【短編】魔女の呪いは恋を実らせたい!
素人ですが小説を書いてみました。
駄文ですが良かったら見ていって下さい。
昔々、ある所に一人の魔女がいました。
魔女は醜く、悍ましい姿をしており、人々から恐れられていました。
魔女を恐れた人々は手に刃を持ち、魔女の住処に向かいました。
人々は言います。
どうか、この地を去ってくれと。
魔女は言います。
どうか、此処に居させてくれと。
人々は魔女を拒絶し、刃を魔女に突き立て、この地をから魔女を追い払いました。
ある日の昼下がり、私はこの国の王子が城の敷地内にある庭園で昼寝をしていたのを見つけた。
「何のんきに寝ているんですか?」
私は王子に声を掛けて起こしてやった。
まったく、困ったやつだ。
この国が平和とはいえ、一国の王子がこの時間に昼寝とは...
「あぁ...気持ちよく寝てたのに」
王子はあくびをしながら私に言う。
「真面目な魔女もいたもんだなー」
王子は続けて私に言った。
そう、私はこの王子に取り憑いている魔女だ。
昔、私が道端で死にかけているところを、この王子が子どもの頃に助けてもらった。
おかげで、この王子は呪われてしまった。
王子に掛けられた呪いは『十八歳までに恋を成就させなければ死ぬ』というものだった。
「今日は大事な縁談の日ですよ。今回こそ運命の方かもしれません」
「そうだと良いけどね」
王子の十八の誕生日まであまり時間は残されていない。
私を助けたせいで呪われてしまったこの王子を私は助けてやりたい。
「王子!こんな所に居られましたか...隣国の姫君が到着されましたぞ!」
庭園にこの国の宰相がやって来て王子に告げた。
「話声が聞こえましたが、誰か居られましたかな?」
「まぁね」
宰相は少し不思議そうな顔をした。
それもそうだ、私の姿はこの王子にしか視えていないのだから。
この国の王の玉座がある謁見の間に私たちは通された。
そこには先に隣国の姫が到着していたようだ。
「初めまして王子様。今日はよろしくお願いしますわ」
「こちらこそよろしくー」
隣国の姫は絶世の美女と噂されているのを城内で聞いたが、噂に違わぬ美しさだった。
城内にある庭園を王子と姫君が散歩していた。彼らの臣下による計らいで、ふたりのだけの時間を与えられたようだ。
「綺麗な池ですね。ここに咲いてある花も大変美しいですわ!」
「そうかい?気に入ってくれて僕も嬉しいよ。ここは僕のお気に入りの場所でね。昼寝するには打ってつけさ」
「昼寝だなんて、面白い方。私もここが気に入りましたわ!どうやら私たち気が合うようですね」
私が見る限り、ふたりの雰囲気は良さそうだ。
あれから日が沈むまでふたりは庭園で語り合い、打ち解け合っていた。
彼が...王子が、私以外の人間とこんなに楽しそうに話すのは珍しい。
今回はもしかしたら...
日も沈み、夜となり私たちは王子の部屋にいた。
「あの姫と恋仲になるよう頑張りますよ」
私は気合いを入れて王子に言った。
「うーん...」
...王子は随分と曖昧な態度だった。
しばらく、王子は考えた後に口を開いた。
「具体的にはどうするの?」
「これが今回の作戦です」
私は準備していた羊皮紙に書いた作戦を床に広げる。
「なになに...朝は城外にある湖の辺りを馬で巡る。昼は城下にて買い物、姫にプレゼントの一つでも買う。昼食は城下で食べ歩き。距離感が縮まる。夕方まで城下を散策し、最後は夕焼けが綺麗な高台で愛の告白...」
私が考えに考えた完璧な作戦だ。
きっとこれでふたりは恋仲になるはず...
「意外と普通だね」
「...」
ふたりが庭園で語り合っている最中、私が必死になって考えた作戦が普通...
王子の答えに少し不服だと思っていると、王子はこちらを見て笑っていた。
何がそんなにおかしいのだろうか...
