第7話:真実
第7話:真実
「天国……?」
ポツリと、アルファが呟いた。
振り返れば、おかしなことばかりだ。
地震が起き、空が割れたと思えば、
一切の攻撃が効かない化け物が現れた。
仲間たちが犠牲になる中、亀裂に飲み込まれ、
地下世界で喋るサメと旅をしていたら、
今度は妙な集団に遭遇した。
「……そうか。俺は、あの時死んだんだな」
「違う、違う。まだ死んでないよ。……まぁ、近いうちに、
このままだと全員消えちゃうんだけどね」
ウィルが困ったように笑う。
「消える?」
「もうすぐこの世界が終わるんだ。だからみんなで『天国』へ向かってる」
ウィルは遠くの火山を指差した。
「昨日も大きな地震があっただろう? 空からはガラスの破片が降ってきた。
あれは世界の終わりの前兆なんだ。あの火山が噴火する時、すべてが終わる」
アルファは、あの忌々しい「ガラスの雨」を思い出した。
だが、いきなり「世界の終わり」と言われても頷けるはずがない。
……新手の宗教勧誘だったか。 実はサーカス団でしたって言われるよりは可能性あるか。
「いやー、そうか。世界が終わるのか、そりゃ大変だ。
貴重な情報を教えてくれて、感謝する。
天国については心当たりないけど、
俺たちも急ぐ旅なんでね、もし天国とやらが
見つかったら教えるよ。
じゃあな、ウィル。ほらリップ行くぞ」
引き止められる前に逃げようとしたアルファだったが、
いつの間にか近くに来ていたリップが空気を読まずに口を開く。
「なにか質問ですか?」
「質問じゃねえ、出発だ! ここからズラかるんだよ」
「待って! 助かる方法は『クラウドシティ』へ行くしかないんだ!」
相変わらずのリップの質問攻撃に、突っ込みを入れながら逃げようとするアルファを
ウィルは制してくる。しかし
「クラウドシティ……場所は『#$%&wf¥』ですね」
ノイズ混じりのリップの言葉に、全員の動きが止まった。
「……今、なんて言った?」
「君、場所を知っているのか!? 教えてくれ!」
困惑するアルファをよそにウィルが、リップのパーカを抑えて尋ねる。
「詳しい座標はデータ破損のため出力不能。ですが……毎朝午前4時、
定期バックアップが実行されます。それに乗れば、到達可能です」
「そうか、バックアップか! 光明が見えた、ありがとう!これでみんな助かる」
ウィルがパッと顔を輝かせる。
「……おい、二人で納得して話を進めるな」
アルファの困惑をよそに、ウィルはパッと顔を輝かせた。
「ごめんごめん! つまりね、この壊れかけた『スマートフォン』から脱出できる
唯一の方法が見つかったってことだよ」
また新しい単語だ。
「……スマートフォン?」
「スマートフォンとは、高度な演算機能を持つ携帯型の……」
とリップが呪文のように語りだしたが、所々エラーが発生していて理解できない。
「ごほん、つまりなんだけど、」
ウィルが口を開く
「ここは『ゴミ箱』っていうフォルダの中でね。僕らも、そして恐らく君も
……この『スマートフォン』という世界の中で動く、プログラムやアプリなんだよ」
「…………は?」
ますます困惑するアルファに、ウィルが畳みかけるように説明を続けた。
「例えば、僕は『ウィルスを探すためのプログラム』。……で、あそこにいるのは、
『ゲームのキャラクター』なんだ」
「ゲームのキャラクター……? 魔王じゃなくてか?」
後ろに控えていた、禍々しいオーラを放つ巨漢が
「うぬ!」と声をあげた
~第7話:真実・終~
明日の朝8時に、第8話「デュエル・スタンバイ」 アップ予定です




