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第十四話 お役所

 日が暮れ始めた頃、乾は開放された。

 地下の部屋を出るときは渡辺が捨てられた子犬のような目をするため、出るのには少し心苦しい思いをしたのだが、それでも溝渕が帰るように言うため乾はそれに従った。

 ここの地下に潜る前には空高くに昇っていた陽は、沈みかけ空を赤く染めている。

 

 長い間何をしていたかと言うと、話して、ゲームして、遊んでいただけだ。いや、本当に。


 特に深い話などはせず、他愛のない話が二人の間で続いた。

 渡辺が持つゲームの中に乾も持っているゲームが有ったため、その話に花を咲かせ、プレイしたりしていた。


 小学生が友達の家に遊びに行ったようだ。

 特に面白い話をしたというわけではない。しかし渡辺は終始楽しそうに話していた。

 

 数時間一緒にいたのだが、乾にはこの少女が乾の考える教祖とはかけ離れていることに気づく。

 まず、乾と一緒にいるときはただの子供のようにしか思えなかった。山口からは乾たちと同じ21歳であると話を聞いたが、見た目は可憐な中学生ぐらいだとしても、精神年齢は更に低く小学生といっても間違いはないだろう。

 

 なぜそうなってしまったのだろうか。疑問に思う。だが渡辺は過去については一度たりとも話すことはなかった。魔眼のことも。

 本人にとってはコンプレックスのようなものなのかもしれない。人々が羨ましいなどと思うものは、コンプレックスであったりするものだ。

 

 そしてわかったことがある。魔眼はゲームを見通せない。

 RPGなどのストーリーゲーがあることに疑問に思った乾はそれとなく聞いてみたのだ。ストーリーは見通せないのか?と。

 「ゲームは人じゃないから大丈夫」とのことだ。

 なるほど。「全てを見通す魔眼」ではないようだ。


 しかし疑問が残る。

 確かに乾が部屋に入る前に魔術を見抜き、そしてその魔術の弱点すら見抜いている。

 ゲームは無理だが、人は、魔術は見通せるのかという疑問だ。

 

 無機物には意識がない、という意味であればどうだろうか?

 だが魔術に意識がない。それでもその弱点を見抜けるのだから、不思議だ。

 

 言葉遊びをしているような、そんな感じだ。

 


 大学行ったときに、山口にでも相談してみるか。

 乾は、目に入り込んだ夕日の光に目を細めた。


 黄昏時は良くないものが出ると言う。

 魔術を学んでいくうえで、妖怪のような怪異のことも知識としては必要不可欠だ。

 

 そういえば最近では、組織にさらわれたときもこんな時間だだったな。

 

 「ねえ君」そう声をかけられたのはその時であった。

 太陽の光でその姿は黒色を塗られたようになっている。乾が目を細めてそちらを見る。

 サラリーマン、いやかなり良い仕事をしているなと思わせる良いスーツを着ており、鋭い目を隠すように銀色の縁の眼鏡が掛けられている。

 髪の毛は油で固められており、ひげはそられている。立派な好青年、仕事ができる人は全員こういう人なのだろう。だが乾が知っている人間ではないことは確かだ。

 

 「ああ、眩しかったか」男は眩しがっている乾に気づいたのか、場所を変える。

 「あ、ありがとうございます。それで何のようでしょうか?」


 乾は訝しげな目でそちらを見る。

 正直に言ってこの男は怪しい。異様に高級そうなスーツ、そして何より知らない男にこうやって話しかけられていること。こういうときって詐欺とか、マルチ商法などの人間なのかもしれない。

 

 もしかして見た目が変わっている知り合いなのか?とも思うが、知り合いに就職活動をしている人間はいない。

 

 「ちょっと話が聞きたいんだ」

 「いや、話ってナンパですか?すみませんあれではないのでごめんなさい」何二回謝っているのだろう?


