・第三十五話、銃声
・草薙失踪事件9
沖田視点
僕は慎重に一歩ずつ進む。
先ほどの米兵の他に別の分隊が来てるかもしれない。
二人だけでここに来るのは間違いなく無いと言える。
地下鉄のトンネルだけあって周りが暗い。
何が起きてもおかしくない。
一歩ずつ進んでいると遠くから銃声が聞こえた。
!?
僕はその銃声を確認する為、足を速めた。
…どうやら銃声はこの奥から聞こえたようだ。
この奥とはトンネル内にあった連絡通路、
恐らく地上のどこかと繋がっているのであろう。
連絡通路の扉を開けようとすると凄い異臭がする。
ますます嫌な予感がする。
だが、ここで引き返すわけには行かない。
刑事の勘でここで米兵と【ナニか】がやりあっているのは明らか。
そっと扉を開け周囲を見渡す。
「…ぐっ!?」
思わず声に出してしまった。
非常に臭く匂いを撒き散らしていたその【ナニか】の死体。
…人間ではない。瞬時に判断する沖田。
そしてまたひとつふたつ銃声が奥で聞こえる。
確かめる為、僕はまた足を早める。
米兵のベストをくすねてきて僕の武器はMP5と弾倉が三本。
それこそアサルトライフルが相手だったら歯が立たない。
そして、僕は銃声のあった場所を覗き込むと悍ましい光景を見る事となった。




