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ペテロとパウロ

作者: 安岡 憙弘

ペテロとパウロ

ペテロとパウロはその時、寺院で寄付を募ってからの帰り道であった。私は道端で食を乞う乞食でありました。

「もし、ペテロ様、もしかしたら、寺院からの帰りではございませんか。私も一度、寺院へ行ってみたいと思っていたのでございます。よろしければ、お供え物でも分けて頂けたら嬉しゅうございます。

ペテロとパウロはそれぞれ法衣のたもとから小銭を出して乞食に与えた。乞食はありがたそうに頂戴してから、パウロに向かってこう言った。「ところでパウロ様、先日私が見たことをお話いたしましょう。

私はイエス様がお独りでこの道を通りがかったものですから、イエス様に何か奇蹟を起こして私にも神のお恵みをおすそわけいただこうと、イエス様にお願いいたしましたところ、イエス様は、このような不思議なことを言われました。

「老人よ。お聞きなさい。私の家にはいつも3つのものがそろっている。1つはお前の目、1つはお前の口、1つはお前の鼻がそうである。信じたくば信じよ。信じたくなくば逆らえ。私の家にあるものは、すべて神の物である。神の物でないものは、1つとしてない。信じたくば信じよ。信じたくなくば信ぜぬが良い。お前の持ち物のうち1つでも神に施すことがあれば、お前は神の食卓に招かれ、血と肉をわけ与えられる。お前の家にあるもので何か不都合なものがあれば、神に差し出すが良い。私がお前の家の不都合なものを全て取り除いてあげよう。私の言うことを信じたくば信じよ。さもなくば耳をふさげ。」

私は不思議に思ってイエス様の行くのを目で追っていきました。イエス様の後ろ姿は、まるで岸から上がった人魚に足がついたようでございました。

私はイエス様のおっしゃったことがどうしてもわかりません。」

ペテロとパウロは2人とも、すがすがしい目をして老人に話した。

「もしあなたがイエス様の言うことを信じるなら救われるし、信じないのなら救われません。ただそれだけのことですよ。」私はこう言って遠ざかる2人を見送った。

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