・第四十一話、鳥居
・草薙失踪事件15
沖田視点
「走りますよ、白子さん!」
僕は白子さんに叫び走り出す。
いつまでもここにいると食人鬼達のエサになってしまう。
そう思い、先ほど老人に教えてもらった神社を目指し走る。
まっすぐ走っていくと古いびた建物が見えてきた。
あれが老人の言っていた神社か。
ならばあの入り口に鳥居があるハズ。
僕はそう考え神社の近くまで走るが
神社のふもとに着き周囲を見渡す。
「鳥居が…ない!?」
そんなまさか!?と思い神社をくぐり境内へと移動してみる。
境内の中には古びた本堂があり扉を開けてみる。
「沖田さん、あれ!」
白子さんが僕にそう言うと小さな鳥居が本堂の中にあり
ここから老人の言ってた【קליפה】に行けるのだな。
多分普通の人には聞き取れない言葉だ。
本当に自分が特殊班でこういう予備知識だけはあって助かった。
つまり【קליפה】とは訳すと「クリフォト」
現世と幽界の狭間を通って
次元を抜けるという荒事をしなければならない。
魔術的補助や何も魔具を持たない僕達には
大変危険で未知の領域だが先を行った草薙さんも同じ事。
尚且つ後ろは食人鬼の集団、これは覚悟を決めて飛び込むしかない!
「白子さん、行きますよ!」
僕は声をかけて白子さんの掌を掴む。
「はいっ!」
白子さんがそう言って僕が頷き小さな鳥居をくぐったのであった。




