・第五十二話、同行
・草薙失踪事件26
沖田視点
「そこにいるのは誰だ!?」
唐突に後ろから叫び声が聞こえる。
まずい、明らかに散らかしたファイルや書類の数々。
誤魔化しきれるか…?
僕は振り向いて声の主に言い訳を始める。
「いえ、今書類の整理をしてまして…。」
振り向いて声の主の顔を見てハッとなる。
コイツは白子さんに拳銃のようなもので気絶させた奴ではないか。と
職員に指示を出していたところから推測すると上のレベルの職員と推測できる。
「ふむ、見ない顔だな…?どこの所属だ?」
げ、まずい!?
僕は数秒間黙ってしまう。
「どうした?何を黙っている?」
上の人間と思われる男性職員が僕に問いかける。
一気に叩き込んで縛り上げるか。と覚悟を決めようとした時、
男性職員の胸のポケットから携帯電話が鳴る。
「ちょっと待て、電話だ。」
そういうと男性職員は電話に出て「私だ…。」と言うと
「何!?」やら「馬鹿な!?」という単語が聞こえる。
「わかった、私もすぐに向かう。」
そう言い終わえると男性職員は電話を切り僕に言う。
「おい、貴様!」
明らかに怒り狂った目をしているのがわかる。
「は、はい!」
僕は慌てて返事をする。
「例のサンプルが逃げ出した!貴様も一緒に来い!」
そう男性職員に言われ、「例のサンプル」とやらを
捕まえに同行させられる事となった。




