悪役令嬢VS神 その④
「これで終わりよ」
フィギュアの形をした兵器が2体で操られて、接近する。
「まずい……」
セーラは避けようとするも、防御をするために持てる力のほとんどを用いているので、動きは鈍かった。
『セーブ』で保存していた魔法は数万以上あるが、全て力が増す前に準備していたものなので、攻撃を使ってもダメージは与えられず、分身を使っても風と音で消し飛ばされるだけで無意味だった。
目前にまで来て咄嗟に横に飛んだが、上回る速度に加速した人形達が、
「ぐうっ、ああ11」
セーラの右手と両足を切り飛ばす。支えを失った結果、重力に任せる地面に倒れる。
「あははははは!! いい気味ね!!」
「うう……あぁっ」
堪えろ。この程度の痛みなら何度も味わった。
まだ、諦めていないセーラは、ただの逃走ではなく、生きて復讐を成し遂げるために、神から距離を取った。
(嫌だ……殺す前に死んでたまるか)
決死の状況を打破すべく己の頭脳を最大限に使う。
「はは、逃がすと思うの?」
神の片手に眩い光が発生する。強力な魔力の塊だった。
(防ぎきれない!)
世界一個に近い実を得たセーラでも防ぐことの敵わない力の奔流が放たれようとしていた。
回避負荷の攻撃はもはや十秒も満たない時で、発動するだろう。
「脅威度ノ低下ヲ確認。緊急事態モードヲ解除シマス。セーブモードニ以降シマス」
送風機と音楽再生機の電源が切れた。
(主人公への憑依……本……人形……人間みたいな部屋……神……支配……床に落ちている物)
地を這っていたからか、床に落ちているものが目に入った。
(あ……)
そうだ、そこなら。
とうとう死まで5秒を切った。
セーラの体が動く、ある場所を目指し、進む。
(あった)
目的の物に手が当たった。
「よし、準備はできた。さあ、死になさい」
神による死の宣告が下される。
輝きが一際強くなり、発射たれた。
〇
部屋に閃光が満ちる。強烈な光量は、制限をかけていない神の視界も僅かにだけ塞いだが、すぐに収まる。
「あいつは消し飛んだようね良かった。」
セーラの肉体は切り飛ばされた四肢の一部と地面を這っていた時にできた血の跡しか残っていなかった。
「主様――」
「黙って。疲れたから、今はあんたの声は聴きたくないわ」
機械に強制命令をする。
「はあ、あいつのせいで、また世界を作り直さないといけないわ」
エンディング目前の世界だった故に落胆は大きかった。もっとも恨む対象が消えたこともあり、怒り狂うほどの状態にはならなかった。
「はあ……寝よ」
ベッドの上に倒れこむ。
「じゃあ管理マシーン、私が起きる前に部屋の片づけと世界を作り直しておいて」




