・第四話、偏見
「歌舞伎町ヤクザ総乱戦2」
倉庫の扉がコナゴナに砕け散り、現場検証が執り行われた我が草薙家の倉庫。
パトカーが二台、黒塗りでパトランプをつけた車両が一台と知り合いの刑事のお説教。
「ま た お前の仕業か」
知り合いの刑事、友近優警視が俺を睨みつけガミガミと説教を吐く。
濡れ衣だがここで白子に罪をきせると白子の親父さんに八つ裂きにされてしまうので黙って聞く俺。
俺ってなんていい奴なんだろうか…。
「聞いてるのか、草薙!」
自分に耽っている俺に対して容赦なく言い聞かせる鬼刑事。
「ったく、お前が警視総監に認められてなきゃ危険物処理の疑いで豚箱にぶち込んでやるんだが…。」
過去に俺は「捜査協力」という名目で殺人鬼を逮捕した経歴がある。
その輝かしい経歴があり警視総監も俺を認めてるって訳だが、
今回その経歴のおかげで助かった。
ついでにジジイを突き出そうと思ったが逃げ足だけは速いものでパトカーが来る前に姿が消えていた。
爆破した当の本人、白子は家の窓から優雅に紅茶を飲みながらこっちの状況を眺めていた。
「あの野郎、絶対に一発こづく…。」
現場検証していた友近がこっちを振り向き
「あ?何か言ったか?」
小声でいったのだが地獄耳というのはこういうことなのか。
現場検証も終わり野次馬も去り、ようやく肩の荷がおりたと思いポケットに入っている煙草を漁る。
「ん?なんだこの封筒は」
忘れていた、ジジイの依頼だ。
「確か、失踪した娘の捜索だったな。」
顔写真が同封されており名前、年齢など書いた文章も同封されていた。
…以外と早く見つかるかもな。
与えられた仕事はキッチリこなす。それがプロの何でも屋だ。
俺は新宿にいる「とある情報屋」の元へ向かった。
眠らない街、新宿。
ここで俺は歌舞伎町にある「とある情報屋」を伺った。
表沙汰は「風俗案内所」なのだが「ある合言葉」を言えば裏は情報屋なのだ。
「んー、田村由里24歳ねぇ…。」
人の顔を一目見たら一発で覚えるという特技を持つ杉下五郎37歳(独身)
この情報屋での看板野郎でもある彼には情報屋独自のネットワークを張り巡らせ顔写真一枚で
現在何処で何をしているかさえもわかってしまう恐ろしい男だ。
昔のドラマや漫画なら自分の足で探すだろうがそんなことやっていたら商売上がったりなので
小金を握らせ事を済ます。そもそも俺は面倒くさがりだ。
「もうちょっと、もうちょっとで思い出しそうなんだけどナー。」
物凄い棒読みでギャラを引き上げようとする杉下五郎37歳(独身)
奴の額に指を立てて俺はこう言い放つ。
「もうちょっとまともな演技できねえのかこの豚野郎、早くいわねえとテメェの額に風穴あけんぞ!」
「ひ、ひぃここで騒ぎを起こしたら困るの喜助さんなんっすよ!?」
「上等だ、テメェラまとめて豚箱ぶち込むぞ!国家権力なめんなよ!?」
俺が警察に通じた裏家業屋だと情報屋共は認識しているのでこういうハッタリはよく使える。
「わ、わかりましたよー。そういえば特常会が取り仕切ってるキャバクラで見たことありますよ。」
「特常会?」
「最近出てきた中国系マフィアみたいな暴力団っすよー。俺らの同胞も撃ち殺されたっす。」
おいおい、そいつは物騒だな…。
しかしここで怯んだら。草薙喜助の名が泣く。
「その子が働いている店教えてくれ。」
腕を組み腰を回しながら考えるフリをしている杉下五郎37歳(独身)
「もうちょっとで思いだ…」
