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・第四十五話、独り
・草薙失踪事件19
沖田視点
まずい!?
階段から足音がコツコツと聞こえてくる。
僕は白子さんの手を引っ張り階段下に抱える形で隠れ込む。
「ちょ、沖田さ…、モゴッ。」
僕は白子さんの口を塞ぎ気配を消す。
足音は二人組のようで話し声が聞こえる。
「おい、あの白髪頭の野郎。不思議な力を持ってて何かの実験台にするらしいぞ。」
コツコツ…。
「へぇ、不思議な力ねえ、どんな力だ?」
コツコツ…。
「さぁ?俺も上司が話してるのを聞いただけで詳しいことは知らないんだ。」
そして二人組はカードキーを差し込み、ドアを開ける。
白衣姿の二人組を見てここは何かの研究所なのかと考えた。
今だ!
僕はドアが閉まる直前、ドアの間に足を挟みドアが閉まるのを阻止する。
二人組の科学者らしき男が立ち去るまで
少し間を置いてドアを開け顔だけ出して周囲を見渡す。
周囲に人影は無く僕と白子さんはドアから出る。
「白髪頭って…、草薙さんの事ですよね。」
僕は後ろにいる白子さんに話す。
あれ?返事が帰ってこないぞ…。
ふっと後ろを向くと白子さんの姿は無く僕一人になっていた。




