・第三十九話、霧
・草薙失踪事件13
沖田視点
「ここは…、墓場?」
僕は周囲を見渡しそう判断する。
昼間だというのに霧が漂い、奥があまり見渡せない。
だがこの墓地は広い、どこかの霊園のような感じであった。
「白子さん、もう僕にあまりくっつかなくていいですよ。」
僕はそう白子さんに告げる。
「は、はいっ!?」
おっかなびっくりしてる白子さんは僕からパッと離れる。
「とにかく、ここから出ましょう…。」
深い霧の中、僕は白子さんに言う。
「ここどこなんですかね?」
白子さんが僕に尋ねて来るが僕もわからない。
「さぁ…?僕もちょっとわかりませんね…。」
尋ねる白子さんに僕が答える。
深い霧の中、太陽が差し込み一点だけ遠くの建物が見えた。
見えた先は亀戸にある「ルナストリート」と呼ばれるショッピングモールだ。
「ここは恐らく、亀戸ですね。」
「地下を抜けてる最中に歩いて来てしまったようです。」
僕が状況を分析して白子さんに伝える。
「あー、確かに学校帰りによく寄るショッピングモールが見えますね。」
白子さんもそれに気づいたように言う。
さて、出口を探さないと…。
僕がきょろきょろと周囲を警戒しながら進んでいると、
墓地の墓石が【ゴゴッ】と動いた気がした。
あれ…、そんなハズは…?
眼鏡を外しゴシゴシと目をこすって墓石を見る。
うん、動いてますね、あれは…。
そう思っていると墓石の下からぐっと【ナニか】が出てくる。
げ、また食人鬼か!?
僕はそう思い銃を構え咄嗟に発砲する。
【ダダッダダッ】
指切りでMP5を発射し【ナニか】に当たり動かなくなる。
姿を確認するとやはり食人鬼であった。
なんでこんな所に白昼堂々と食人鬼が出るんだ?
この霧と関係しているのか…?
様々な要因を考えていると白子さんが叫ぶ。
「沖田さん、あれ!!!」
指を指す白子さんの先には人影が霧に包まれて佇んでいた。