「放て、水の…」
「あー!あー!!あぁぁぁあああ!!!「セシア」って店っす!歌舞伎町のダビデビル4Fにあるっす!!!」
焦った杉下五郎37歳(独身)はぶっ倒れながら場所を教えた。
「ういうい、了解。ったく素直に言えばいいんだよ。」
そして俺は情報屋をあとにした。
「あ、3Fと5Fが特常会の組事務所って言うの忘れたっす…。」
適当に夜まで時間を潰し、いざセシアへ。
「お客様お一人ですか?」
ボーイが話しかけてくる。
「ああ、一人だ。指名したいのだが…。」
顔写真の子を探し、
「ああ、この子がいいな。」
「少々お待ちください、お先にお席の方へ。」
ボーイに席まで誘導され、ユカこと田村由里を待つ。
数分経ち女性が俺の目の前に立つ。
「ご指名ありがとうございます。ユカです。」
可愛らしいドレスを着込み派手な化粧をしているが間違いない、田村由里だった。
それから数十分たわいのない話をした。
(そろそろか…。)
「あー、ユカちゃん?」
「はい、なんでしょう?」
首を可愛らしく傾げこっちを伺う。
耳元で俺がこう囁く。
「お父さんが探してるよ?」
明らかに動揺した態度を見せたが
「な、なんのことですか?お父さんなんて…」
ここで間髪いれずに俺が言う。
「ここに捕まってるの?」
数秒経ってから首を小さく縦に振った田村由里。
「じゃ、お兄さんが助けてあげるから安心しな」
この歳でウィンクなんてシャレにならんが女の子を安心させるには
俺なりにこれが一番だった。
「あー、ボーイさん」
「はい、なんでしょうお客様」
「俺、この子とアフターしたいんだけどいいかな?」
「困りますねえ、ユカはアフター出来ないんですよ。」
「なんで?ユカちゃんはOKしてるけど?」
「店長にきつく言われてまして…」
「店長呼んでくれない?」
「…少々お待ちください」
数分経って店長登場、明らかに店長ってガラじゃないヤクザ風のガッチリした男が出てきた。
「困りますねえ、お客様。規則なんで駄目なんですよ。規則なんで」
睨みを利かせた眼で俺を威嚇する店長らしき男。
「えー、規則なんていいじゃん?三流ヤクザさん。」
場の空気が一瞬にして変わった。
「お客様、ちょっと裏のほうへ…。」
無理やり笑みを浮かべている店長。
「て、店長!」
田村由里が店長を呼ぶ。
「だーいじょうぶ、お兄さんに任せておきなさーい!」
またもウィンクをし店の裏へ連れて行かれた。
「お客さん?どういうおつもりですか?」
店長の顔が先ほどとは別人のような顔で俺に語りかける。
「別に?俺はあの子と夜の街へ遊びに行きたかっただけだけど?」
奥にいたヤクザの子分風の男達がいっせいに出てきて取り囲まれた。
「ウダウダうっせんだよ!どこの組のもんじゃオラァ!?」
そう言った子分Aが俺の脇腹を一発殴る。
「殴ったな?今殴ったよな?」
俺は思わずニヤリとしてしまった。
決してマゾではない。
「あぁ!?だったらなんだっていうんだ!?」
しゃしゃりでてきた子分Bが俺に尋ねる
「正当防衛だ。」
静かに俺が口を開き、さっき持ってきた
未開封シャンパンを頭上に投げ、続きに言葉の引き金を引く。
「弾けろ、酒の爆弾よ」
周囲を取り囲んでいた男達が後ろに吹っ飛び、後ろで構えていた店長の顔が青ざめる。
「貴様、なにもんだ!?」
「なに、しがないただの酒屋だよ、あぁあとお宅の安酒ちょっと質悪くねえ?」
挑発代わりに威嚇してみる。
「チッ!」
