第十四章 朝の歌
謎に厨二病展開です。
えっと・・・・礼拝堂、礼拝堂・・・・・えっと・・・城内の宗教エリアのどこらへんだっけ・・・・?中心あたりに神殿があるのは覚えてっけど、他は覚えてないや・・・・。
「あ・・・・・フラン・・・・・。」
フランの紺色のネグリジェが、私の目線の先にあった美しい建造物の前でふわりと舞った。
「あの建物は・・・・礼拝堂か・・・・。」
どうでもいいけど、目覚めたと思ったらすぐに出かけるのはぜひやめて頂きたい。フランが眠ってる間に起きたことも話したいし。
* * * *
え、フラン大丈夫?めっちゃふらふらしてない?・・・・・・・あ、十字架の前で崩れ落ちた。
「フラン・・・・!!!部屋にもどッ・・・・・!?????」
なにを思ったのか、フランが突然深い青紫色に金粉が散らばったかのような翼を背から生やすと、一瞬にして部屋の景色が変わった。
硝子の窓から覗く橙色だったはずの空は、深い青紫色に染まり金色の丸いナニカが輝きを放っており、フランの目の前にあった十字架は逆十字になっている。また、十字架のすぐ後ろにある壁には真ん中をキリストに、ウリエル、ラファエル、ミカエル、ガブリエルの合計五枚のステンドグラスが飾られており、ミカエル以外の天使とキリストは苦悶に満ちた顔をし、血涙を流している。ミカエルの描かれたステンドグラスは・・・・なぜか一枚だけ逆さになっており、血涙も流していない。それどころか、口元には美しい微笑を湛えている。しかも、白目の部分が深い青紫色になり、虹彩は金色に輝いている。よーく見てみると青紫色の白目の部分には金粉のようなものが散らばっている。そして、ミカエルは他の天使の白い翼とは違い、さきほどフランが生やした翼と全く同じものを背に生やしていた。・・・・・・教会には異常な雰囲気が漂っている。
・・・・・・・これは・・・・・・一体なにが・・・・・・
「フラン・・・・・いったい・・・・・?」
フランは私の言葉を無視し、天・・・・・いや、キリストに向かって手を伸ばした。
すると・・・・・・・
パリン
ミカエルのステンドグラス以外のすべてのステンドグラスが粉々に砕けた。キリストも、ウリエルも、ラファエルも、ガブリエルも。
フランは砕け散るステンドグラスを浴びながら、今更こちらを振り返った。
「ふ、フラン・・・・?その、目は・・・一体・・・・?」
フランは・・・・そう、ステンドグラスに描かれたミカエルと全く同じ姿をしていたのだ。
さっきは気づかなかったけど・・・・そもそも、翼の色も・・・・・そんな色だったっけ?もっと白くて透き通ってたような・・・・?
「リ・・・・コリス・・・・・・?」
その言葉を皮切りに、太陽は紅の輝きを取り戻し、空は橙色に戻った。十字架も逆十字から正位置に戻った。そして、フランの目の色は戻り、翼も一瞬にして消えた。
「私は・・・・・一体・・・・・?」
「二日間眠り続けてたんだよ。で、目覚めたと思ったらここに来てたんだよ。」
「そう、なのか・・・・・。」
「というか、二日間もどうして眠り続けたのさ?」
「知るか。ただ・・・長い間・・・天上からおちる夢を見ていた。」
「能力発動すれば翼生えるから大丈夫じゃん。」
「いや、能力は発動するんだが、なぜか翼が生えずに地面に向かって真っ逆さまに・・・・・・。」
嫌な夢だね。
「地面にぶつかったと思ったら、なぜか地面をすり抜けて・・・・地面の下には地獄が広がっていて・・・地獄の地面にぶつかってやっとおち終わる・・・・。そこでやっと翼が生えるのだが、いくら上に行っても見えるのは暗闇のみ。地上にも天上にも戻れない。・・・・・というところで、今、目が覚めた。」
今目が覚めたってことはさっきまでのは寝ながらの行動だったってこと?
「フラン、医者行こう。」
夢遊病の気があると思う。
「なぜだ?理由はなんであれ断る。・・・・・だが、能力に違和感が・・・・・いや、なんでもない。」
能力に違和感!?余計医者に行った方がいいって!!二日間眠りっぱって時点でヤバいのに!!
「レッツ!!病院!!!」
ついでにあの人格変異も診てもらおう。
「だから断る。ところで、なぜステンドグラスが砕けている?」
あなたが砕きました。
「まさか貴様が?」
だからあなたが砕きま(ry
「・・・・・神と天使のステンドグラスを割るとは大した度胸だ。・・・・・ミカエルだけは割れていないが・・・・それは・・・・。」
だからお前がく(ry
「ふん、まぁ良い。さっさと貴様の姉に謝ることだ。・・・・・・ここは落ち着かん。先に出てるぞ。貴様は祈るでもして贖罪することだな。」
そういうと、フランはブーツのヒールでステンドグラスを踏み砕きながら礼拝堂から出て行った。・・・いや、だからステンドグラス壊したのお前だって。
* * * *
「・・・・・・祈りは終わったのか。」
いや、そもそも壊してもいないから祈ってもいないよ。
「ねぇフラン。この二日間の間にね・・・・・
「なんだ?」
「モクレンとの戦争が始まったよ。」
「・・・・・そうか。」
なんだ、物凄くあっさりとしてるね。もっと驚いたりしないの?
「部屋に戻ろう。」
あ、うん、そうだね。
* * * *
「貴様は眠れ。目の下の隈が酷い。見るのが不愉快だ。」
従者に不愉快と言われた・・・・だと・・・・!?
「眠れ。」
ここのところ色んなことがあって私も多少疲れていたらしい。フランに無理やりベットへ押し込まれると、三秒で眠ってしまった。・・・・・ベットに入ると三秒でおやすみなのはいつもか。いや、でも確かに疲れてましたしィッ!!!!?