王子は急に私に近づいて頭を撫でた。
私は子ども扱いされた気分になり、王子を突き飛ばしてやった。
あれから数ヶ月、王子と姫は手紙のやり取りをして交流を続けていた。
やはり、王子もまんざらでもないみたいだ。
そして明日は久しぶりに姫と逢う日だ。
今日は私と予行演習を兼ねて明日の順路を確認しに行く。
「お金は持ちましたか?ハンカチは?それと...」
私は王子に不備が無いか念入りに確認する。
「お母さんかよー」
急かせかと準備と確認をする私を見て、王子は困った顔で笑っていた。
王子と城の外に出ると、用意されていた馬に乗って私たちは湖に向かった。
湖の辺りを颯爽と馬が駆ける。
私は振り落とされないよう、不本意だが王子の腰に手を回して掴まっていた。
「朝の散歩は気分がいいね」
「...はい」
密着した王子の背中は、子ども頃よりもずっと大きくなっていた。
大きい背中と体温は心地いいが、私の心は何故か落ち着かない。
一通り馬での散歩を終えると私たちは城下へと向かった。
城下は賑わっているようで、人混みが多く歩くのも大変だ。
王子と私は城下の露天商が並ぶ通りにやって来た。
「おい!兄ちゃん!これ買っていきなよ!」
「ソイツの店は偽物しか置いてないぞ!こっちに寄っていきな!」
「おいおい、こっちには一流品しかないぞ!」
それぞれの露天商から呼び込みを受ける。
少し粗暴だが活気と熱気があり、ちょっとしたお祭りのようだ。
「そこのお兄さん!」
露天商の女に王子は声を掛けられた。
その店には様々な細工が施された装飾品が沢山並んでいた。
その中でも私は花の形に細工した銀色の指輪に目が留まった。
「店主さん。この指輪頂けますか?」
「この指輪かい?お目が高いね兄さん!これはミスリルのカケラを細工した一品物だよ!さては彼女にプレゼントかい?」
露天商の女がこちらを見た気がした。
「なッ...!」
私は不覚にも驚いてしまった。
この露天商の女には私が見えているのだろうか?
しかし私の驚いた声には反応が無い。
どうやら露天商には私の姿は見えていないようだ。
私は急に恥ずかしくなってしまった。
自分でも、顔が紅くなったのが分かる。
横を見ると王子が意地悪そうな顔で笑っていた。
「じゃあそれを下さい」
「毎度!」
指輪には花の形の装飾がしてあり、とても可愛いらしいものだった。私が指輪に見惚れていると...
「...欲しい?」
王子がまた意地悪そうな笑顔をしながら私に質問した。
「いりません」
私が無愛想に答えると王子は指輪を懐に仕舞い込んだ。
「そっかぁ...残念」
残念そうに王子が呟くと、足早に先に行ってしまった。
城下をしばらく歩いていると、どうやら昼時になったようだ。
ぐー。
不覚にも、私のお腹から大きな音がなった。
「あはははははは」
どうやら王子にも聞こえたらしい。
凄く悔しい気分だ。
私が周りを見渡すと、一件の屋台があった。
そこにはパンで牛肉、トマト、レタスを挟んだハンバーガーなるものが売ってあった。
「食べたい?」
「べ、別にいりません...」
本当は食べたい...が、あんなお腹の音を立てた後に食べるとは言いづらい。
そんな事を考えていると、気づけば王子はハンバーガーを2人分頼んでいた。
「はい、どうぞ。ひとりで食べ切れないので遠慮なく」
「仕方ないですね」
ハンバーガーを受取った渡しは遠慮なく頬張る。
「...美味しい」
「顔!顔!...あはははは」
王子は私を見て笑う。
私は持っていた手鏡で顔見るとハンバーガーで思いっきり顔が汚れていた。
その後、私たちは夕方になるまで城下を見て歩いた。
私たちは沢山の所に行き、沢山の話をした。
こうやっていると、何処にでもいる休日の恋人同士のようなのかな?と思ってしまう。
そう思うとなんだか胸が苦しくなった。
何故なら今日は練習を兼ねた下見だ。
本来ならこの王子の横にいるのは私では無い...
