勇者と魔王の漫才「宿屋」
2人「どうも〜よろしくお願いします〜」
勇者「我々勇者と、」
魔王「魔王で漫才やらせていただきます〜」
勇者「まあ私勇者はですね、世界の平和のために日々冒険を続けているわけなんですけれども」
魔王「ええ、全く、立派なことですね」
勇者「その冒険を続ける上で欠かせない存在なのが宿屋さんなんですよね」
魔王「あ〜〜、宿屋さんね。 あそこはいいところですよね」
勇者「魔物との戦いでどれだけ傷ついても、魔力を消費しても宿屋さんに泊まれば一晩で全快。 おまけに薬草や聖水を使うより経済的」
魔王「道具に頼るのもいいですけど、やっぱり宿屋の方が人と人との繋がりを感じられますよね」
勇者「まあね、どの口が言うてんねんて思いますけど」
魔王「いいでしょうそこは別に」
勇者「それでね、そんな便利で素敵な宿屋さんなんですけど、一個だけ腑に落ちないというか、疑問なところがあるんですよ」
魔王「ほう、と仰いますと」
勇者「宿屋さんって大体どこの街とか村にもあるんですけど、場所によって宿泊料が全然違うんですよね」
魔王「あ〜〜……確かに、小さな村だと1人10ゴールドくらいで泊まれるけど、都会の街だと100ゴールドくらいしますよね」
勇者「そうなんですよ。 別に体力とか魔力が全回復するのは同じなんですけどね。 なんでこんなに値段が変わるのか納得いかないんですよ」
魔王「なるほどね〜〜。 それはほら、あれじゃないですか。 冒険が進むと勇者さん達の体力も上がるから、その分回復するのに費用もかかるんじゃないですか?」
勇者「いや、それは関係ないって。 どんだけ強くなっても最初の村の宿屋さんは1人8ゴールドで泊めてくれますからね」
魔王「うーん、それじゃあ……やっぱり都会の宿屋さんの方が人気なんじゃないですか。 人気で予約も取りづらいと。 だから値段も高くなる」
勇者「うーん、そういうことなんかなー」
魔王「あとはほら、宿代高いところは内装とかも豪華でしょう。 そういうところにお金かけてるから、宿代が高くなるのはしょうがないんじゃないですか」
勇者「……さっきから聞いてたら、お前すごい宿側の肩持つな」
魔王「そうですか? そんなことはないですよ」
勇者「いやーなんか怪しいな。 さてはお前、宿サイドと癒着してるやろ」
魔王「急に何言い出すんですか。 癒着も何もないですよ。 大体、私は宿屋は使いませんからね」
勇者「じゃあ体力減った時とかどうしてんの?」
魔王「それはほら……私は第二形態になれば全回復するんで……」
勇者「なんやそれ! それじゃあいちいち寝る前とか一旦第二形態なってるんか!」
魔王「ええ、そうですよ? とにかく、私は宿屋さんには行ったことないので、癒着も何もないですよ」
勇者「やっぱ怪しいな……考えてみれば魔王城に近くなるほど宿代も高くなってる気がするし、お前ら裏で繋がってるやろ! で、不当に価格を釣り上げてんねん!」
魔王「だから繋がってないって! そんな言うんだったら毎回最初の村に戻って宿屋泊まればいいでしょう!」
勇者「そんなケチくさいことできるか! 『うわ、あの勇者またうちの宿来たよ……どんだけ金ないんだよ』とか噂されたらどうすんねん! 故郷に帰りづらくなるわ!」
魔王「知るかそんなこと! 実際ケチなんだからしょうがないだろ!」
勇者「宿代ケチっていちいち第二形態なるやつにケチとかいわれたないわ!」
魔王「別に宿代ケチってるわけではないわ! 嫌だろ宿屋に急に魔王が来たら! 宿屋の人も腰抜かすわ!」
勇者「そこは向こうもプロなんだからちゃんと接客してくれるよ。 『ようこそおいでくださいました魔王さま。 一泊7万ゴールドになります』」
魔王「高いな! めちゃくちゃぼったくられてるじゃねえか! 大体高くても相場は200ゴールドくらいだろ!」
勇者「なんで魔王が相場に詳しいんだよ……やっぱりお前が裏で価格操作してるだろ」
魔王「だからしてないわ! 人類を経済的に苦しめる魔王なんか嫌だろ!」
勇者「まあね、どんな手段であれ人類に仇をなす魔族は許せないんですけど」
魔王「急に勇者っぽいこと言うな……」
勇者「あとね、もう一つ宿屋で気になることがあるんですけど、バーコード決済にはいつ対応するんでしょうか?」
魔王「対応するか! いい加減にしろ」
2人「どうも、ありがとうございました」
タイトル、「コント『勇者と魔王の漫才』」と迷ったんですけどどっちの方が良かったでしょうか?