・第四十八話、救出
・草薙失踪事件22
沖田視点
職員二人が一人の男の指示で白子さんをどこかへ移動させるようだ。
僕は物陰からこっそり跡を追う事にした。
指示をした男はすぐに立ち去り職員二人が「よいしょ」と白子さんを運び出す。
いくつもカードキーを差し厳重にロックされた扉を開けていく職員。
勿論、僕も扉が閉じる前に例の如く、
足を扉に挟んで扉が閉まるのを防ぎ中へ侵入する。
「えーっと、暗証番号は…。」
最後の部屋だと思われる場所はカードキーと共に暗証番号、
そして指紋で扉を開けるらしい。
うまく僕も後ろからこっそり侵入して素早く入口近くにあった
ダンボールの影に隠れる。
「ん?ドア開けたままだぞ?」
一人の職員が扉が半開きになってる事に気づく。
しまった、閉めてなかった!?
このままだと僕の位置はすぐバレてしまう。
幸い、ダンボールの中身は空っぽで人一人入れそうなくらいの
大きさだったのでダンボールを咄嗟にかぶる。
「おいおい、ちゃんとドア締めとけよな。」
「二人がかりで運んでるんだから無理言うなよ。」
職員二人の会話が聞こえる。
どうやらうまくやり過ごせたらしい。
白子さんは手術代のベッドのような上に寝かされた状態だ。
見たところ意識はまったくないと見える。
さて、ここから職員が出て行ってくれる事を願うが…。
「なぁ、この子結構可愛いよな…。」
職員一人が不穏な言葉を口にする。
「おい馬鹿、やめとけ!所長に怒られるぞ!?」
もう一人の職員が止めるように言う。
「いや、バレなきゃ平気さ。ちょっとぐらい悪戯してもバレやしねえって…。」
そう言うと職員は白子さんの太腿をなでるように触る。
「ううむ、ちょっとだけだぞ、まぁ俺も少し味見しようかな…。」
止める気だった職員も何やら乗り気になってきたようである。
くっ、まずいな…。
流石にこのまま刑事として見過ごす訳にはいかない!
僕は白子さんに注意が逸れている男性職員に背後から近づき
一人を素早く首に腕を回し床に押さえつける。
「がっ!?」
声にならない声で一瞬にして意識を奪う。
「なんだ!?」
完全に油断していたもう一人の職員に対し僕は素早く懐に張り込み
アゴに重い一撃を放ち、倒れた所に首を絞め気絶させる。
ふぅ…。
間一髪だった。
僕は白子さんに駆け寄り安否を確認する。
息遣いは正常、脈もありっと…。
どうやら気絶させられてるだけのようだ。
という事はあの指示していた男が持っていた拳銃らしき物は
麻酔銃か電気ショックで気絶させるテーザー銃か…。
僕は考えをまとめたがこうしてはいられない。
「白子さん起きてください!」
僕は白子さんに向かって声をかけた。




