・第三十六話、屍
・草薙失踪事件10
沖田視点
「ぐちゃぐちゃぐちゃ…。」
それは先ほど銃声を放った主に対し【ナニか】が行動を行ってる音。
(ぐっ!?)
僕は一瞬声に出しそうになったが声を殺す。
あれは…、食べているのか…!?
明らかに屈んだ状態で動かぬ屍を貪っている。
これは僕の手に負えるレベルじゃない。
そう判断し引き返そうとした時、
後方から悲鳴が聞こえる。
この悲鳴は…、誰かついてきたのか!?
咄嗟にそう判断したのは束の間
【ナニか】が悲鳴の方向へ凄いスピードで走り抜けていく。
僕は物陰に隠れてたお陰で気づかれずに済んだがまずい。非常にまずい。
くっ間に合うか!?
僕も走り出し、悲鳴の方向へ向かう。
悲鳴の現場に着いた時、悲鳴の主と【ナニか】がまさに対峙していた。
僕は横から飛び出したような感じになり咄嗟に【ナニか】に向かって
MP5でフルオート射撃を行う。
【ダダダダダダダダッ】
射撃を行ったが【ナニか】は瞬時に交わし
階段の手すりに足をかけ僕と悲鳴の主に向かって殺気を放つ。
「白子さん何故追ってきたんですか!?」
僕は悲鳴の主に対し叱るように声を出す。
「だって…。」
言い訳を言おうとしている悲鳴の主は腰を抜かしたのか座り込んでいる。
本当にこのままではまずい。
まず、僕はこの状況で短く分析する。
二本足で立っているようだが前かがみで所々カビで覆われている。
体の表面はゴムのような不愉快な感じのまるで生き物では無い生き物。
これは特殊班で研究データに載っていた「食人鬼」と類似している。
戦闘力はさほど人間と変わりはしないはずだが
この食人鬼はとても素早い。
殺られる前に殺る!
そう思い僕は食人鬼に対し発砲を行う。
指きりで【ダダッダダッ】と発砲するが素早く避けられてしまう。
「くっ!?」
弾を打ち切り、素早く空のマガジンから予備マガジンへと銃に装填する。
「キシャッー!!!」
食人鬼が僕に向かって飛び掛ってくる。
「調子に乗るな、このっ!?」
僕は素早くMP5のストックで飛び掛ってくる食人鬼を
下に叩き落とし足元で銃弾を打ち込む。
【ダダダダダダッ】
打ち込み終わり食人鬼は動かぬ屍と化しその場は何とか収めた。
それより…
「白子さん何故追ってきたんですか!?」
僕は白子さんに再度きつく叱るように言う。
ビクッとした白子さんは静かに答える。
「喜助さんが…、心配で…。」
その一言以外話さず無言になる。
「とにかく、僕も一緒に戻りますから地上に戻りますよ。」
ムスッとしたように僕は白子さんに言うがその時。
戻ろうとしたトンネルの方から足音が聞こえた。