 だが男は笑うのをこらえるように顔を歪ませた。

 「僕もそうだよ。話を聞きたいのはこちらでね」

 さっとスーツの内ポケットから何かを取り出す。他の人には見えない角度でこちらに見せられたのは、証明書であった。

 

 魔術師会犯罪調査課

 ほかに長ったらしく肩書のようなものが書かれていたが興味なくすぐに顔を上げる。


 俺らがよく“お役所”と呼ぶ人であった。


 「話をしてくれるね」

 男はニコニコしながら言った。

 


 *******************



 夕飯はどうかな?といって男、奥峰雅紀と一緒にレストランに入った。

 絶対に一人では、いや友人とでも入らなそうな高級そうな雰囲気のレストランに萎縮してしまうのだが、奥峰はどういったこともないように入っていく。

 本当にこんなところに入って良いのだろうか?という不安と、そこまでして俺からどんな話を聞き出したいのかという疑問が頭をよぎる。


 

 魔術師会、それは政府に公式に認めはされていないものの、それでも魔術師にとっては警察公安よりも怖いところだ。

 そりゃ警察も怖い。魔術師であろうとも犯罪を犯せば捕まるしね。だが、痕跡の残らないような魔術を使えばバレやしない。

 

 それを調べるのが魔術師会の犯罪調査課だ。

 魔術会といいてもいろいろ課があり、対策課であったりあるらしいことは知っているが、正直に行ってあまり知らないというのが本当のことだ。

 全貌ははっきりと分かってはいない。だが、確実に存在していることは明らかだ。

 

 

 「お酒は飲める?」

 「まあまあです」


 そんな弱いわけではないが、何杯ガブガブ飲んでも平気でいられるほどは強くない。

 ちなみにだが、山口は何杯でも飲んでも平気なタイプだ。一度飲みに行ったことがあったが、日本酒でも、ウィスキーでも、出された酒はすべて飲み干し、平気でいた男だ。


 そうかそうかと言いながら奥峰はワインをグラスに注いでいく。

 その液体はどれほどの値段がするのだろうか。聞いてみたい気もするが、聞いたら飲めないだろう。もしかしたら俺の一時間の価値より高いかもしれない。


 「乾杯」

 「か、乾杯」

 出されたグラスに自分のグラスを触れさせる。

 完全に相手のペースだった。


 一口飲んでみるが、これまでにワインを飲んだ回数は少なく、味の違いがわからない。

 奥峰は簡単にグラスに口をくけずに、液体を回し香りを楽しんでいた。それを見ていると簡単に口をつけてしまった自分が恥ずかしくなる。


 奥峰がワインを一口飲んだところで話が始まった。


 「僕が聞きたいのは神の目の話だ」

 「神の目?」教祖、渡辺のことか?

 「さっきまで君がいた宗教の名前だよ」

 「そんな名前だったのですか」初耳だ。


 そんな事も知らなかったのかよと奥峰は呟くが、続ける。

 

 「その宗教のことを調査しているのだが、君はなぜあそこへ?見たところ信者ではないようだが」

 「溝渕という男に脅されてあそこに行きました」

 「この男だな」


 タブレットに表示されたゴリラのような男を見て乾は頷く。 


 「あの建物の中では何をしていたんだ?」

 「教祖とゲームしてました」

 「ゲーム?」奥峰は訝しげな目をこちらに向けた。「本当か?それに教祖に会っただと?」

 

 乾は頷く。

 そのことが信じられないように奥峰は大きく目を開いている。

 少し口をパクパクさせて、何か話そうとしたとき、丁度一品目の料理が運ばれてきた。


 なんと間が悪い。

 

ずっとここは無視していたのですが、ここは何を書けばよいのでしょうか。

一時期かいていたこともあったのですが、面倒くさくなって書くのをやめていました。しかし最近気になりだしまして後書きになにか書こうと思いました。

何かと言われても何かとしか言えないのですが、よくYouTubeで、最後に高評価、チャンネル登録宜しくお願いしますっていうじゃないですか。それと同じように、評価、感想、ブックマークを宜しくとでも言えばよいのでしょうか?


とりあえずこれから何かしらここに書くかもしれません。ヨロシクオネガイシマス。

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