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元社畜の転生皇女、ストレス値が見えるようになりました  作者: ペリーヌ
第四章 ブラック騎士団 ふたたび
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第十七話 護衛

街をのみこむほどの魔法を使った後、私は意識が朦朧として倒れてしまった。

間違いなく魔力切れだ。

ただ寝ていれば治るような現象なのに父は心配して私に10日間自室での療養を命じ、私が部屋でのんびりしている間にウネマ王国とエリオット公爵達は既に出航してしまっていた。


交渉が万が一速攻で決裂していたとしても速攻で上手くいったとしても、結果が分かるのは早くて4ヶ月後。


私はこの期間に、私が下手に手を出してしまった騎士団のことを収集しようと思っていたのだが、良い案が思い浮かばない。


部屋で寝てばかりいるのももったいないので、騎士団長にお互い書面で現在の問題点を明確にしないかと手紙を送ったところ、返って来たのがこちら。



【現状の問題点】

・騎士の信頼の失墜

→信頼、威厳を失うことにより、騎士団員のやる気の低下。また護衛対象が我々を信頼しなくなることにより護衛しづらくなる。


・予算の削減

→皇女殿下に負けるようなら騎士団がその役割を果たせていないという理由の元に、遠征や訓練費などの削減。


・訓練の質の低下

→上の者の威厳が無くなったことにより、訓練の質の低下。


騎士団で多くの経験を積んでいる者ほど現状に不満が多く、そのことで退職を検討する者や若手に対して教育を行わない者も出てきている状態です。




どう解決すればいいのか、見当もつかない。



そして、私が手紙の返事のお礼と共に送ったのがこちら。


【以前のやり方での問題点】

・食事制限

→騎士は体が資本なのに食べさせないというのは矛盾している。それではいざという時に戦うことが出来ず、命を落とす、又は任務の遂行が出来ない結果に繋がる恐れがある。

それと精神的に弱りやすくなる。


・体罰

→恐怖において縛る訓練を強いた結果、恐怖に屈する騎士が出来る恐れ。また、無意味に過酷な環境に置くことにより、人員不足を招く。体罰をしている側の人格破綻の恐れ。



倫理的にとか、パワハラは駄目という概念が無いため彼ら仕様に書いたのだが、両方とも伝統的にされていたことみたいだしこれで騎士団員全員が納得してくれるかというと、そう上手くはいかないと思う。


手紙のやり取りの結果、騎士団長や副騎士団長など、騎士団上層部との会議は余裕を見て2週間後に設けているが、それまでに有用な策を見つけないと……。


「う~ん……」


療養が終わり、お兄様にお茶のお誘いを受けているため、早めに来てガゼボで書類とにらめっこしているが何も思いつかない。


皇宮の書物はもう読み漁っているから、新しいアイディアが出てくるかは怪しいしこの後街にでも行ってみるかな。


「アンジーお待たせ、体調は?」

「もう大丈夫で……マシャドさん⁉なんで居るんですか⁉」


兄と一緒に来たのは、前回会ったときよりも上等な服を着ているマシャドさんだった。

彼は軽く頭を下げてくるが、それ以上は話さずお兄様から離れた微妙な位置に護衛の様に立った。


「うん、アンジーの療養中にウネマ王国とちょっとあってね」


お兄様の話を要約すると、私の魔法を見て貴重性を重んじたウネマ王国が護衛を置きたいと言ってきたらしい。

こちらとしては帝国の護衛を見くびっているのかと反発したそうだが、その日に帝国が偶に要請する傭兵10人とマシャドさん1人で戦ったところ5分とかからず圧勝したらしい。しかも素手で。


そして、何も言えなくなった帝国は留学という形でマシャドさんの滞在を許したとのことだった。


「騎士を戦わせなかったのは騎士団の信頼が落ちているからだったけど、結果的に良かったよ。外部の者が負けたということだからまだ帝国のメンツをギリギリ守れた」


「10対1?相手も素手?」


「いや、相手は武器ありだったよ。初めは我々も馬鹿にしすぎだろうと思っていたが、赤子の手を捻るように次々と腕を折ったり足を潰していくんだ。目を疑ったよ」


思わず目を丸くしてマシャドさんを見ると、帝国語でも自分の話をしていることは分かるのか照れたように頬を掻いて、ヒョウ耳は猫が撫でられる直前みたいに横に寝かせている。ちょっと可愛い仕草なだけにギャップがすごい。