考えに耽っていると城下の高台に着いた。
水平線に沈む夕陽が見える。
とても...とても綺麗だ。
「明日は頑張ってください」
私は王子に言う...なんだか少し泣きそうな気分になるが、そこはグッと堪えた。
「うん...」
王子は夕陽を見ながら、ただ一言そう言った。
翌日、隣国の姫がやって来た。
相変わらずの美しさは健在のようだ。
ふたりは予定通り湖に行った後、城下にお忍びで行った。
城下で待ち伏せていた私はこっそり後をつける。
昨日ふたりで行った場所を楽しそうに王子と姫は巡る。側から見たら完全に恋人同士だ。
今回はもしかすれば、もしかすると...
この恋が成就すれば、私の呪いから彼は解放される。
...これで良いんだ。
でなければ、王子が死んでしまう。
自分にそう言い聞かせて、ふたりを見守る。
...気がつけば私は走り出していた。
城下を抜けて湖のある辺りまで来た。
なんで...なんで...なんでッ!
なんで彼の隣りには私がいない。
頭の中が滅茶苦茶になる...
心が暗く澱んでいく...
視界が暗くなっていく...
ドウシテ、コウナッタノダロウ...
湖の水面には恐ろしい怪物の姿があった...
「化物!この地から出て行けッ!」
昔々、人々にそう言われ、住んでいた土地を追い出された。
そして長い時を彷徨いこの地に流れてきた。
その時はもう死ぬのを待つくらいに朽ち果てていた。
しかし、この湖の辺りで王子が私を見つけた。
傷だらけの私を彼が懸命に手当てしてくれたお陰で助かった。
彼と過ごすうちに、私の心も癒されて、気づけば魔女は普通の女の子の姿になっていた。
私は彼に身も心も救われたのだ。
そんな優しい彼を死なせたくない。
だから今日まで頑張ってきたのだ...
「コノ地ヲサロウ...ソウダ、ソウシヨウ」
王子はきっと姫と結ばれる。きっとそれが、彼の為だ。
御伽噺はいつだって王子が魔女を倒して姫を救うのだから。
だから去ろう。彼の幸せをきっと私は見ることが出来ない。
「待って!」
聞き覚えのある声がした。
そこには私の大事で大切な王子様がいた。
「ドウシテ...」
今此処にいるはずのない、王子がいる。
でも何故?王子は姫と居たはずだ。
でも理由はなんとなく分かった。
彼はやっぱり優しいのだ。きっと私の気持ちに気づいていたのだろう。
『私は王子を愛している』
だから彼はここまで来てくれたのだ。
だが、それは駄目だ。この恋はきっと実らない。
そうすれば彼は死んでしまう。
それだけは絶対に駄目。
「呪いなんかとっくに解けてるよ」
王子は静かに言う。
「魔女、君が好きなんだ」
私の心が騒めいた。
「ーーーーーー」
きっと私は声にならない声を出しただろう。
顔が熱くなるのが分かった。
王子は私に近づいて、いつかの指輪を渡してくれた。
「お前が好きだ。だから何処にも行かないでくれ」
私の体が溶けてゆく。
どうやら私は人間の姿に戻ったようだ。
「僕はずっと君が好きだった。でも君がいつか僕のもとを去ってしまうかもしれないと思った。だから僕の呪いを解くことを口実にして側にいてもらった...ごめん」
彼はずっと隠して来たのだろう。
「僕はいつだって君に振り向いて欲しかった。だから縁談も受け続けてきた」
だけど私は嬉しかった。
やっと気持ちが通じた気がしたから。
「私たち馬鹿みたい...」
ふたりともずっとお互いが好きだった。
それがやっと分かったのだ。
きっとこれは私の呪いが実らせた恋なのだろう...
私たちはお互いを抱き寄せ口づけを交わした。
ここまで見て頂きありがとうございます。
これからも頑張って書きますのでよろしくお願いします。




