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世界の真実

言われたとおりに階段を使って二階へと昇ると、すぐに資料室が見えた。中へと這入る。


「さて。この世界の歴史書が見たいんだけど、あるかな?」


壁際の棚にはズラリと書籍が入っており、机の上にも所狭しと積まれている本。それをざっと見回し、さらに近づいて一冊一冊確認していく。『龍戦士の激闘』『医医後記述』etc……。長く置かれた本の独特の匂いをかぎながら、お目当ての本を探していると、見つけた。


「『クレンドナフ王国近代史』!」


そのまま背表紙に指をかけ、引き抜く。表紙には王国の紋章らしきシンボルがあり、異世界の言語でクレンドナフ王国近代史と書かれていることが自然にわかった。荘厳な装丁のそれをゆっくりと開く。


「えーと、なになに?」


そこに書かれている、王国の歴史の概要はこうだ。

読んでいる今現在から百年ほど前の話。当時、人間の──否、この世界は戦争真っ只中だった。それは、身体に獣の特徴を宿し、複数のスキルを一人の身で操ることができる、強大な魔族との戦争だ。一人一人の戦闘力が極めて高い彼らに対し、人間は、魔族以外のほとんどの亜人族と連合軍を組み、拮抗した戦いを演じていた。

しかし人間側に神託者と呼ばれる、類を見ないほどの才能を、スキルを持つ人間が現れたことで、その趨勢は一気に連合軍側へと傾いたのだ。その勢いのまま、戦争は連合軍側の勝利で終わった。敗戦した魔族側は、ごく少数の仲間を地上に置きざりにしたまま世界各地に大穴を掘って、地下へと逃げ込んだのだ。

その大穴は今現在、迷宮要塞(ダンジョン)と呼ばれ、そこからは度々魔族が漏れ出してくる。またもや戦争を起こさないように、人間や亜人たちが自身のスキルと技術を磨き、ダンジョンへと赴いては魔族を倒す、守護者と呼ばれる職業ができたのが五十年ほど前のことだ。それから今に至るまで、クレンドナフ王国は守護者を多数排出する学院を作り、平穏を保ってきた。

他にも細々とした歴史があったが、この事実以外に特筆すべきことはなかったといっていい。守護者というのは、いわゆる冒険者や探索者と同じような立場であるのだろう。そして、ここに来るまでの通りで起こった疑問にも終止符が打たれた。


「なるほどな?だから獣人がいなかったのか、納得だわ」


歴史の本を軽く読んだことでこの世界の成り立ちを知ったユウセイ。そのままもう少し調べようと本棚をぐるりと見回すと、足元に『カムフトーム魔塔学院について』という薄い冊子が目についた。入学のためのパンフレット的なものなのだろう、ポップな字で書かれたそれは、まるで読み終わってすぐにポイと捨てたような乱雑さで落ちている。都合よく見つかったそれに、少し首を傾げながらも、拾い上げることにした。


「こんなところに落ちてるなんて、ラッキー。読ませていただくとしよう」


まずはペラペラと捲り、重要そうなところに折り目でマークを付けていく。先程の暦書よりはかなり薄いのでサッと読み切り、次に折り目を付けたところをじっくりと読んでいく。


「ふーん、ポイントで強さを測る、ってことか。お、パーティね。パーティは組んどきゃ安心って感じねえ。誰か組んでくれると良いがなー」


そうこうして、読み終えた。軽くうなずきながら、冊子を元の位置に置いておく。そして、自分の行く先を見据えるために、心の芯を立てるために、宣言する。


「うん、確かにここならやるべきことがあるな。願いが叶えられる『賢者の石』……。それで願いを叶えて、元の世界に帰ればいいんだ」


何でも願いが叶うというなら、元の世界……日本に帰ることもできるだろう。ユウセイはそう考え、確かにあの受付のお姉さんの言うことは正しかったと感じた。今後の指針を見つけたユウセイは、早速部屋を出ていき、階下へと行ったのだった。


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