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えびでんす。  作者: 紅アルペジオ
始まった、春
5/22

evidence 5「とりあえず、作戦会議」

「さて…どうする?」


うん、夏海には自信ありげに「おう!」とか答えたけど。


かなりのステイルメイト状態。


「そうだな…土方、榎本さんは文化部に入ると言ったんだな?」


と、奈々子が聞いてくる。


「ああ、確かにそう言った。運動部に入るようなタイプじゃなさそうだし」


「ダメだよ想介、そういうこと言っちゃ」


と、奈々子の隣に座っている女の子に叱られる。




豊崎琴音。高二。文系。メディ研部員。


マロンブラウンのウェーブがかった髪型が特徴的な子だ。


「ダメって何が?」


「見た目で判断しちゃうことだよ」


ああ、なるほどね。


「まあ琴音、土方も悪く言ったわけじゃないし、スルーしてやれ」


「はぁーい」


そう言って、琴音は昼食のたまごサンドにかじりつく。




ここは、学院の中にある食堂。


かなり広いしメニューも豊富なので、昼休みの度に大盛況である。


そして、その食堂のテーブルの一つに集まっているのが、絶賛廃部危機なう、のメディ研の部員三人。


ここは昼飯がてら会議にはもってこいの場所、


「おおっ、四組の土方が女二人連れてるぞ」


「アホ、あれはメディ研のやつらだろ」




…でもなかった。




「んー…悪い…」


なんとなく謝罪。だって思春期の女の子にとって脈もない野郎とセットでヒューヒュー言われるのは嫌だろうし。


「気にしないよーそのくらいで」


ブンブン手を横に振りながら琴音は答える。


「私もだ。それにああいう輩は殴りたくなる」


ポキポキ指を鳴らしながら奈々子は答える。


ってなんか怖いからやめて。


「さて、話を戻すか」


奈々子が真剣な顔に戻る。


「とにかく…俺がホームルームの時にでも勧誘してみるよ」


「そっかー想介と同じクラスだもんね」


「わかった、私たちも行くから頼むぞ」




というわけで、作戦決定。


作戦名、「とりあえず勧誘してみる」。




全く戦略性を感じない。







昼休み終わりの授業、四時間目は現国。


ちなみに、東雲学院における授業1コマの授業時間は60分と長い。


県内のとある進学校でもこの方式で、1日に60分×5、6時間をこなしている。


「…筆者がここで解いているのは、」




―眠い。




時折、教師の話が途切れ途切れになって聞こえる。


今まさに副交感神経がはたらいているところだ。


いわゆる「マジで寝ちゃう五秒前」という状況。


「…うー…やば…」


首がかっくん、と揺れているのを意識の遠くで感じる。


「…くぅ」




俺の意識、ログアウト。




「…えーじゃあ、土方。ここで述べていることを抜きだし…」


宮本先生、土方くんは絶賛居眠りキャンペーン実施中です。


と、誰か女子が言ったのが聞こえたような。


まあそんなキャンペーン実施したらあっという間に倒産だよね、間違いなく。




「…ったく」


ひゅっ、と細長くて小さい物体が投げられる。


コンマ数秒後に、


「ふごっ!」


俺の額に着弾。


「模試の存在も忘れるなよ…」


なんでもないような一言が。


生徒全員を戦慄させる。


「ひいっ…」


これはいわゆる言霊か。それとも単なる勉強不足によるものか。


「そっそっか…テスト…」


隣で榎本さんもはわはわしていたり。




まあ、いいや。




To be continue...


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