店長が後ろのドアを蹴り破り外の非常階段を登った。
俺はそれを追いかけ仕留めようと思った矢先、拳銃を持った男達が前を覆う。
「やっちまえ!」という掛け声と共に一斉に男達は発砲してくる。
こういう状況にはやはり「慣れ」が必要なのだが過去何度も死線を掻い潜った俺には通用しない。
先ほど自動販売機で購入した350mlのミネラルウォーターの
ペットボトルを右ポケットから取り出しそのまま投げこう叫ぶ。
「防げ、水の壁よ!」
ペットボトルが弾け飛び、水の壁が弾幕を防ぐ。そしてそのまま続きの言葉を言う。
「縛れ、水の荒縄よ。」
男達の首を締め付け死なない程度に気絶させる。
(奴は上か、上の階に言ったって事は増援が来ると覚悟しといた方がよさそうだな。)
残りの水は左ポケットに入っている飲みかけの350mlのお茶。(半分くらい入っている)
「こんな事ならもうちょっと買っとくんだったぜ…」
後悔したって始まらないのはいつもの事。
階段を登り待っていたのは何故かガチムチでレスリング着の外人二人。
片方は黒人で片方は白人だった。
「ボブ!ジョン!やっちまいな!」
さっきの店長が大声で叫んだ。
「オーケー、テッチョサン!ギャラギョウサンメグンデクーダサイ!」
片言の日本語を話し黒人の方がいきなり突っ込んでくる。その手にはメリケン。
「ぐ、やべえ二人相手じゃ水が足りねえ!」
あまりこの手の武器は人を傷つけやすいので使用したくなかったが仕方がない。
飲みかけのお茶のペットボトルのフタを開けこう言い放つ。
「抜刀せよ、茶の刀よ!」
ペットボトルから水の刃が出てくる。
が、しかし飲みかけだった為に10cm程度しか伸びなかった。
「これじゃナイフじゃねえか!?」
久々に慌てた。計算が合わなかった。
「ちょっと待て!待ってくれ!頼む!」
必死に止めた。止まってくれたのが奇跡だった。
「テッチョサーン、Whatイッテマスヨー?」
黒人が後ろを向き指示を仰ぐ。
「あぁ?いまさら命乞いなんざ出来ると思ってんのか!?」
顔が鬼のようになってる店長が怒鳴る。
「命乞い?違うな…」
俺は意味ありげに呟いた。
「逃げる為の時間稼ぎだよ!!!」
してやったと思ってしまった。ペットボトルのキャップを閉めるには十分すぎる時間。
「弾けろ!茶の爆弾よ!」
さっきの酒爆弾と同じ原理、即興型水素爆弾で周囲を吹っ飛ばす。
「オオォオオオオオノオオオオオオオウ!!!!」
そう叫びながら黒人は5Fから地上に落下。俺は素早く非常階段を降る。
「自販機!自販機!じはんきいいいいい!!!」
水が無ければただのオッサンと化す俺は全力で階段を降る。
流石にあの人数を水弾(集中して空気中の水を集めて放つ弾)で片付けてたら
いくら集中力があってもたりない。
集団戦では携帯用の飲料水が少ない集中力でとてつもない破壊力を発揮するので重宝している。
地上に降り、無造作に財布から千円札を取り出し
自動販売機から500mlのミネラルウォーターを3本ほど購入。
振り向こうとした瞬間後ろに嫌な気配がした。
【ガッシャーン!!!】
咄嗟に避けた俺には何が振り回されたのかわからなかったが
さっき購入した自動販売機がぶっ潰れてるのはわかった。
避けた拍子に購入したミネラルウォーターを全て落とした。
「チョットオニイサンモウユルサナイヨー!」
先ほど落下した黒人が何やら白いパイプのようなものを振り回していた。
ん?何やら…?
