閑話:魔王と勇者
由靖明side〜
僕の名前は由靖明、日本人だ。15歳中学最後の夏を全力で引きこもってたら不思議なことが起きた。
今、僕はなんか変な森の中にいる。
寝てたら、白い場所にいて殺しあえーて言われて何だかよく分からないまま呆然としてたらいつの間にかここにいた。
勇者と魔王で殺しあうって、はじめは何のことかさっぱり分かんなかったけど、魔王に成って世界征服しちゃえって感じだろう。
さっきの“A”ってのも言ってたし。
異世界で魔王とか、めちゃくちゃテンション上がる。
奴隷買って、ハーレム作って、国とか建国しちゃったりして。
こんな漫画かラノベみたいな世界に来させてくれるなんて、あの神様に感謝だね。
ポーン…『異世界転生おめでとうございます。神代理の“A”です。今後質問がある場合は、頭の中で内容を念じて頂ければ私の答えられる範囲で答えます。では、良き異世界ライフを』
別に今んとこ質問は…なんも無いな。
僕は早速迷宮を作ろうと、ステータスを開いた。
どう考えても、野生の魔物と戦うより迷宮で戦った方が安全でしょ。
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ステータス
名前:由靖明
職業:魔王
クラス:【植物の魔王】
レベル:1
HP:100
MP:100
LP:100
筋力:12
器用:8
敏捷:10
知力:10
幸運:18
称号
植物の魔王、魔王に成りし者
スキル
魔王化
魔法
植物魔法lv.1
植物成長
植物操作
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植物の魔王
*植物が半径5メートル内に植物があればステータスが1.5倍
植物成長
*周りの植物の成長を促進させる
植物操作
*植物を操作する(範囲はレベル依存)
魔法とか、テンション上がるわ〜。
まぁ、まずは迷宮作りかな。
「迷宮創造!」
ちょっとポーズも決めてみる。やべ、恥ずいな。
ズズッと、いう音と共に穴がせり上がってくる。その穴の中に入ると、
『休眠期間の設定をお願いします』
僕の目の前に、yes,noと言う画面が出てきた。
確か最大で一年半だったよな。
「うーん、一年半位?」
レベルは、上げれるだけ上げた方がいいよね?
ファイナルアンサー? と表示している。僕はyesと、押した。
『では、迷宮の説明をさせていただきます。
入り口ですが、何処にでも設置出来ます。移動は、一ヶ月に一度で半径三キロまでとなっております。
迷宮内での経験値の分配は、5:5で魔物、魔王となります。
一度に入れる人数は5人までです。』
『次に迷宮創造の説明ですが、前にも言ったとうりLPを消費して行います。
構造の変更、広さの変更、罠の設置、魔物召喚など迷宮を運営する中で必要なことは全てLPで行います。
しかし、迷宮内に人がいる場合は変更不可能です。
アップグレード等は、魔王様のレベル依存でごさいます。何か質問はありますでしょうか?」
そんなにいっぺんに喋られても分かんないなあ。取り敢えずLPを使っていろいろするって事と考えとくかな。
難しい事は後から考えればいいや。
僕は迷宮の改造に取り組み始めた。
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黒沢亜紀side〜
私の名前は黒沢亜紀高校一年生だったんだけど、今は勇者している。
♢
何だか周りがガヤガヤしてると思ったら、変な声が聞こえてきて、光に包まれたと思えば、キンキラキンの場所に居た。
「おおっ! 今代の勇者様だ!」
「しかも四人もいらっしゃる。今回は特別頼もしいですな!」
私の周りを変なおっさん達が取り囲んでワイワイ話している。
床にはアニメで見るような魔法陣? のような物があり、真ん中あたりに私を含めた4人が居た。
「おいおい、マジで勇者になったってか?」
それは一目惚れだった。茶色みがかった髪に、切れ長の赤目、セクシーな口元、全てが理想どうりの王子様がそこには居た。
そんな一目惚れした勇者召喚から、一ヶ月が経った。
私の一目惚れの相手の名前は、清水拓海。今は拓海って呼んでる。
ここはクラサレス王国の王都と言って日本の東京みたいなとこらしい。
今、王都では連続殺人が続いているみたいだ。王城にいるから私達には関係無いけど。
魔王についても勉強した。
魔王は、私達が召喚されてから一年〜一年半後に迷宮を開いて国に攻めてくる。
例外として早い時期から攻めて来る魔王もいるが、例外なくそんな魔王は弱い。恐らくはダンジョンの中で力を蓄えていると言われている。
魔王の特徴は、角と尻尾が生えていて爪が長い。人に恐怖を与えるから、魔王に会えば分かるらしい。
魔王と勇者に共通する事が『カラーシリーズ』で、色の名前が入った魔王か勇者は特別な魔法が使える。
拓海は『赤の勇者』だから、赤魔法を使えるんだって。流石は拓海よね〜。
私は『槍の勇者』だった。槍を持つとまるで昔から習ってたみたいに扱える。
何度か露骨にアピールしてみたけど、拓海は、王女と仲良くなっている。
すごく妬ける。
拓海に褒められるためにも、一年後の魔王討伐に向けてがん張らないと!
黒陽のように迷宮をまだ作っていない魔王は少ないです。
この二人が白い部屋の事を「わからない」と言っていたのは、知力が低いからです。
知力は思考を加速する事が出来るからです。初めからあれほど知力があった黒陽が異常です。