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GL  作者: 結城游眞
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りょうとの一日

 次の日。

 朝はいつも通り家を出ていつも通り学校に着いた。

「おはよー」

 あやかの元気な声。

「おはよう」

 続けてりんの優しい声。

「おはー」

 りょうの声だ。私はりょうの声に朝からドキドキしている。

 聞こえない振り。そう思ったが、

「ゆきな、おはよう」

 りょうが声をかけてきた。

「お、おはよう……」

 顔が熱くなっているのがわかり顔を向ける事が出来なかった。

「どうした?」

「なんでもない」

 私は必死に顔を隠しさっさと教室へ行く。

「ちょっと、ゆきな?」

 りょうは私を呼び止めようとして叫んだが私は行ってしまう。

「りょう、いつの間にゆきなと仲良くなったのよ?」

 とあやか。

「昨日だよ」

「ふぅん。あの子、いつも暗くない?」

「そうかな? 結構可愛いよ」

「出た! 変態発言」

 あやかは笑いながら言う。

「真面目だけど?」

「はいはい」

 三人は揃って教室へ向かった。

「ゆきな、なんで逃げるように行くんだよ?」

 一時限目が終わり、りょうが話しかけてきた。

「今日、なんか変だよ?」

「そんなことないよ」

 そう言いながらも私は目をそらす。

「誰のせいだよ」

 言いたかった。けど、言えない。

「そう。じゃあ、昼休みまた図書室行くの?」

「うん……」

 顔は赤く無いだろうか、爆発しそうな心臓の音が聞こえないだろうか。

 必死に隠すのが精一杯だ。

「わかった。昼休み図書室でね。ゆきな」

 少し低めに私の名前を呼ぶその声がいやに心に響いた。

 あっという間に来てしまった昼休み。

「どうしよう。すんごいドキドキする」

 心の中で呟きながら私は図書室へと向かう。

 いつもの席へ座り本を広げ読み始めるが内容が頭の中に入らない。

「どうしよう……」

 数分後、ガラリ……扉が開く音に驚き、慌てて本を読む振りをした。

「りょうだ……」

 姿を見つけるとまた心臓が跳び跳ねるように大きく脈を打つ。

 ゆっくりと近づく足音。

 近づく度にドキドキする鼓動。

 そしてゆっくりと向かいの席へ腰を下ろす。私の鼓動は頂点に達していた。

「ゆきな……」

 小さな声で呼ぶ。

「な、なに?」

 震える声を必死に押さえ普通に振る舞ってみた。

「珍しい……答えた」

「丁度読もうかなって思っていたからさ」

「そうなんだ。読まないの?」

「見られてると集中出来ないよ」

「気にしなくていいよ」

「きになるよ……」

 りょうだもん。小さく呟いくが、りょうには聞こえない。

「じゃぁ、話すか?」

「そうだね」

 パタンと本を閉じた。

「その本面白いの? 吸血鬼シリーズ?」

「そう。吸血鬼の父を持つ女の子が主人公で次々に起こる、難事件を解いていく話しでさ……」

「そうなんだ、私は小説より漫画だな。例えば、悪魔が執事で子供が主人の話しとか」

「アニメで見たことある。なんかダークでかっこよかったよね」

「うんうん」

 私達の思考はよく似ていて話が合わないことが話していてあまり無いように思え、時間はあっという間に休み時間が終わってしまった。

 教室へ戻り席に座ると、あやかが声をかけてきた。

「ねぇ、明日、一緒にカラオケに行かない?」

 あやかは少し照れ臭そうに言い。

「もちろん、りょうとみさきとりんも一緒にさ。本当はもう少し話してからの方がいいとは思うんだけど」

「私が行って大丈夫なの?」

「うちが誘ってるんだから、一緒に楽しみたいの」

「けど……」

「そうだ、りょうには内緒ね。驚かせたいから」

「だけど……」

「もう。友達でしょ?」

「友達……」

 友達、私にとっては久し振りに聞いた響きだった。

 いつから居ないのか作らなくなったのかもう忘れてしまった。

「じゃ、明日、十時に○△駅で待ってるから」

「えっ……うん」

 なんか話しに流されたような気がする。

 そして帰り道。

 帰りはりょうと二人きり。

 ここでもあの話しになった。

「そうだ、明日一緒にカラオケに行かない?」

「えっ?」

「二人きりじゃなくてあやかたちも一緒になんだけど……ダメかな?」

「ダメとかじゃないけど……」

「じゃぁ、決まり。明日、○△駅に十時に集合ね」

 うつ向く私。

「実はさ、ゆきなの事話したらあやかが話してみたいって」

「だからさ、一緒に行った方が楽しいとおもうんだよね」

「けど……話したこともないのに」

「大丈夫。私がなんとかするから」

「そう?」

「うん」

 りょうがにこりと笑うと私も釣られて笑顔になった。

「決定ね」

「わかった」

 私達はそのまま別れた。

「何を着ていこう……」

 洋服の事、輪の中に入れるかどうか考えれば考えるほど不安になり家までの道のりがあっという間に短く早く家に着いたように思えた。

 家に着いてもずっと明日の事が頭から離れず一人頭を抱えている。

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