よく見たらそこに刺さってたハズの一時停止の看板、つまり「止まれ」の標識だった。
「なんでそんなもん引っこ抜けるんだよ!!!てか、なんで生きてんだよ!!!」
人間出来る出来ない非常識な奴らが多すぎる気がする。俺を含めてだが…。
「キルユー!」
滅茶苦茶に「止まれ」の標識を振り回す黒人。
周囲は逃げ惑う人々。
(ここじゃ被害が増えちまう…)
そう思った俺はダビデビルに引き返そうと思ったが
ヤクザ共がかけつけてきたので戻るに戻れなかった。
「くっそう、どうする…?」
こういうときこそ己の底力を発揮するものだがそんな都合のいい力など生憎俺は持ち合わせていない。
水弾を作るにも数が多すぎる。ましてやこの状況で瞬時に集中力を高められるほど人間出来てないのだ。
しかし俺は運が悪い方の人間ではないらしい。日常では悪いようには見えるが…。
騒ぎを聞いて駆けつけた警官が「お前達何やってるんだ!」と叫んだ。
たじろぐヤクザ。これは好機!と俺の直感は告げる。
「オラアアア!」
俺はラリアットをしながら階段を登った。にわか仕込みだが多少武道の心得はある。
3,4人いたヤクザ共がまるでドリフのコントのように足を踏み外し階段から転げ落ちていく。
ガチムチのマッチョは警官に任せて俺は5Fを目指す。そう、目指そうとしていた。
「オニイサン!チョットマツヨー!」
…嫌な声が聞こえた。
恐る恐る後ろを振り返ると右手に「止まれ」の標識、左手にはまるで猫を掴むように
さっき叫んでいた警官の首根っこを掴んですごい形相で…。しかもダッシュで追いかけてくるマッチョ。
普通の人間なら逃げるよな。うん。
「うわあああああああああああぁぁぁあああああああああああああ」
叫びながら全力で階段を登った。
こんなに階段を全力でダッシュしたのは小学生の時、確か6年生の時の「マンション鬼ごっこ」以来だ。
4Fまで登った頃だろうか。
必死に逃げてるので階数などいちいち覚えてられない。
非常階段の踊り場で白人マッチョが両腕を組み仁王立ちをしている。
「ココマデネ!オニイサーン!」
白人マッチョの手には何故か「ファフリーズ」
(何故だ…?)
物凄い悪臭を消すのかと、いや今その必要があるのかと様々な考えが一瞬にして頭の中をぐるりと回った。
「クライナサーイ!」
白人マッチョがファフリーズを俺の方に吹きかけてくる。ヤクザの新兵器、とか中は硫酸、とかやっぱり色々と考えられるが
パシュッ!
…いい香りだ。
「オオオオオオオオオオノオオウウウウウウウウウウウウウウ!!!」
白人マッチョが両手で顔を覆い叫びだした。
「コレハニッポンノ「ぴすとる」デハナイノデスカ!?」
「どんな勘違いだよ!!!」
俺は突っ込みも兼ねて白人マッチョに回し蹴りを食らわせ4Fから落とす。
「オオオオオオオオオオ(以下略)」
突き落とした直後。
「ヤットツカマエマシタ!」
さっきの黒人外人が息を切らせながら俺の右足を左手で掴んでいた。
よほど疲れたのか階段を這って登ってきたようだ。
少し焦ったが気になったので聞いてみる。
「あれ?さっき左手で警官持ってなかったっけ君?」
「オモイノデぽい!シマシタ!」
…重いのかよ。
「標識引っこ抜く野郎が人一人で重い!とか言ってんじゃねえよ!!!」
またも突っ込みのように足を思いっきり振り上げ黒人マッチョが咄嗟に手を離す。
「落ちろ!水の弾丸よ!!!」
「オオオ(以下略)」
まさかこんな馬鹿げた感じに厄介な二人を片付けられるとは思わなかった。
いや、片付けたと思うのはよそう。また登ってくるに違いない。
俺は油断しようとした自分に歯止めをかけ、非常階段を再び登った。
非常階段を登り、ヤクザの事務所を蹴破る。
3人ほど下っ端風の男達がドスを構え身構えてたがそんな見え見えな展開俺には到底効かない。
「放て、水の弾丸よ!」
早撃ちはそんなに得意ではないがさっきのガチムチマッチョの二人組みに比べたら
コイツら下っ端は可愛い方だ。
下っ端達の膝が地面に着き、さっきいた店長が軽く舌打ちして部屋の奥へと逃げ込む。
「待ちやがれ!」
まぁそう言っても普通は待たないが自然と言ってしまう台詞ってあるよな?
