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第十一章 間奏曲

「え、これどうすれば・・・・・。」


 蛇だよ、蛇・・・・。


「フラン、蛇だよ蛇・・・・・。」


 しかも白蛇だよ・・・・。なんだっけ?白蛇って神の使いじゃなかったっけ!?というより神だっけ!?


「ほっとけ。」

「え?あの蛇をどうにかしろと?」

「なにを言っている?」

「なんだよ冗談通じないな。」


 ほっとけ=仏ってことで、仏の対義語である神がいるから、ってことでなにかしなきゃいけないのかと・・・・・って、なに言ってんのか自分でもわかんなくなってきた。


 ドン ドン ドン ドン


「・・・・・めっちゃ窓ドンドンしてるけど。」

「知るか。」

「なんかもう可哀想になってきたんだけど。」

「私には関係のないことだな。」


 ・・・・・もういいや。私が窓を開けるよ。


 ガラッ


「・・・・・・いいよ、入っておいで。」

「・・・・私は蛇が嫌いなんだがな。」


 そういえばそんなことを昔も言ってたね。


「シャーシャー」


 まるで、必死になにかを私たちに訴えかけているようだ。


「ごめんね・・・・。蛇語は話せないんだ。」


 そういって、蛇の頭を撫でようと手を伸ばした。


 ジャクッ


 その瞬間、肉の切れるような音がした。そして、白かったはずの蛇の身体は瞬時に紅に染まり、持ち上げていた頭は地にひれ伏した。


「フラン・・・・・・。」


 咎めるような声が出た。いや、咎めたんだけども。


「殺す必要なんてなかったでしょ・・・・。」

「蛇など触るな。汚らわしい。」

「触って欲しくなければ、私に声をかければよかったでしょ。」

「殺してしまった方が早い。」


 ・・・・・・・はぁ。


「・・・・・・ん?」


 血みどろの蛇の中に、きらり、と輝くなにかを見つけた。


「・・・・・壜・・・?手紙が入ってる・・・・・?」


 妙に綺麗な壜を手に取って眺める。


「これを体にいれてきたのか・・・・?」

 

 なんとなく気持ち悪いので、手元にあったティッシュで壜を一回拭い、自分の手も拭った。


「よっこいしょっと。」


 壜の栓を抜き、中身の手紙を見る。栓を開けた瞬間にふわりと白檀の香りが漂ってきた。・・・・ああ、これはもしかして・・・・・。


 彼岸花の君へ

どうでしょう?お気持ちは決まりましたか?まだ決まらないようでしたら、もう一枚入っている手紙をご覧ください。きっと迷いなどすぐに消えてしまうことでしょう。ああ、もう一つの手紙はどうかそのままに。すぐに会いに行きますので、そのとき私に返してくださいませ。その時にどうかお返事もお聞かせください。貴方様のお返事が芳しいものであるよう心の底から祈っております。


 ・・・・・・・もう一枚。・・・・あった。

 封蝋は・・・・・ユリか。送り主のところにはシラユリと書いてある。


 シンイ、決断できた?なるべく、早く、早く決断を。この手紙が届いたらすぐにでも返事を送って。絶対。ユリ・・・・・私と婚約して。今だけでもいい。愛なんてなくてもいい。だから・・・・・・。


 追伸 彼岸花が前の菖蒲と同じように毒をもち始めたようです。あの、スノウとかいう奴にも気をつけて。


 ・・・・・・・ああ。なるほど。これは確かに悩んでる場合じゃないね。知らなかったよ。シラユリさんがシンイちゃんにこんなに惚れ込んでるなんて。このままじゃ、今にモクレンの背後にユリがいるようになる。そうなったら、モクレンを手に入れるなんてできなくなる。

 あと・・・・毒を持ち始めたっていうのは戦争を吹っかけてくる可能性が出てきたってことかな?あの、舞踏会で婚約は本当かどうか聞いちゃったのが警戒心を高めさせたのかな。


「姉さんにこの手紙を見せなきゃ。」


 さぁ、今に戦争が始まる。戦準備をしなくては。




お守り役の方を読んでいた方、お気づきでしょうか?今回で一つ、お守り役の方での謎(?)というより、隠されてたものが出ました。まぁ、大したことではないですが・・・・。

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