ツバメが来ていた
一面を灰色の雲に覆われた空は、太陽光をわずかに通しながらも、この世界に重くのしかかっていた。
天候が移ろいやすい春。昨日の晴れた空はどこへやら、今日はこの有様である。
もうソメイヨシノはとうに散ったというのに、冷たい北風が吹き荒んでいた。
洗濯物は乾いてくれるだろうか。そう心配に思いながら、私は洗濯機から出した服やタオルを入れた籠をベランダへと運んだ。
ふと景色を見ると、数羽のツバメが空を切り裂くように飛んでいた。高度は地上約2メートル。
それが高いのか低いのかはいささか謎ではあったが、ツバメが低く飛ぶと雨が降ると言われている。それは、ツバメの餌となる虫が、気圧と羽根の結露により体が重くなり、高く飛ぶことができないからだ。
あまり木や電線に止まることのないツバメだからこその言い伝えなのかも知れない。そうやって少し感心しながらも、雨が降るのなら中に干そうと、私は天気予報を確認しに行った。
ツバメは夏鳥である。
赤道付近の国々から、夏の度を超すような暑さを凌ぐために、遠路遥々やってくる。
そのツバメが、わざわざ飛んできた場所で、北風の冷たさを味わわねばならなかった。そのことを思うと、ツバメたちの苦労を少々、労いたくなる。
しかしそんな中で、雲雀は天高くに昇り、曇天に高らかにさえずっていた。
これから雨が来るかもしれないというのに、なんと平和なことだろう。
ちなみに、雨は振らない予報だったので、その日は外に干した。
しかし、案の定ほぼ乾かず、私は少し落ち込んでいた……、のだが、それはまた別のお話。
今年のツバメは早い気がします。
これも、いわゆる温暖化のせいなのでしょうか。
それにしても、もう夏……、じゃないですよね……。
三寒四温……。ツバメ頑張れ……。