店長を追って奥の部屋へ駆け込む。
だいたい予想出来る展開だったが考え無しに突っ込んで後悔した。
組長室みたいな十畳ほどの部屋に15~20人ほどのヤクザが
それぞれ危ない武器を持って待ち構えていた。
…お約束の展開だな、おい…。
「よくもやってくれたな!お前はここで…」
【キィーン、ガタン】
心の中で「失礼しました。」と一礼し、無かったことにして扉を閉めた。
【ガタンガタンガダガダガダダ】
「おいいいいい!!!話はまだ終わってねええぞおおおおおお!!!」
必死で扉を開かすまいと踏ん張る俺。
ここで開けたら確実に死ぬ!直感がそう囁いてる。
だが、いつまでもこんな事をしている場合じゃない。
というか俺の体力が持たん!
そう思い、俺は咄嗟に集中力を高める。
この扉は生憎、俺の方から見て開くタイプだ。
そして冷房が効いたこの部屋は水分を溜めるには効率がいい。
うーむ、いい掛け声が思いつかないがこの際仕方がないか。
思った言葉をそのまま口にし扉を封じる膜を造る。
「塞げ!水の膜よ!!!」
水が扉の隙間に入り込み水圧の力で扉をロックする。
ふぅ、これで一安心。
「なんで開かないんだ!おいいい!?」
あたふた慌てるヤクザ達。
今のうちにアレだ、110番と…。
俺は面倒くさいのは嫌いだ。
ヒーローみたくこの場でコイツら全員倒して警察に引き渡すという
自殺行為紛いな事もやりたくない。
最初に入った部屋に固定電話があったので拝借する。
プルルル、プルルル、ピッ
「はい、こちら友近」
やや緊張した声で応答した若き警視。
「よぉスグルちゃんげんきー?」
…ガチャン。
まぁ当然の反応だわな。
プルルル、ピッ
「やりすぎた、反省はしている…」と俺
「何の用だ?専用回線にわざわざかけるなとあれほど…」
不機嫌そうに答える友近警視。
「あー、すまん。ちと新宿のダビデビルで一悶着起こしたわ。近くで外人が暴れてるからわかると思うんだが」
「新宿だと!?城東の管轄ではない。他を当たれ」
電話を切ろうとしているのは受話器越しでもわかるので必死に止めた。
「ちょーっと待った!マジで頼む待ってくれ!」
「で…、何を起こしたんだ?」
不機嫌そうに聞いてくる友近警視。
「ずばり!ヤクザの事務所を襲撃した!」
ブチッ!ツーツーツー…。
あの野郎!切りやがった!切りやがったぞ!!!
相変わらず使おうと思ったときに使えねえ野郎だと落胆する俺。
その時。
非常階段側の扉を蹴破りサブマシンガンを持った警官隊が突入してきた。
「両手を頭に乗せ床へ伏せろ!!!」
おっかないオジサン達が恐持ての声を唸るように出し受話器を握り締めていた俺に言い放つ。
「へ、へるぷみー…」
面倒なので人質のフリをして難を逃れようとしたが問答無用で警官隊数人に床に叩き伏せられた。
俺の人相ってヤクザに見えるのか、おい!?
その後、警官隊とヤクザの激しい攻防戦(俺の水で塞いだ扉のせいだと思う)の末、
ヤクザは逃げ道が無く全員豚箱行きになった。
そして俺はというと…。
何故か歌舞伎町警察署の留置所に拘束されていた。
そして何故か俺の隣にはさっき戦ったガチムチ外人二人が手の平を合わせて枕にし横で爆睡している。
どうやら留置所が満杯らしく相部屋ときた。
「…ふざけんなああああ、こっからだせえええええええ!!!」
遠吠えは空しく眠らない街にかき消されていった。