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倉秋健人の場合 04


第七節


「ケンちゃん…斎賀健二くんは、勝負に負けました。紅茶を一杯飲み切ることを変身条件に、クッキーを一枚食べきることを解除条件とし、その間試合は継続扱いとします。受け入れますか?」

「受け入れます!」

「じゃ、あたしの勝ちで試合終了」


 …見た目は何の変化も起こらなかった。


「…これでいいのか?」

「ええ。これで疑似的に自由自在に変身・回復が可能です」

「そんなまるで変身ヒーローみたいなことが…」

「いや、あくまでも疑似的です。それほど便利じゃありません」

「実験なんでしょ?とりあえず変身しなきゃ」

「…はい」


 中途半端にヌルくなっていた紅茶を一気飲みする斎賀。

 ぷはあ、と息を吐く。


「「「…」」」


 流石に注目せざるを得ない。


「うっ…うわあああっ!」


 いつもの変化が始まった。

 肩幅が縮まり、なで肩となり、身長が縮んでいく。

 細くサイズダウンした身体の前方に形のいい乳房がむくり、むくりと盛り上がってくる。


「せ、成功だ!やったあ!」


 思わず立ち上がってしまう斎賀。

 両脚が内側に曲がって行き、内股を形成する。同時にその形は年相応の脚線美を見せつけていく。

 でん部がまるまるとし、ウェストがより細く見える。

 髪の毛がさらさらと流れ落ち、大きくなったように見える瞳をぱちくりさせていたのは間違いなく「男装の美少女」だった。



第八節


「うぐ…ぁああっ!」


 外見からはうかがい知れない服の内側に女物の下着…ブラジャーやスリップ、パンティなどが出現しているのだろう。

 この場にいるメタモルファイターはくしくも全員の能力が女子高生のそれである。

 食らったこともあれば食らわせたこともある。その辺りは熟知しているのだ。


「ふあああっ!」


 瞬時に全身が黒く染めあがり、あちこちに白い三本ラインと真っ赤なスカーフが通った。

 そして同時に二本のトンネルを有していたズボンが一体となって溶け合い、丈を縮めてその下の肌色を露出させた。

 …膝下丈のセーラースカートだった。


「あ…うん…」


 そこにはカラスみたいなセーラー服に身を包んだ斎賀健二…が女子高生に変わり果てていた。

 ぎしぎしと腰をひねったり、見下ろしたり全身をくまなくチェックしている。

 パンティ一枚でむき出しになった素脚がスカートのなかで「するり」と接触するお馴染みの感触に一瞬怯ひるむ。これを味わうと「嗚呼、スカート履いてるんだな」という気持ちになる。すぐに慣れてしまうんだけど。

 ともあれ、この辺はベテランの貫録というところか。


「間違いないみたいですね。ええ」

「どーも。可愛いよケンちゃん」


 面白そうにニコニコしている真琴。


「ということで可能でした。『変身するぞ!』と思って変身することが」


 両手を広げて見せる斎賀。

 橋場にとっては「仲間の男」が「セーラー服の女子高生姿になってしまう」…というのは普通はかなりショッキングだろうが…日常茶飯事であって、驚きが無いとは言わないが、今更新鮮味はない。


「じゃあこっちも」


 クッキーを口の中に放り込んだ。



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