6.ドラゴンと少年と可愛い招待
今日も元気に更新中!
「・・・・・。・・・・それは暴露して大丈夫な話なのか」
「それって?」
この子、天然なのかな?
破滅のドラゴンといえば、子供だっておとぎ話で知っている悪い奴だ。人魔大戦の元凶で、手下の魔族と世界を苦しめた。その話はいろんなおとぎ話の題材になっているし、吟遊詩人もちょいちょい使う題材だから、知らない人はいないだろう。
そんな極悪なドラゴンだと、まさか暴露してくるとは恐れ入る。
やっぱり俺は、今更過ぎるのと散々助けてもらった事実があるので、恐怖を感じることもできず普通にツッコミを入れてしまっていた。
普通なら笑い飛ばすような話だが、ダンジョンをピクニックした後ではとても否定できない。
実際に助けてもらった俺は、冒険者ということもあって、彼女が尋常じゃないくらいに強いことに感謝こそすれ、忌避感はあまり抱かない。
だが、町で商売を営んでいる人や、直接助けられたわけでもない人なんかは、きっとそうはいかないだろう。
だって俺の親やじいちゃんばあちゃん世代からあるおとぎ話に出てくる悪い奴だ。
「たぶん、それってあんまり言わないほうがいいんじゃないか?」
「う~ん、でも嘘をつくと無駄なエネルギーを消費するからなぁ」
ドラゴンってなんだか不思議な仕組みで生きているようだ。
「そういうもんなのか」
「本当は人間だってそうなんだよ?ただ、食べることでエネルギーを生み出してるから、あんまり顕著には表れないだけで。
積もり積もって運命を変えるくらい大事なことなんだけど、どのドラゴンもそれを教えたりはしないんだね」
彼女の話はなんだか不思議だった。
ただ、どういうわけか本当に当たり前みたいに言われるものだから、いちいち納得してしまう。そういうものなのかな?と。
開けてはならない知恵の箱を開けた気分だ。
俺はこの、なんだか抜けている可愛らしい見た目のドラゴンについてもっと知りたくなってきていて、ちょっと提案してみた。
「エリス、この後どこへ行くかとかは決まっているのか?」
「最終目的地は決めてるんだけど、もうしばらく回復に努める必要があるから、すぐにどうこうっていうのはないよ!」
「なら、よければ俺の家にこないか?」
彼女のことはすでに何か、人間じゃないものという認識になってしまったからか、今までしたこともない積極的な誘い文句を吐き出すことができた。
自分でも思う。
いつもこのくらいあっさりと軽く誘うことができるなら、彼女いない歴=年齢なんていうこともないんだろうな。
というか、これで断られたらそれはそれでへこむな。
人生初の思い切った誘いだというのに。いや、別にいかがわしいことを考えてるわけじゃないから!!ただおとぎ話の悪役と、滅茶苦茶強い、絶対に勝てなさそうな存在と、もっと話をしてみたいだけだから!!!
「え、いいの!?ありがとう!!」
俺の緊張とか、焦りとか、そういったことはどうでもよさそうに、エリスはあっけらかんと嬉しそうに答えた。
たぶん、というか、絶対、こいつ世界を終わらせたような悪い奴じゃないと思うんだ。
「さて!そうと決まれば早速家に帰ろう!」
「俺の家な」
「ケニーとコニーとキティも連れてっ―――」
「元の場所に戻してきなさい」
こんな大きな子は飼えません。
かわいいは正義だからどうしても持って帰りたくなっちゃうんだよね。わかるわかる。