皇法子の場合 02
第三節
「なんだよ「ぎぞく」って。暴走族じゃねえよ」
「義賊ってのは…まあ、正義の悪党みたいな感じかな。ゲゲゲじゃなくて怪盗の方のねずみ男とかロビン・フッドみたいな」
「知らねえよ」
「どうやら群尾くんと話した方が早いみたいね」
「帰っていいかな」
瑛子が立ちあがり掛けた。
「まあまあ」
二人でつるんでるといつもそうだ。
ちょっと込み入った話になると相手はいつも群尾の方とばかり話したがる。
確かに瑛子は短気で細かい論理が苦手だが、毎度そういうパターンが続くと面白くない。
「OK。いいわ。あなた方を見込んで話すわね。いちいち相槌打たなくていいわよ。基本的にはこっちが一方的に話すからそれを聞いててくれればいいの」
「…先にいいですか?」
「どうぞ」
「どうしてオープンカフェなんですか?大事な話でしょ?」
法子の表情が少し変わった。
「…だからこそオープンなのよ。あなたがたあたしに案内されて窓の無い地下室に来てって言われたらついてくる?」
「絶対に行きません」
「でしょ?」
「しかし不用心だ」
「こっち側の事情もあるのよ。行きずりのオープンカフェなら盗聴もされにくいでしょ」
「…もしかしてボクらを警戒してます?」
「当然だと思うけど」
不敵な表情の法子。
こりゃ相当の美人だな…とは思うが、若干十七歳の群尾には三十代にも見える女性はいくら美人でも圏外だ。まるで母親の友達と話しているみたいである。
「分かりました、どうぞ」
「たぁくんが話聞いといてよ。かったるいんで遊んどくわ」
瑛子はスマートフォンを取り出すといじり始めた。
第四節
「…出来たら内密な話なんで通信は遠慮してほしいんだけど…無理かな」
「無理」
もう法子の方も見ずに遊び続ける。
「すいません」
「…大変ね」
「何でおめえが勝手に謝ってんだよ!」
…瑛子はかけがえのない人だけど、一旦荒れ始めるとこうなるので困る。
「…この状況下でよければどうぞ」
「…いいわ。端的に言うと、あたしたしは社会正義を果たすための組織なの」
「…?」
怪訝な表情をする群尾。
「といっても、その最大手は「警察」よね。「検察」もそうだし、大きく取れば「消防署」なんかもそうとも言えるわ」
「はあ」
「基本的に世の中で起こった事件はそっちにお任せよ。民間人の出る幕じゃない。でも…中にはなかなか警察に任せておけない事件もあるわけ」
群尾の表情も変わった。
「具体的には?」
「いじめ問題なんかがそうなるわね」
「…基本的にはそれも警察の仕事では?」
「あなた本気でそう考えてる?」
考え込む群尾。
「適切な権力を持って介入しないと解決しようがない問題だと思いますが」
「国家権力とか?」
「いえ、ムラの外の権力です」
「…驚いたわね。分かってるじゃない」
「経験者でして」




