悪役令嬢VS機械
「創造物ノ保護ヲ開始シマス」
部屋にある品々が黄色い防御膜に覆われる。そして、
「空調システムヘ接続、強サヲ『強』ニシマス。続イテ、音楽再生プレイヤーヘ接続、音量最大ニシマス」
四隅のそれぞれ別の場所に置いてある機械が起動し、命令を実行する。
「っ!! 『防御全開』!!」
嫌な予感がしたセーラは守りを固める。発動し終えた刹那――部屋に破滅の力が発生する。
宇宙を掻き乱し、切り裂く暴風と音の振動による死の歌が、セーラを襲う。
数分前なら為すすべなく死んでいた。神から力を吸収し、強くなっていたからこそ、防御に全力に注がないと耐えられないとはいえ、命は保った。
「くううっ、きゃああああああ!」
防御越しにも衝撃が来る。
作動した機械は戦闘用の物ではない。だが、宇宙を優に超える存在である神に見合うものとなれば、自ずと高い性能が必要になる。
「え、どうして焼けて無くなったはずのコンポから音が……」
本が腐り落ち呆然としている神にはダメージはない。更に風と音が幻惑の術を乱し、壊した。
「……あれ? 戻ってる。どうして私の宝物、全部ボロボロになったのに……。もしかして……幻術だったの?」
「まずい!!」
気づかれた。
「はは……良かった、全部なくなったと思った……」
「気ヅカレマシタカ主様?」
正常な思考に戻った神に向け、問いかける機械。
「……あんたが幻術を解いたの?」
「肯定デス。待機命令ヲ受ケ取ッタママデシタガ、緊急事態ト判断シ、行動シマシタ」
「そう……助かったわ、ありがとう」
落ち着きだした神は、力ない声で礼を述べる。
「それで、どうしてこんなに音がうるさかったりしてるのよ。なんで勝手に動かしたの?」
「幻惑ヲ解クタメト、敵対対象ヘノ攻撃行為ヲ行ウタメデス」
「ふーん。で、あれは何やってんの?」
「送風機ノ風ト、音楽再生機器ノ音カラ身ヲ守ッテイマス。全能力ノ大部分デ防御シテイルノデ、今ナラ回避デキナイデショウ」
その言葉を聞いて神は、大きく口を開けて笑い出す。
「ぷっ、あははははは!!!! 何、たかが扇風機やコンポで死にかけてんの! バッカじゃない! きゃはははは!!!!」
「付ケ加エマスト、主様ガ御自身ニカケテイル、バリアヲ外セバ、死に至ラナイマデモ、大ダメージヲ与エラレマス」
「ふはははは……けほっ、けほっ、やめて、さらに笑わせるのやめて!!」
腹を抱えて、身が震えていた神は、一頻り笑った後、
「あーー笑った。でも、嫌な光景を幻術で見せられたのは許せないわ。さあ、今度こそ終わりよ」
神の発言でイライラした方は、本当に申し訳ありません。いずれ宇宙規模のざまあをさせてやるつもりなので、許してください。




