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第二章 第2幕の終曲

終曲、って書いてありますけど、終わりませんよ!?そしてストーリー展開が唐突です。

「ヘエエエエエエチィイイイイイマァァアアアア!!!」


 必殺!!スーパトロピカルキック!!!!!


「うぇえ!?うわあああああああ!!!!ちょ、あ、ゴフッ!!」


 必殺技の名前は今適当に付けただけだから、あんまり気にしないでほしい。


「こんのヘチマがあああああああ!!!!!」

「はっ!?なんでいきなり蹴ってくるんすか!?俺、なんかしましたっけっ!?」

「は!?八つ当たりに決まってんだろ!?」


 八つ当たりだけど、私がこの前・・・・五日ぐらい前だっけ?殺されかけたのは半分お前のせいだわ!!


「理不z

「黙れ。」

「理h

「黙れ。」

「・・・・・・・。」


 蹴ったらスッキリした。ヘチマも時々役に立つね。・・・・・時々。


「・・・・・なんかあったんすかー?」


 は?


「そーんなときはトウリ兄ちゃんにお任せっす!!」


 いや、お前と私、年齢たいして変わんないでしょ。


「どんなことでも受け止めてみせるっゴフッ!・・・・・何するんすか!!痛いっすよ!!!」

「だって、どんなことでも受け止めて見せるって言ったじゃん。」

「いや、それは蹴りとかパンチとか物理的なものじゃなくてなんか精神的な感zゲフッ!!だから、物理じゃないって!!」


 ヘチマのくせにつべこべうるせえわっ!!


「んもう!!リコリスさまはツンデレがキツいんっすから!!」


 ツンデレ・・・・・?


「私、お前に一回でもデレたことあったっけ・・・・・?」

「ないっすね!!」

「それただのツンじゃん。」

「そうともいうっす!!」


 いや、そうとも言うじゃなくてそうでしょ。


「いやー、たまにはデレ見せてくれてもいいんすけどね!!」

「見せねーわ!!」


 デレもなにも私はツンデレじゃないし。


「あ、ツンデレのデレがないんだったら、ここでデレればいいんっすよ!!そうしたら立派なツンデレっす!!」


 ツンデレに立派も何もないだろ。


「ほら、ちゅー!!!」


 そう言いながら、トウリは頬を私の口に寄せてくる。


「断る。」

「あー!!恥ずかしいんっすね!!じゃあ、ハグでいいっす!!ほら!!ぎゅー!!!」

「え?不細工な犬?」

「パグじゃねーよ!!全然違うっすから!!俺が求めているのはハグ!!リコリスさまが言ってるのはパグ!!」


 大して変わんねーよ。


「んもう!!もういいっすよ!!」


 ああ!!髪わしゃわしゃすんな!!


「俺からしちゃいますもんねー!!」


 うわー!!!変態!!抱きつな!!


「いやー!!それにしてもリコリスさまもデカくなりましたねー!!俺が初めて会った時はこーんなに小っちゃかったっすもん!!」

「嘘つけ!!」


 そんな豆ぐらいのサイズのはずがあるか!!


「まぁ、流石にこれは嘘っすけど、でも・・・・本当に小さくて・・・・可愛かったっすねー・・・・。」

「今は可愛くないと?」

「なんでそうリコリスさまは素直じゃないんっすか!!今も可愛いっすよ!!!俺の天使リコリスさまは今も健在っすよ!!」

「気持ち悪いわ変態。」

「酷い!!性格はもっと可愛かったっす!!!今も好きっすけど!!もっと俺に優しかったっす!!初めて会ったとき、花を「おにーちゃん、どうぞ。」って言って渡してきてくれた時は本当にリコリスさまが天使に見えましたもん!!!」

「ヘチマ・・・・・。その記憶はね、全て偽造されたものなの。本当は私って存在すら存在していないの。私はあなたの妄想の産物。」

「そ、そんな・・・・・・・・・!!って、違うっしょ!!!なに自分の存在否定してるんすか!!一瞬焦っちゃったっしょう!!え!?これまで城で過ごしてきた日々は偽物だった!?みたいな感じで!!」


 「っ」が多いわ!!


「はぁ・・・・・。黙ってきましたけど、リコリスさま、部屋に戻ってくださいよ。仕事、あるんでしょう?」


 いや。


「ないよ。」

「えっ!?」

「姉さんと交渉して、4年間仕事は免除。」

「え!?どんな手使ったんすか!?」


 うーん・・・・・なんというか・・・・・・。


「ただ・・・・4年の間にこの国に有利になる人・・・・・どっかの王族とかかな?と、婚約して結婚するから、その代わり、その4年間の間自由にして欲しいって。」


 私が抜けたって、きっと国を回すのに支障はきたさないし、私がいるほうが邪魔だろうしね。


「・・・・・・・・・それで、女王さまは?」

「構わない、って。」


 泣いてたけど。


「そんな・・・・・リコリスさまが政略結婚みたいな・・・・・・。」


 いいんだよ。私はこの王女って立場から逃げたいだけだし。誰を犠牲にして誰を救うか、なんて命の重さを量らなきゃならない立場から。国民に尽くさなきゃならない立場から。それに愛だ恋だのに夢を見ているわけじゃない。どうせだったら姉さんの役に立ちたい。それになんだか・・・・・なーんにもしなくていい時間が欲しかった。


