皇法子の場合 07
第十三節
「もう一つの質問にはまだ答えてないと思ったけど?」
「同じ質問です。本質的には」
「…ま、そうだけどね」
白い女性が呆れたというジェスチャーをする。
「何これ?あたしらがテスト受けてるみたいじゃない」
「だから、テスト受けたのよ」
「生意気ですいません」
「いいの。それくらいでないと土壇場で役に立たないわ」
「話が見えねえよ!」
今度は瑛子が立ちあがった。
「こいつら身内を贔屓するって言ってんだぞ!危険じゃねえか!」
「いや違う。本音を言ってくれたんだ」
「もしかして、『身内だろうと罪は罪、制裁する』って言ってたら不合格だったのかしら?」
「そう言わないと確信してました」
「随分信用されたわね。でも何でよ?気になるわ」
白い女性が興味深そうに言う。
「ここで建前を言う組織なんて、嘘つきです。口では綺麗ごとを謳いながら身内をかばう組織よりもはっきりと『身内は守る』と言ってくれた方が所属し甲斐があります」
腕組みをする皇。
「今まで入れて欲しいって言われたことはあるけど、『入ってやってもいい』って言われたのは初めてかもね」
「すいません生意気で」
「たぁくん…随分たくましくなったね」
「付き合ってる彼女がちょっと特殊だったからかな」
「“ちょっと”ねえ…」
苦笑する白い女性。見た目ほど箱入り娘のお嬢さまという訳でもないらしい。
「時にお名前を教えて頂いていいでしょうか。ボクは群尾拓哉と申します」
「…いいのよね?」
皇に促す。当然!というリアクションをしてくる。
「天使彩香と申します。以後よろしく」
「…あまつかさん」
「笑っちゃうんだけど、天使って書くのよ。エンジェルの方の」
第十四節
「エンジェルですか。第八階層の」
皇の目が光った。
「あら、詳しいわね。じゃ第七階層は?」
「大天使…アークエンジェルですね」
「何の話してんだ!」
また瑛子がキレた。
「豆知識だよ。どうでもいい」
「子供の頃はよくイジメられた…っていうかからかわれたわあ」
「…でしょうね。でも今はイメージ通りですよ」
「あらどうも。一見ジャガイモに見えるけどトンだドンファンね」
にっこりしたままいう彩香。
「だから何語で話してんだお前らは!」
「落ち着きなさい。あんたのパートナーがいい男だって話してんだから」
その時だった。
背後で派手にモノをひっくり返す音がして怒鳴り声が響いてきた。
「…もう始めたか…」
皇が背中越しに睨みつける。




