると思う。特に君の闇魔法の特性は群を抜いており、水以上のものだ」

「私にこんな才能が」

「闇以外の属性に関しては、水よりも適性は低いから神との戦いでは役立たんかもしれんが、だが闇に関しては別だ。修練を積んだ方がいいだろう」

「ええ、そうしてみますわ」

「うむ。では、そうだな、話が長くなって悪いがこれが最後の質問――」


 男がしゃべっている最中に突如、


『警告シマス! 警告シマス! 神ノ大規模ナ干渉ヲ確認シマシタ』 


 機械の目が赤く点滅した。

思った以上に同一人物との会話パートで長くなってしまいました。

多分次の話で終わると思います。

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