お互いに見ていると、コホンと咳払いをして続けるお兄様。


「ただそんな危険なヤツをアンジーの傍にずっと置くわけにもいかないからね。一応皇宮の外に行くときには同伴という約束になっているが、もし怖いようなら言ってくれ」


「驚いているだけで怖くはないわ」


そう、ただただ驚いているだけ。


「……侍女に聞いたけど、贈り物ももらっているらしいな。もしかして仲良いのか?」


「悪くはないわ。お兄様、私の護衛だと言うのならこの後丁度街に出るつもりだったしマシャドさんと行ってもいい?」


『もっと離れて待っていてくれ』


私の質問は無視してお兄様はマシャドさんに話しかけ、私をじっと見てくる。


「アンジー、何だか嬉しそうだと思うのは僕の気のせいか?」

「へ⁉う、嬉しいとかではなくて、知り合いで良かったなって」

「ふぅ~ん?」


「お兄様が変なことを言うから動揺しているだけよ」


私が言い直してもお兄様は私のことをじっと見ている。

正直言うと、ちょっと嬉しかった。しばらくは会えないと思っていたし会ったときはいつも時間が無くてもう少し話したいと思っていたし、それでもお兄様が考える色恋とまではいかない。


お兄様は軽く溜め息を吐いて、使用人に新聞を数社持ってこさせて私に見せた。

どれも私の魔法について肯定的に書いており、そして大きな文字で。


聖女の次なる婚約者は誰か⁉

聖女アンジェラ様を射止める者は果たして‼

帝国内の男が色めき立つ‼


などが書かれていた。


「せ、聖女?」


魔法がはっきりと分かってから、冗談交じりに言われることはあったがこれは冗談という感じではない。


「お父様はもうアンジーに政略結婚をさせる気は無いし、ウネマ王国との婚約が無くなってしかも癒しの魔法で国民の人気も熱い、婚約の書状も大量に来ている。誰を選ぶかはほとんどアンジーが決めていい、けど‼」


わざと声を潜めてお兄様は横目でどこまでも遠ざかって歩いて行っているマシャドさんを見た。


「アイツは駄目だ、あのクソ王子がこれから治める国にアンジーを嫁がせるわけにはいかないし、アイツが帝国で暮らすとしても必ず苦労する‼絶対に駄目だ‼‼」


「……別にそんなこと思ってない」


前世も入れればもうかなりの年だと言うのに、つい子供が拗ねたような口調で言ってしまい後悔したがもう遅い。


「心配しているんだ」

「大丈夫分かっているわ、私ももう大人だもの」

「アンジー、何かあったら言うんだよ?」

「えぇ、ではこれで失礼します」


これ以上は平行線なのでカーテシーをして、さっさとお兄様から離れ、マシャドさんを追いかけた。

お兄様の一言のためにどれだけ離れるつもりなのか、小さくなった背中を目標に歩いていくと彼はすぐに振り返って戻ってきた。


『もしかして、聞こえていタ?』


前回会ったときに敬語はいらないと言われたのでドキドキしながら普通に話しかけてみる。


『少し、でもまだ帝国語をあまり覚えていないので内容は分からなかったのですが、俺に用ですか?』


あの結婚云々の話が聞こえていたらどうしようと思ってじっと金の瞳を見つめると、困ったように笑いかけられる。

気持ちが耳にも現れるのかヒョコヒョコと機敏に耳だけ動くさまは可愛い。


『街に出かけるのでついてきてほシイの』

「喜ンデ」


軽く頷くとマシャドさんは私の手を取ってキスをしてきた。


「へ⁉」


『……こういうのを本で読んだのですが、すみません、使い方が違いましたか?』

『エト、予想していナくって‼』


手にキスをする行為は挨拶が多いけど、広範囲の意味でみれば間違ってはいない。


お兄様に言われて逆に意識してしまったのか、自分でも分かるほどに顔が熱くなってくる。

手を離してもらい、私は必死で頭の中を騎士団の立て直しにシフトチェンジした。


面白い!続きが気になる!と思っていただけたらやる気につながるためブックマークや評価をお願いします‼<(_ _)>


既にしていただいた方、ありがとうございます‼


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