「べつに・・・・恋愛結婚なんて・・・・・・・・。」

「そうは言っても・・・・・いつか、きっとリコリスさまの前にも素敵な人が現れるっす・・・・・・・。いえ、絶対に。リコリスさまが素敵な人なんだから、現れなきゃ可笑しいっす!!だから・・・・・・・・こんな早い段階で全部決めちゃうなんて・・・・・・・間違ってるっす!!!」


 そんなのもう現れない。憧れだった人は私の前で泡沫と消えた。私の前でただの肉塊となりはてた。


「それに・・・・・女王さまの酒を止めるのは自分の役目だって・・・・・!!」


 そんなの・・・・。私なんかいらないことは明白じゃないか。


「姉さんのほうがきっとこの4年の間に素敵な人を見つける。それで、幸せになる。きっと、お酒を止めるのもその人の役目になる。」

「そんなの・・・・・わからないじゃないっすか・・・・・・・・。」


 いいや、わかる。だって・・・・・フランの殺人未遂のすぐあと・・・・姉さんが・・・・・誰かととても仲良さげにしていた。お互い抱き着いたり、ほほ笑みあったり、お互いの頬に口づけしあったり・・・。とても・・・・赤い人だったのは覚えている。でも、それ以外はなにも覚えていない。だけど、あの人が特別なんだろうということぐらいはわかった。だから・・・・・私はもう私の役目がないことを悟って、姉さんにこれを申し出た。


「まぁ、もう決まったことだしね。あ、嫁入り先にヘチマも連れてってあげようか?私の代わりに全部仕事やらせるけど。」

「嫌っすよぉー・・・・・・。リコリスさまがどこかにお嫁に行ってしまうのも、仕事を押し付けられるのも・・・・・・・。」


 そんなこと言われたってさー・・・・・・。まぁ、嫁入り先には誰も連れて行かないつもりだけど。


「もし・・・・・リコリスさまのお相手が男だったら一発殴ってやるっす・・・・・・・!!」

「女の子だったら?」

「俺に女の子は殴れないっす・・・・。」

「ヘタレだから?」

「違うっす・・・・・・俺がジェントルマンだからっす・・・・・・・。」


 自分でジェントルマンって言うなよ。


「じゃあ、部屋戻るね。」


 ゲームでもしよっかな。


「やっぱ政略結婚なんてダメっすよぉ・・・・・。」


 ヘチマはロマンチストだね。そんなことを考えながら、私は部屋に戻っていった。



 * * * *



「・・・・・どこへ行ってた?」


 玄関開けたらフランの説教、ってか。びびったわ。扉開けたら、腕を組んだ不機嫌顔のフランが目の前にいたとかもうホラーだわ。


「カレー屋さんにカレーうどん食べに行ってた。」

「嘘つけ。その白いジャージでカレーうどんなんぞ食したら、今頃そのジャージはまだら模様だわ。」


 はっ!!そうだった!!


「で、どこへ?」

「えっと、書庫?」

「貴様がそんな勤勉なわけあるか。」

 

 酷い!!ばっさり!!


「実はゲームやってた。」

「なるほど。」


 一瞬で・・・・納得された、だと・・・・・?


「あのヘチマ男の臭いがするが・・・・・二人でやっていたのか?」


 嘘だろ臭いでわかるのかよ。あいつ臭くもなければいい匂いもしないのに。


 すんすんすん


「なにやってんの・・・・・?」


 いや、臭い嗅いでるのはわかるんだけど。・・・・・・・変態みたいだよ。


「頭・・・・首・・・・・胴・・・・・特に臭う・・・・・・・。」


 え!?マジで!?一応お風呂はちゃんと入ってんだけどな・・・・・時々忘れるけど。


「ヘチマ男の臭いが強くのこっている・・・・。」


 そっち!?たぶん、全部ヘチマに触られたところだけど・・・・・・。つーか、犬か!?


「湯殿に行け。」

「え?なんで?」


 別によくない?そんな臭い?


「臭いが不快だ。」


 バッサリ!!バッサリ言ったね!!不快ってもう、フラン、トウリに近づけないじゃん!!


「・・・・・・・・面倒くさいっていったら?」

「池に放り込む。」


 きゃっ、今冬だから死んじゃう!!


「はぁー、まぁいいや。どうせ暇だし。お風呂いってきまーす。」


 やることなんて、なーんもないしね。


「気になっていたが、王女とは随分仕事がないものなのだな。」


 まーね。


「まぁいい。さっさと行け。」


 うぃーっす。 




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