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革命の思考者達  作者: 神裂裕真
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異種個体と思考者達

神子は実験に扱われる際、人間の異種個体として研究された。

そしてその数はいまだ増え続けているが、何が原因なのか明確には明かされていない。

数が増えたこともあり、つい先日だが、近所に神子専用の保護・学習施設がつくられた。


仮につけられた名前は「真高聖安生所まだかせいあんしょうじょ」。

ただ、四月に親にここに入れられることを知った時には少し安心した。


これまでに通ってきた幼稚園や保育園も大嫌いだったために、僕らだけという、あまり困らなそうな場所を政府が作ってくれているというだけでも、ありがたいと感じることができた。

聞いた話だと今年から自分を含めて、6人の神子がそこに通うことになるらしい。


「また一人にならないかなぁ?」

優しげな声で返事をする。


「大丈夫だよ、きっとわかってくれる人がいる」

不安げに不安を話した。


「またみんなに嫌われないかな?」


「大丈夫だよ、君には悪いところがないからね」


「・・・どこにも・・・・いかないでね」


泣きながら僕はそういった。


普段あるもの、いるものがいなくなってしまった時の悲しさをとてつもなく体感した。


そしてもう二度とこんな気持ちにはなりたくないと思った。


この人を僕につなぎとめるものは何一つない。


だがそれは今の話、幽霊がいるならその方法だってないとはいいきれない。


大切なものを失いたくない。


この気持ちを頭に浮かべて寝た。

・・・

・・

数日後 僕はそこに行った。通うためにいろいろなことを知らされるらしい。


「きっといい仲間達になる」

おじさんが言っていた。


「あの人が先生だろう」

入口では優しそうなお姉さんが待っていた。


「川上 舞です。明日からあなたの先生になります。」


優しく微笑みかけられた。


「うん!よろしく!」


満面の笑みで返す。大丈夫だとわかっていても恐怖で、自分の思う子供の真似が抑えられなかった。


「今からみんなであいさつをしましょう!他の子たちはもう集まっていますよ?」


集合時刻10分前もう全員集まっているとは思っていなかった。


「まさかお前より早い子しかいないなんてな」

おじさんも僕も驚いていた。

10分前でもちょっとはやいんじゃないかと思ってるくらいだったが。


川上先生に連れられて教室に向かう。

ここの施設には

二人の男の子と三人の女の子がすでに席に座っていた。


木でできた真新しい教室には後ろに6つのロッカーと掃除用具入れらしきものがあった。

机はぴったり6席分、前に三席、後ろに三席あった。そして最後にきたからか奥側の前の席らしい


全体的につっこみたい人もいたが、今はやめておこう。


そんなことを思いつつ、席に着いた。


そして恐怖の自己紹介が始まった。

トラウマだ。だけどやらなければやっていけないだろう。


「それじゃあ先生から順に、自己紹介していきましょうね、川上 舞です。あなたたちの先生になります。えっと先生はこれが先生になるのは初めてなので、いろいろ手伝ってほしいです。よろしくおねがいします」


教室のメンツ

              自が鏡勇生

   教卓 


 机 机 机

 自 男 女

 机 机 机

 女 女 男


並び的にも、先生の視線的にも僕が一番最初だとわかった。


先生に「じゃあ、一人ずつ前にでて自己紹介ね、名前と好きなものとかそんな感じかな?」と曖昧に言われ、教壇の横に立った。


「・・・か、鏡 勇生です。好きなものは勉強です。よろしくお願いします。」


とりあえずすぐ席に座った。


次に後ろにいた赤髪の女の子が前に出た。

って赤髪?地毛だったりするのかな、さすがにまだ染めるような年齢ではないだろう。


荒駆あらかけ深梅みうめ。好きなものは幽霊です」


小さい声でそういった。

そして席にすたすたと戻り、座った。



そうやって自分の横、つまり真ん中の前の席の男の子が勢いよく飛び出した。

そして教卓を超えて黒板側に着地した。


「僕の名前は!黒田くろださとるっていいます!趣味は遊ぶこと!特技は遊ぶこと!」

これまでみてきた子供と同じだった。元気で突っ走っていく、回りをきにしないような少年だろう。

そう思えた。

だがしかし

「けど!あまりなめすぎないでもらいたいな!こんなかの誰よりも勉強してる自信あるから!」


ここまで流暢に話せる少年は初めてだ。

確かに、勉強をしたんだろう。そして私のように話をいつもしていたのだろう。

「特にお前!あとで勉強教えろ!好きなんだろ?」


にやりと口角をクイっとあげた。

・・・ぼ、ぼくか!?


「あ、うん、わかったよ」

こっちもにっこりと笑顔を返した。

そのままとんでまた席に着地した。


そしてその後ろ、足を組んで腕を組んで、上から目線感を醸し出している女の子がいた。


そしてとても動きやすそうな服だった。めちゃくちゃかっこいいジャージみたいな感じの。

「我の名は十文字 沙羅だ。おぼえておくがいい。」


そして思ったとおりの上から目線だった。

・・・それだけだった。

そうして次の人、右前に座って女の子がトコトコと黒板の前にいった。

「石井 千夏ちなつです。・・・本を読むことが好き・・・です。」


今聞いてみるとわかるがこの年齢では他のどんな子より、話せている方だろう。

だがしかし、周りのレベルが高すぎるため、劣っているように見えているのだ。


こんな状態で、しかも直前に生意気な態度をしている女の子がいるという。

これは緊張しない方がおかしいのだ。


そのまま席にゆっくりと戻った。


右後ろ、つまり今言った彼女の後ろには目が鋭い男がいた。別に細いわけじゃないのだが、目が合ったときに睨まれている気がしたくらいだ。

切間きりま紅斗こうとだ。好きなことはモノづくりだ。」


ものづくりとか小学校入学時レベルの知識しかないような歳で、そんなものを好きになれるのか。

いや?私は好きだよ?ちょっと後で何か聞いてみようかな。


そうやって全員の自己紹介が終わった。

悪夢の再現としては失敗作なのだろうが、それは私にとっていいことじゃないか。


今回はおじさんもずっと横についててくれた。

安心だった。はずなのだが、一瞬だけこれまでに見たことがないくらい形相をしていた時があった。

赤髪の女の子、荒駆 深梅、あの子が自分の名前が言った時だった。

これはなにかおじさんについて知るチャンスかもしれない。

こんなただの好奇心で僕は帰る際にその娘に話しかけた。


「ねえ、・・・幽霊好き・・・なんだよね?」


「信じてんの・・・?」

少し歪な顔でそう返される。

普通幽霊がいることを信じる人は少ないということは分かっているんだが。

だけど僕は今彼女の後ろにいる、僕の憑き人のおじさんが見える。

「じゃあ・・・」

彼女は少し疑いながら、その自分にしか見えていないはずのおじさんを指をさす。

「これは見える・・・?」

全く信じていなさそうだが真面目な目とその反応を見て、僕とおじさんは同時に目を丸くして驚いた。


この女の子は・・・彼を見ることができるのか・・・


「いえ・・・なんでもないわ・・・」


少し恥ずかしそうに帰る足を進めた。

「ちょっと待って!見える!見えるよ僕も!」


「・・・面白い冗談ね」


彼女は冗談だと思ったようだ。

反応するのが遅かった。そうは思った。


僕は家に帰ってから、今日という日がエイプリルフールだということを知った。

それは信じれない。でも会って初日で嘘つくやついるの?

それは怖い。

結構怖かったのかな・・・


明日からの生活に期待と不安を寄せて、眠りについた。












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