嵐に潜む悪魔
へろへろに酔ったリサが起きたのは、あれから何時間後の事だった。
リサは頭を押さえながら周りを見る。
ソファーの前にテレビを見てる美由紀がいた。
「ねぇ、美由紀みんなは?」
「伸君と彰君は仕事場に行って、徹君は昼から大学に行ったよ」
「え~今、何時?」
リサはゆっくりと時計を見る。
針は3時26分を指していた。
「わたし一回も起きてない~?」
「う~ん、多分ね・・・」
「酔い覚ますためにシャワー浴びて来るね」
「うん」
リサはお風呂場へ行き、美由紀はそのままテレビを見続ける。
10分後・・・リサはタオルを体に巻いてお風呂場から出ると冷蔵庫からペットボトルの水を取り出しソファーに座った。
「なんか面白い番組やってる?」
「2時からドラマの再放送やってたよ」
「ふ~ん」とリサは水を飲みほした。
「ねぇ、美由紀・・・」
「ん~何?」
「あんた仕事しないの?」
「う~ん・・・したい仕事がまだないんだもん」
「そっか~ねぇうちの店で働かない?」
「ごめん、遠慮しときます」
「なんで?」
「だって暇そうだもん。昨日もお客さん来なかったんでしょ?」
「ぎくっ!なんで分かったの?」
「リサちゃんがあんな酔うまで飲むなんてこんな事がないとないでしょ?」
「そうなのよねー景気が悪いのか・・・私が悪いのか・・・」
リサはテレビのニュース番組に映っている総理大臣を指差し言った。
「あんたが国民のために頑張ってくれないから・・・この豚!!」
リサは立ち上がり部屋へ行きながら、巻いたタオルを取り下着を履いた。
それから時間はゆっくりと経過し、西村彰が会社から帰ってきた。
「ただいま~」
その言葉にリサと美由紀は「おかえり~」と返事した。
「あれ?森下、今日の仕事は?」
「休んだ~」とリサの手に缶ビールが持たれていた。
「お前等お気楽だな~」
「彰も飲みなよ~」
彰は部屋へ行き、カバンやネクタイを外し置いた。
「わりぃ、今から外で飯食う約束あるから・・・」
「え~誰と~?」
「誰でもいいだろ」
「あ~分かった。彼女のあかねちゃんでしょ~」
「だったらなんだ?からかうなよ」
「食事の後は、あかねちゃんとやっちゃうんでしょ~?」
「お前飲みすぎだろ!あっそういえば、伸が電話で「今日は仕事で遅くなるから」って言ってたぞ!」
彰は仕度をすると玄関の方へ向かった。
彰は靴を履いている時、ある事を思い出した。
「あれ?そういえば徹は?」
美由紀はテレビのチャンネルを変えながら言った。
「さぁ~大学の友達と遊んでるんじゃない?」
「そっか・・・」
彰は靴を履き終えると扉のノブを掴み「じゃぁ、いってきます」と言い外へ再び出た。
また二人っきりになり、リサは美由紀の隣に座った。
「暇だね~」
「そう?私はテレビ見てるから楽しいけど・・・」
「あんたテレビ見過ぎ!ねぇ、私たちもご飯食べに出かけよっか?」
「おごってくれる?」
「あんた家賃代の仕送りしかないんだから、私がおごるしかないでしょう」
「じゃあ、行く!」
二人はおしゃれして、外へ出て鍵をかけた。
エレベーターに乗り一階へと降り、ロビーの扉を開け外へ出た瞬間、目の前に大きな何かが落ちてきた。
二人はゆっくりと顔を下に向けた。
しかしそこには何もなかった。
5人はログオフし、現実世界へと戻っていた。
しかしその中の1人、大学生の小島徹のパソコン画面には「小島徹様退室」の文字が映し出されていた。
それから数分後、あるマンションへ一台の救急車と数台の警察が駆けつける。
なんとそのマンションで飛び降り自殺があったらしく、飛び降りたのは小島徹だった。
4人は今までネット世界で過ごしていたため、小島徹の死は後のニュースで知るのであった。




