evidence 11「深夜の会話」
突然、かかってきた葵からの電話。
「どうしたの…こんな遅くに?」
『あっいや…琴音ちゃんから聞いたんだよ…』
番号は琴音から聞いたんだな。いつのまにアド交換してたんだよ。
って、今はそういうことはいいから。
『あの…ごめんね。あれから部室に行けなくて』
「いや構わないって。一回来てくれただけでも嬉しいし」
本当はあのまま勢いに乗せて入部させたかったけど。
『それでね…話があるんだ。…あの日からいろんな部に行ってみたんだ』
「…うん」
『せっかく転校してきたんだから何か新しいことでも始めようって思ってて…』
「わかるその気持ち」
だって花の高二だもの、そういうものでしょ。
『いろいろ行ったんだ…軽音部に美術部にジャズ研に茶道…あとオカルトにも拉致されて…』
「オカ研か…大丈夫だった?」
オカルト研究部はホラー、サイコ好きの変人が集まった奴らだ。なぜお前らが廃部の対象にならない。
『大丈夫じゃないよ…私怖いの苦手だし…』
「そっか…俺もなんだよ。この前河原で写真撮ったときに変なの写っててビビってもーそれから…」
『ひっ…変なのって…何…!?』
「…髪の長い血塗られたおん」
『いやあああああ!! やめてよー!!』
ゴロゴロ、と受話器の向こうから何か転がるような音。
恐らく葵が恐怖のあまりのたうち回っているんだろう。
てかまだ全部言ってないんだけどな。
「ごめん…ウソだよ。そんなの見たら心臓止まるから…」
『っ!? ひ、ヒドイよ土方くぅん…』
声から判断すると、葵は半べそ状態。
本当に怖がらせてしまった。正直、反省している。
「ごめんね…榎本さん」
『ひぅっ…ぐすっ…ひ、ひじがだぐんひどい…』
まずい、ガチで泣いてる。
男、土方想介。これでは株価大暴落である。
五分後、なんとか葵に落ち着きを取り戻させることに成功。
ただ時間が経つのを待っただけだが。
『…それで、やっと本題なんだけどね』
本題。
葵からの、深夜の電話の目的。その核となるもの。
『見学でね…いろんなものを見て、いろんな人と話をしたんだ…でも』
「でも?」
『メディ研…に行ったときの以上のワクワクした感じ、独特の雰囲気…それに勝るところは無かったんだ…』
「そうか…それは良かった」
ありがとうございます。
『だから電話したんだ…副部長さんに』
「奈々子は寝てたんだな」
なんとなくそう察した。しっかりしろ、部長。
『というわけで…榎本葵、メディア研究部に入部します』
一瞬、時が止まったような感じ。安堵で心がいっぱいになった瞬間。
「…よろしく」
ただ、一言だけ。俺はいろんな感情をこめて一言だけそう返した。
To be continue...




