ジョー・キングの場合 16
第三十五節
「…分かった」
こうしてみるとハイレグの切れ込みが凄い。
もう本当に股間にぴっちり張り付いてぺったんこだ。
あられもない言い方をすれば何かがはみ出してこないのはよほどしっかり剃って処理をしてあるのか、それとも網タイツの下にはく肌色ストッキングが分厚いのかどちらかだ。
「その代り黒は除外だ。さっきの赤でアンフェアになり、清算したからな」
「…うむ」
確かにさっきの赤を事実上無しにしたならば現状だとデッキには黒が一枚分多いことになる。
長く紅い爪で扱いにくそうにデッキをめくると…スペードだった。
「…次で正真正銘最後だ」
ジョーが言う。
「そうだな」
しばし見つめ合う美女二人。
シンは艶やかな光沢も印象的な黒髪が流れ落ちる東洋美人となっている。それでいて豊かな女体を派手な真っ赤のバニースーツに押し込められているのが逆に背徳的だ。
ジョーはきらびやかなブロンドの白人の金髪碧眼美女が、そのダイナマイトバディをバニーといえばの定番、真っ黒のバニースーツに押し込めている。本当にあちこちがパンパンではち切れそうなのだ。
「仕草や口調はどうする?」
「もういいだろ。ちょうどお互い肉体だけが変わり切った状態だ。次の一枚で決着といこう」
「そう…だな」
大きくため息をつくジョー。可憐…ではないが、セクシーだ。
「私がここまで苦戦したのは本当に初めてだ。最後の一手で全く同じ位置に並ぶなんてね」
「…ああ。お前さん、好敵手だったぜ」
長い付け爪のある指で鼻の下をこするシン。これでも一応口紅を引きずらない様に気を付けているのだ。
妙齢のセクシー美女が見せる少年の様なリアクションは見る者に複雑な感情を喚起する。
「長い様で短く、短い様で長い戦いだった。楽しかったよ」
「…よさねえかジョー。試合…メタモルファイトはこれで終わるが、人生はこれからも続いてく」
「まあな。とりあえず今までの我々、そして過去のお前とはこれでサヨナラだ」
ちょっと考えているシン。
「じゃあ…折角だから最後にハグするか」
第三十六節
一瞬瞳をきょとんとさせる。少女みたいなリアクションだった。
「…ああ」
ハイヒールを床にゴツゴツ鳴らしながら近づいていくバニーガールたち。
「…」
お互いに見つめ合い、両手を相手の背中に回した。
「…っ!…っ!っ!!!」
お互いの乳房がふれ、身体の間で押しつぶされ、捏ねられた。
「あ…あっ…」
いつの間にか網タイツの脚どうしが絡み合い、ざらざらを音を立てる。
「シン…よせ…やめ…」
お互いが求めあってはいたが、少しだけシンがリードする形で美女たちの唇が触れた。
「ん…んんん…」
お互いか細い腕で相手を強くひきつけつづけた。
それは数分に及んだ。
「…ということでもう未練は無いな?」
「ああ」
「ではいくぞ!」
パタン!とデッキからめくり落とされるカード。
思わずシンは視線を逸らしていた。
「Oh my goddess!」黒バニーが悪態をつく。
「何だったんだ?」
そこにはジョーカーがあった。
「…なんてこった。ここに来て二枚目のジョーカー…」
「とことん苦戦するな」
「どうする?無効扱いにして次のカードめくるか?」
少し考えているブロンド。
「いや、最後を締めるカードだ。ここは同時攻撃で行こう。お互いに一切の遠慮も何も無しだ」
「…つまり?」
「ぶつかりあいの後、今の我々の状態よりも少しでも相手を女側に押した側の勝ちだ。次の瞬間、男に戻れる」
「分かった」
「じゃあ、行くぜ」
「おう!」




