・第六十話、悲鳴
草薙失踪事件33
沖田視点
「白子さんもここにいるんですよ…。」
僕がそう言うと草薙さんが一瞬固まる。
「お、おい…、なんで白子がここにいるんだよ!?」
草薙さんは僕の襟元を掴み焦ったように言う。
「ええと、事の成り行きと言いますか、なんと言いますか…。」
僕は正直に話したが一言では説明出来ない。
「今、白子はどこにいるんだよ!?」
草薙さんは僕に尋ねる。
「ええと…、ここが第三区画という事は…。」
僕はこの施設のマップが頭に入ってない僕には答えようがない。
そこで僕は「あっ!?」と思い出す。
「確かそこの所長の実験室とか言う場所です!」
草薙さんに襟元を掴まれた僕は答える。
「この変態野郎の実験室か…、って事は第五区画だな。」
そう言うと草薙さんは僕の襟元を離し、「行くぞ、沖田!」と声をかけてくる。
僕は返事をし、草薙さんの跡を追った。
天井裏から出た時、嫌な匂いが立ち込めた。
これは…、血の匂い!?
そして次々と聞こえる悲鳴。
「草薙さん!」
僕は草薙さんに声をかける。
「ちっ、もう死んでやがる。やっぱさっき取り逃がしたのはまずかったな。」
草薙さんはボロボロになった遺体を調べそう呟く。
「他の人を助けないと!」
僕は草薙さんに提案する。
「他の奴は放っておけ!白子が最優先だ!!!」
草薙さんは僕に告げる。
「っ!?でも…このままでは!?」
確実に犠牲が増える、僕は一警察官としてこの状況を見過ごす訳にはいかない。
「草薙さんは先に行ってください!僕は後から追いかけます!」
僕はそう言って悲鳴の方角へと走った。




