早速危機と思考者達
ここはアメリカの一つの野営地帯
だが大量に飛び交う妨害電波によってジャミングされていたり、光核所変機という兵器のようなものがあるので、分からないのである。
光核所変機って光子が入射して起る核との反応を疑似的に再現させるほどの技術全てにおいて空間の感覚をなんちゃらみたいな、そんなことを誰かから聞いた気がする。
まあ、そんなことは今どうでもいい、なぜなら今はとても危険な状況にいるからだ。
昨日、自己紹介の後に副隊長と特殊小隊名を隊長から告げられた位だ。
小隊名は「強き支配者(EARTHLY EAGLE)」副隊長は私であった。
・・・気にしてはいけない、副隊長といっても、小隊を分ける作戦の時や、隊長不在の時の指示なのだから、あまり仕事がこれと言って増えるわけではないのだ。
ちなみにこんなこともどうでもいいのだ、結局話が進んでいないようだ。
今は自分の命を最優先に守るべき事態が起きている。
私達は他の9つの小隊とともにすべてのヘリを墜落させるようにして送り込まれた。
もちろんこちらの軍の方が優秀だ。もうすでに一つはヘリを落とした。
実はヘリの墜落により、小隊が一つ消えてしまっている。
そして私達が降りたところだが、ちょうど敵の野営地点に降りてしまったのだ。
周りを見るにこのあたりには5つの小隊が降りたわけだがそれと同時にこちらには雨のように弾丸が飛んできている。そうして今は墜落したヘリの残骸の後ろに隠れている。
この状態で問題になってくることがいくつかある。
一つ目は隠れている場所についてだ。
ここはもうすぐ爆発するだろう。ヘリが墜落したが、運がいいのか悪いのか、中身や情報を探られないための自爆用の爆弾が誤作動により、まだ起動していないのだ。
・・・・つまりは今隠れているこのヘリが爆発し、敵にも撃たれずに事故死してしまう。
なんてことにはなりたくない。だから一刻も早くここから移動したいのである。
二つ目の問題はその移動である。
さっきの通り、弾丸が雨のように飛んできているのである。
ヘリやその周辺を打ち抜いており、着弾音が鳴りやまないほどである。
さて、どうするかと隊長の方を見てみたのだが、明らかに考え込んでいる顔をしていた。
隊長・・・指示を出してくれともいいづらい・・・
だがしかし、さすがに言わなければ進展しない状況でこのまま汚い花火になるのも、ハチの巣にされるのも嫌なので切り出してみることにした。
「隊長!指示を!」
声を張っても銃声に遮られるので、隊長は出せるだけの声を出した。
「・・・お前ら!全員死ぬな!」
えぇ!?そんな割ときつい指示出されても何の意味もないんですけど?この状況解決する打開策みたいなものを欲しがってるのにそんなことある!?・・・この隊長はだめだ・・・他に誰か・・・
横を向くと隊長以外の影が見当たらなかった。
・・・・・
あ、置いてかれたの!?
パラシュートで着地するところまではみんな一緒だったはずだ。どこで離れた?
てかこれこの二人で死ぬの?嫌だよ!?
「今から三人撃つから、荒駆くんは一人には当ててね」
え?頭より体が先に動いていた。
背負っていた愛銃のライフル(SIG SG550)を胸の前に構え、隊長に続き、弾丸の雨を突っ切るようにして
ヘリから離れ、出たときには隊長が撃っていた。
さすがに走りながら当てれるわけないと思っているので、とりあえず形だけでも相手方向に撃っておく
8発程度撃ったところで自分以外の銃声が止んだ。
「ふぅ、最初の作戦はみんな無事に終えれたかな?」
隊長が何をいっているのかわからず、敵側を見渡した。
すると、こちらに弾丸を飛ばしてきていた人達が全員倒れているのだ。
しかも、周辺でしていた戦闘の銃撃音も静まっている。
「それにしても荒駆くん、結局私が全部殺しちゃったじゃないの・・」
簡単に殺すなんて言葉を使う、非日常のはじまりなんじゃないかと思った。まあ、戦争してるんだからそうか。まだ傷をおらず、そこまで実感が湧いていない。
「逆になんで全員撃ててるんですか、怖いですよ」
そうだ、俺の弾が当たっていないということはこの人が全員片付けたということだろう。
てゆうか他のやつらはどうしたんだ?仲間は?敵は?
隊長がボイスラインという携帯機器で連絡を始めた。
「全員終わったか?こちら5名仕留めた。」
「そうか、合流地点は第一野営地だ。敵が陣取っているかもしれん気をつけろ」
切った。
「さあ、行こうか第一野営地まで」
こんな燃え盛る炎や落ちている弾丸がある風景にいるのに、そんなに気ままでいいのだろうか。
隊長の澄ました顔を見ると、どうでもよくなってしまった。
強いんだけどなぁ~・・・
これだけの銃声があっても敵影が確認できないというのであればしばらくは安全なのではないかと気を抜いて隊長についていく。
隊長、天海 十華は銃をあつかうことがたけている。
訓練中では銃撃の部門で賞をもらうほどだった。
誰もが知っているレベルの優等生だった。
だが、兵隊としてはあるまじき考え方を持っていた。
ここにくるまでにその話を聞いたが、その話の大意を理解することは私にはかなわなかった。
自分がやりたいことをやるのではなく、周囲の空気にのまれるままに流され、その中で最も正しい者をめざしているらしい。
ようするに今回は軍というひとつの大きな組織の空気に呑まれ、そのなかで最も優秀な兵士として動いているということだ。
だがしかし、それはさらに大きな組織や力のある組織の一存によっては軍または今の味方の脅威になるということだ。心変わりするということではなく、もともと心をここに置いていないのだ。
だからこそ今この小隊にいる分には国の優秀な兵士であり続けるということでもある。
現に今もこの死地を軽々しく乗り越えている。
頼りになるといってもいいだろう。
頼りにいる仲間がいる。そんなことを思いながら、戦場をひたすら走った。
「俺は生きて帰る」
そう誓って。