王都潜入
かなり久しぶりな気がします。
一時間程度スレイプニルに揺られていると、門が見えてきた。
このまま進むと、スレイプニルを殺して奪ったのがバレる。
だから反対の門に回って入ることにする。
おれの予想が当たれば、アレがやってるバズだ。
森を抜ける途中に、ゴブリンなどが襲って来たが降りて殺すのも面倒臭かったから、スレイプニルで踏み潰した。
それにしてもこの森は広い。スレイプニルは、ここで放し飼いしよう。
パァンパンパン
おおおおおぉぉぉぉ!!
お、やっぱやってるか。祭り。
500年に一度の勇者召喚だから何かしらはしてると思ったんだよね。
俺の狙いはこのお祭り騒ぎに乗じて、王都に入ると言うことだ。
声がここまで聞こえたってことは、勇者のお披露目が近いかな?
俺はスレイプニルに鞭を入れて、急がせた。
♢
「じゃあな、スレイプニル俺が呼ぶまでここで遊んでろ」
ーー今度会う時には、名前をつけてください
「わかったよ、なんか考えとくから」
スレイプニルにアイテムポーチを預ける。
一時間半程度一緒に居ただけなのに、妙な愛着が出来たな。ま、自分の事が好きだ好きだ言ってくる奴のことは、嫌いにはなれないよな。
殺すかどうかは別だけど。
と、ここでシャツとジーパンからおっさんから剥ぎ取った服に着替える。
勿論、血のついた部分は破ってある。
少し歩いて行くと、おおきな門が全開にしてあり門番が一人いる。いや、門番じゃなくて受付か?
「おいおい、幾ら何でも無防備だろ」
その残り一人もなんか変な水晶玉を、ジーーーを見つめており。玉に おー!とか、え! とか言っている。遠くが見える物なのか?
俺はその横をそ〜っと身を屈めて通り抜ける。
「はぁ、これじゃ張り合いが無いな」
本当は、盗賊に襲われてしまい身分証も何もかもを失った。って言う設定だったのに。そんなテンプレしてみたかったのに。
そんなに勇者が気になるかね?可愛い娘でもいるんだろうか?
どうでもいいか。俺はプランどうり動くだけだ。
性格は学校の時みたいに猫を被る。一人称は僕だ。
基本的に王都では人殺しはしないってスタンスでいく。
夜の闇に乗じて3日に一度は殺したいな。どうもこっちに来てから抑えが効かない。前は一人殺せばかなり持ったのに。
「まずは服屋か」
お金についてはもう“A”に聞いている。
石貨:10
銅貨:100
銀貨:1000
金貨:10000
白金貨:1000000
白金貨は庶民は見ることは無いらしい。
ちなみにアイテムポーチの中には、白金貨以外は100枚づつ入っていて、今持っているのは白金貨1まいにほか20枚って所だ。(白金貨は10まいだった)
防具もアイテムポーチに入ってなかったから買わなきゃだし。
大通りを歩いていると、服屋と書いた看板がある。
ここだかな? と思い中に入いった。
「失礼しまーす」
「はいはい、ってなんでそんなにボロボロなんだ⁉︎」
「すいません盗賊に襲われてしまいまして…」
「そうかそりゃ大変だったな」
「でもお金は隠していたのが多少は有りますので、支払いは出来ます」
「ちょっと待ってな、なんか見繕ってやるから」
いい人そうだな。良かった。
「ほい、これでどうだ」
村人Aみたいな目立たない服だ。これだよこれ、こんなのが欲しかったんだ。俺は代金を払う。
「ありがとうございます」
「おう! でも兄ちゃん、この辺りじゃ見無い髪の毛の色だな!」
やっべー、そこかんがえてなかった。
黒髪の国ってある?
ポーン…『倭国の髪の毛は、黒色です』
「ん? どうした。喋りづらい事なら聞かねーが」
「いや、そういうことでは無くて母の出身が、倭国でしてね。この髪の毛もそのせいですよ」
あっぶなかった。間が空いたけど何とかごまかせたか?
「ほぉーそうだったのか。それで、なんで王都に来たんだ?」
「はい、冒険者になろうと思いまして」
これが、俺が王都に来た理由の大部分だ。テンプレはやっときたいじゃん?
ま、それだけじゃないけどね。
「話題の勇者見に来たわけじゃ無いのか? 人混みが苦手だから俺は行ってねーが、すげー賑わいだぞ」
「えぇ。実は僕も苦手でして」
「そーかそーか、なんか久しぶりに自分と同じ性格の男見つけたよ。この国の奴らは祭好きだからな」
だから門番が、あんなのだったのか。
「冒険者ギルドだったら、ここの道を真っ直ぐいった先の曲がり角にあるから」
「何から何まで、ありがとうございました。それじゃあ」
「おう、またな」
その前に防具屋行くんだけどね。
防具屋はこの店の二軒どなりにあった。もう見つけている。
「すいません」
シーン
あぁ、そうか勇者見に行ったのかな?先にギルドにいくか。いや、盗むもう。
「『サーチ』」
誰もいないみたいだ。ん? 床のしたに妙なスペースがある。もしかしたら秘蔵の防具とか在るかもしれないな。
床に手を付ける。
「〈イロージョン〉」
ガリガリと床が侵食されていく。人一人が通れる位まで穴を広げ、中に入る。
「っと、なんだぁ?これ」
其処にはお札がびっしりと貼られていて不気味な雰囲気を纏った箱が在った。
「取り敢えず開けるか。オラッ」
黒陽は幽霊なんて全く怖くないのだ。バリバリと言う音と共に宝箱が開く。
ブワッと黒い煙が黒陽に向かってきた。
それを黒陽は『狂気』で抑え込む。
「全く、なんだってんだ」
箱の中に手を突っ込んで取り出す。
「仮面?」
ポーン…『この仮面には認識阻害【極】吸血のスキルがついています』
ほう、これは良いな。殺す時はこれつけよう。
「てか、普通に防具が欲しかったんだけど」
結局売り物を〈ステイニング〉して使うことにした。
防具を装備してから店を出る。
今思ったけど、こんな大きな通りなのに人が居ない。全員、見に行ってるんだろう。
一人も居ないってどんだけ祭好きなんだよ。
「この分だとギルドに人が居るかも、怪しくなってきたな」
黒陽は冒険者ギルドに向かってって歩き出した。