・第六十五話、寝覚め
草薙失踪事件38
草薙視点
「………。」
身体が重い。
俺は「何か」をしていた。
その「何か」が思い出せない。
暗い、暗い、暗い。
闇の中にいるようだ。
もう何も考えたくない。
「………!」
なんだよ…?静かにしてくれよ。
「……さい!」
なんかもう疲れたんだよ、そっとしといてくれ。
「……、起きてください!」
女性の泣き声に似た悲鳴のような声が耳にぼんやりと入る。
なんだよ、俺に目覚めて欲しいのか?
俺はもうとっくに起きて…。
そう思った次の瞬間、
【バチンッ!】
俺の顔面に強烈な一撃が入る。
「……ってええええな!?何すんだよ!?」
その痛みから微睡みの中にあった俺の意識が覚醒する。
「よかった、起きてくれた…。」
見覚えのない女性が俺の顔を覗き見る。
その顔は散々泣いたのか目元が赤く腫れている。
身体の一部が生暖かい。そして生臭い。
この生臭い臭いはすぐに「血」の臭いだと瞬時に判断した。
「何が一体どうなって…?」
俺は身を起こした瞬間、絶句した。
そして思い出した。
何が起こってて俺がどうしたのか。
目の前には切り刻まれた遺体。
俺は再度目を見開いてしっかりと見た。
俺が倒したハズの「奴」が2匹も音を立てながら遺体を貪っていたのだ。
約1年ぶりの更新です。
不定期になりますが徐々に更新して行きますので宜しくお願い致します。
和都




