・第四十三話、クリフォト2
・草薙失踪事件17
沖田視点
ふわぁあ…。
僕は大きな欠伸をする。
連日の徹夜で疲れが溜まっていたのだ。
そういえば、僕は連続通り魔事件を担当していたんだった。
聞き込みと独自の調査で通り魔が一貫性の考えで動いてる事を掴み、
ここ、住吉に犯人が潜んでいると推測した。
そして、遂に犯人の潜伏先と思われる古ぼけたアパートを発見する。
通り魔の全指揮権は捜査一課にあり我々、特殊班はただのサポートだ。
しかし、情報がまだ不確定なので応援要請は出来ない。
踏み込む前に上司に報告しといた方がいいんじゃないかっと思ったが
上司の名前が出てこない。
あれ…?
おかしいな?
まぁいい、いざとなったら無線で応援を呼ぼう。
僕はそう思い、アパートをひとつひとつチャイムを鳴らし確かめる。
一階からチャイムを鳴らし訪ねるが昼間だけあってか留守が多いようだ。
「うーむ、一階は全滅と…。」
そして二階に上がり201号室からチャイムを鳴らす。
数秒経ちガチャっとドアを開け「どちら様ですか?」と答えられる。
「すいません、こういう者ですが…。」
と僕は言い顔がぼやける住人に警察手帳を見せ聞き込みを開始する。
「このアパートで何か異変とかありませんでしたか?」
僕はこのアパートで初めての聞き込みに少し緊張する。
そして顔のぼやける住人が言う。
「そうねえ、隣の部屋の人が結構頭がおかしいって有名なのよ。」
これはビンゴっと思い、僕は「ご協力感謝します。」と言い
202号室へと行く。
そして深呼吸し、202号室のチャイムを鳴らす。
………。
誰も出てこない、留守か?
ドア越しに耳を澄ますと微かだが人の呻き声のような声が聞こえる。
これはまずい!?
僕はそう思い、ドアを蹴破ろうとするがなかなかドアは蹴破れない。
仕方ない、裏の庭の窓から中に入るしかない!
僕は応援を呼ぶ事を忘れ、配管に足をかけ、
一気に202号室のベランダにしがみつく。
そしてベランダの中に入り、窓ガラスを足で割り部屋の中に侵入する。
窓ガラスを割り中へ入ると顔のぼやける女性が縛られていた。
「今、助けますから!」
僕は顔のない女性の縛られたロープを解こうとする。
しかし、ロープの紐は頑丈に縛られており中々解けない。
「………た、さん。」
なんだ?無線か?今忙しいので後にしてくれ…。
今はこの紐を…。
「……き、た、さん。」
ああ、もう頭の中にダイレクトに流し込まれるような声がうざったい。
そして正面のアパートのドアからカチャカチャという音が聞こえる。
まずい!?家主が帰ってきたのか!!!
僕は身構えすぐに飛びかかれるような体勢を取る。
「…お、き、た、さん!」
ああ、もう何なんださっきから!?
頭の中で叫ぶのはやめてくれ、それより今は…。
そう思っていたら何もしていないのに頬が痛む。
なに…?
何か叩かれたような…?
【バチンッ】
確かに音が聞こえた。そして、
「沖田さん!!!」
目を覚ますとそこには涙目になった白子さんがいた。
「あれ、僕はいったい…?」
今まで何をしていたんだろう、記憶が混乱している。
「よかった、気がついたんですね!」
ガシッと抱きつかれてまだ周囲の状況が把握出来ない。
僕はいったい何をしていたんだ…?




