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煙草の先端から灰が落ち、畳を焦がした。
イライラが消えないので酒を飲む。
ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなまず妻だお前は今どこにいるどうして帰ってこないいつになったら帰ってくるお前がいなければ誰が金をくれる酒を買う金も煙草を買う金も無い無い無い無いと言えば灰皿も無い灰皿はどこにいった煙草の灰を受け止めるためだけにこの世に存在するお前一体どこにいるどこだどこだどこだどこだ――……
煙草を握りつぶしてしまった。うまいと感じたことのない、不味い煙が残る。腹が立ったので箱ごと庭に放り捨ててやった。ふと思い立ち、慌てて拾いに行く。もうこの箱しかないんだった。
とりあえず煙草はやめて、四リットル瓶の焼酎をそのまま呷る。喉が焼ける。相変わらず不味い。もっと強い酒が欲しい。溺れたい。
その酒が、家にある最後の酒であることに気付いたのは、それからすぐのことだった。
※
「お仕事ですか」
「ああ、まあ、そんな感じかな」
西野家についてまとめた資料を整理している。まあ、仕事と言って差し支えないだろう。これで生計を立てているわけだから。
西野はジグソーパズルを、手で触れて確認しながら組み立てていた。よく目が見えないのにそんなもんが作れるな。買い与えたのは俺なんだけれど。子供が遊ぶものっていうのがどういうものなのか、あんまりわからないのだ。




