ヒーロー
掲載日:2026/10/10
その国は、徹底した緊縮財政を掲げていた。
国民は貧しく、財布の紐を固く閉ざしていた。
そんな国で、政府中枢に食い込む中貫氏だけは、景気がよかった。
政府が国際スポーツ大会を開催するために十億円を投じても、その九割は中貫氏の懐に入った。実際に大会に使われたのは、一億円だけだった。
中貫氏は、その九億円をキャバクラや料亭で使った。
キャバ嬢はその金を焼肉屋で使い、料亭は漁師から伊勢海老を買った。
焼肉屋はその金で駅前の土地を買い、漁師は新しい網を買った。
その国の経済を回しているのは、中貫氏だった。
*本作品は、すべて架空の想定に基づく寓話です。




