部隊集合と思考者達
出発当日、父からかたいものの入った小袋を手渡された。こう言われた
「力を使わなければいけないと思ったら、一度躊躇え、そして二度目にはこの中身を使え、それで無理だと思った時はこの小袋を開けるんだ」
私と兄貴はそれぞれ別の部隊に配備された。
初日、宿舎で説明を受けた。
二日目、早々に私の入った部隊がアメリカに増援として送り込まれることになった。
私の部隊は女の隊長が一人と男4人女4人の隊員によりつくられた小部隊であった。
アメリカに着く際に私はこの部隊に配属されたことを少し悔む事態となった。
少し変わった部隊だと言われたのだが、これほどまでとは・・・
「隊長~、任務ってどういうものなんですか?」
「隊長にその聞き方は無いんじゃないかな、殻真くん」
「怒らせないで下さいよ」
「まだ怒ってないから!」
「怒ってるじゃないですか」
「天海さんはこれが普通なの」
「皆、拠点着いたよ~」
「着いたか」
これから戦場に赴くというのにこの部隊と来て、やっと着いたと思うと安堵の気持ちの方が不安の気持ちより大きかった。
どういうことか説明するとしたら、約10時間前程度のことである。
「失礼します」
私がこの部隊が集められた時、指定された宿舎でのことだ。
ドアを開けると中には人が3人いた。
一瞬で特徴を見て、考えたがどれもあったことのない変わり者らしい。私の目がそう言っている。
一人は戦場に行くと言うのに誰が見ようと第一印象が{チャライ}とか思われそうな金髪のピアス男がいた。せめて染めてこいよという言葉が頭によぎったが、こういう人種には関わらない方がいいと相場が決まっているんだ、触れるべきじゃないな。
もう二人はあまり見かけないほどの美人だったが、好かれそうとは思えない。
片方は黒髪の三つ編みツインという最近は稀にもみない髪型をうまく自分のものとしていて、とっても綺麗な風貌の女性だった。
もう片方の女性は赤髪のロングヘアーで体に似合わなく時代が600年ほど前に海賊が持っていそうな曲刀を弐本持ち腰にさして壁によりかかっていた。
女性二人からは少し警戒されている事がよくわかった。入ってきて数秒で全く目を外されていない赤髪の方にいたっては一度も瞬きをしていないように思えた。
あっ、と思いすぐさま私は自己紹介をしようとしたのだが、すぐさま止められる。
「あっ、わたく」
「いいよいいよ自己紹介なら皆来てからやりましょうよ」
「分かりました」
このチャラ男が意外にも効率を求める人だったら、少し驚くかもしれないがただめんどくさいだけなのだろうと自問自答し、口を閉じる。
ガチャ
10秒程前に開けたドアが開き、人が二人入ってくる。
あからさまにドアの目の前で邪魔だと思ったので空いている方にとっさに移動した。
だが移動する直前にドアに足が当たってしまい、ドアが閉まった。
ガチャン
カチャ
少し控え目にドアが開けられた。このことに「すいません、足をぶつけてしまい」と謝った。
「すいません!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!許してください!!わざとじゃないんです!!足大丈夫ですか!?他にどこかぶつけました!?」
呆気にとられた。この間に私は「あ、う、いやだい・・じょうぶ・・です」
こんなことしか言えなかった。
「すみません、私がドアをゆっくりと開けていればこうはならなかったものを・・・」
「大丈夫だって、落ち着いて」
そう、一旦落ち着こう全く痛くはなかったし急いで移動しようとしたせいで少しあたってしまったのだから、彼女に非は全くないはずなんだが・・・
「・・・・・」
「・・・・大丈夫?落ち着いた?」
「落ち着きました」
そんなやりとりをしている中で一番普通そうな見た目をした男の人が通り過ぎた。
少し微笑んで会釈をしてきたので、こちらもし返すと完全に怒っている顔をしてこちらを見てくる。
なんで!?なんで怒ってるの!?なにか私しましたかね!?そう心の中で思い距離を置いた。
ちょっと厄介そうな人多いなと思うと、ドアがあり得ない音を出した。
ゴキッ
え、なんだゴキッてドアが開く時に使っていい効果音では絶対にないと思っていたのだが、一瞬でそうではないと判断するしかない状況が作られていた。
ドアが沈む{地面に刺さる}と中に入ってくる女性がいた。
「はじめましてっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
耳が割れるかと思ったじゃないか。
はあ、この部隊、変人が多いとは聞きましたけどこれで大丈夫なのかねぇ!?
「この部隊の隊長に選ばれました!天海 十華と申します!」
「それでは一人ずつ自己紹介を始めましょうか!」
とりあえずドアが沈むという不可解な状況をどうして作れたのかについて話しを伺いたいのだが。