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ジョー・キングの場合 11


第二十五節


「き、貴様あああ!」


 思わず立ち上がってしまうジョー。


 周囲からどっと笑い声が起こった。


 それはそうだろう。ポーカーチャンプ、紳士然とした白いスーツで決めた金髪碧眼の色男は、なんと下半身を網タイツにハイヒールのバニーガールコスプレをした「とんだ変態紳士」状態だったのだから。


「あ…あ…」


 それどころかハイレグ部分…はっきり言えば股間、パンツの部分…にまで変化が及んでいる。ハーフパンツみたいなのから網タイツの脚が伸びているのならともかく、ハイレグまで見せつけているとなるとこれまたハードコアだ。

 小さな子供に見せられる代物じゃない。


「まさか卑怯だとは言わんよな?」

「…この…パールハーバー野郎…」

「不意打ちが卑怯だってのか?よく言うぜ。テメエだって部分変身バトルに慣れてるのをいいことに引きずり込んだくせによお」


 周囲の人間は、よくよく見ると相手方の男もまた、ふとももまで網タイツにハイヒールのセクシー姿であることに気付いてひゅーひゅー!とはやし立てはじめた。

 アメリカンな感覚とでもいうのか「いいぞー!」「やらせろー!」などという声まで混ざっている。


 これはシンの奇襲だった。

 「全く変化を受け入れなかった場合は反則負け」というルールなんて決めるもんだから、逆に「必ずある程度は受け入れなくてはならない」ことになってしまっているのだ。

 だったらこちらから仕掛けなければいい。

 こちらがほぼ仕掛けなかったとしても受け入れていない側が反則負けになってしまう。ガードを解いたところに一気に叩き付けて大逆転を狙う算段だったが、ここまで上手く行くとは思わなかった。


「座れよ。続きをやるぞ」

「…許さん。絶対バニーガールにしてる」

「それはこっちのセリフだ。レディ?」


 やり返してやった。

 慌てて座り、正面から正対する二人。



第二十六節


 一旦ガードが解けたジョーは受け入れレベルを揺さぶってくるシンの攻撃にたじたじだった。

 あっという間に、お互いの「胸の下」まで変身した状態になってしまっている。


「…妙なことになったな」

「ああ」


 胸の谷間も見えている。

 今の二人は、胸の上…顔と腕を残して全身バニーガールである。ジョーは黒、シンは赤である。


 ガチンコの女装変態紳士同士…と言いたいところだが、そのメリハリの効いたグラマーなボディはとても「女装」とは思えない。完全に「着てどうにかなる」レベルを超えている。

 大体あの豊満なバストとヒップに似合わない細いウェストはどうやって「コスプレ」しろというのか?どんなに締め上げたってああなるとは思えない。


「赤だ。くらえよ」

「あああっ…!!」


 精神を余りに消耗するためか、疲労が目に来ていたシンの腕が全てむき出しになった。

 ほっそりとした腕にカフスボタンが印象的だ。


「う…っうっ!!」


 目の前に翳した指が細く、白く、美しく変わって行く。

 受け入れの調整が難しい。駄目だ!一気にやられる。


「喰らえええ!」

「ああっ!」


 脇の下が綺麗に処理されて無駄毛ひとつなくなり、全ての手の指に形のいい爪が伸びて、真紅のマニキュアが塗られた。


 冷やかしで集まっていたギャラリーもそろそろ冷や汗が出ている。


 これは…一体何なんだ!?新手のアトラクションか?

 目の前の男は…顔から上だけが男で、その下は女の…バニーガールの身体に見えるが…サイズが違い過ぎててアンバランスになってるぞ?これはへたくそなCGだってのか?


「いい格好だシン」

「…」

 完全に「顔だけ男」で首から下がセクシーな真紅のバニーガール状態となっているシン。見ようによってはこれほどグロテスクな構図も無いだろう。


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