公序良俗に反するとぬいぐるみにされてしまう浦島太郎
昔々あるところに、浦島太郎という若者がおりました。
ある日、浦島太郎が海へ釣りに出掛けると、亀をいじめる数人の子ども達を見つけました。
「あの亀は絶滅寸前の……」
子ども達は大人の事情ですぐにぬいぐるみにされてしまいました。
「助けて頂きましてありがとうございます。お礼に竜宮城へお連れいたします」
「何もしてないけどお言葉に甘えて」
「ささ、背中へどうぞ」
「乗るのは良くないから手を繋いで行こうか」
浦島太郎は亀と手を繋ぎ、海の底にある竜宮城へと向かいました。
「亀を助けて頂きまして、誠にありがとうございます」
乙姫は何故かメイド服でした。
「マムシ酒にスッポン鍋に回るハートのベッドです」
やけに薄暗い部屋に案内され、妙な料理が運ばれてきました。いつの間にか乙姫のメイド服は胸元が大きく開けておりました。
「数百年ぶりの男! 数百年ぶりのおと……」
乙姫はぬいぐるみにされてしまいました。
些かがっつきが過ぎた様です。
「お料理をどうぞ」
鯛やヒラメが至ってシンプルな手料理を運んできました。
「お袋を思い出す味だ。帰ろう」
「では、この玉手箱をどうぞ」
浦島太郎は奇妙な漆塗りの箱を手渡されました。
「では帰りを頼む」
亀と一緒に浦島太郎は地上へと戻りました。
「じゃ」
「玉手箱は絶対に開けてはいけませんよ」
浦島太郎が家へ戻ると、手足を縛られた妻があられもない姿で夜具の上に横たわっておりました。
「あなた、お帰りなさい♡」
妻はすぐにぬいぐるみにされてしまいました。
浦島太郎はこの世界に絶望して玉手箱を開け、枯れ果てた姿となり短い余生を独り過ごして終えたそうです。