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草薙裏探偵事務所  作者: 和都
「草薙失踪事件」
33/70

・第三十話、白子を追って

・草薙失踪事件4

沖田視点

「中川さん!彼女のあと追いますよ!」

僕は中川さんに声をかけ乗ってきた所轄の車に乗り込んだ。


これは危険だ、僕の直感がそう囁く。


「相手は原付、車なら追いつきます!」

僕は中川さんが助手席に座ったのを確認したあとアクセルを吹かす。


しかし、


「沖田さん、結構渋滞してますね…。」

中川さんが道路の状況を僕に伝える。


「ええ、相手は原付。すり抜けしたら圧倒的にあっちが早いですよね…。」


「さっきと言ってること違ってません?」

中川さんに突っ込まれて何も言えない。


仕方ない!


僕は窓を開け、車の上に緊急車両用のパトランプを取り付けサイレンを鳴らす。


「これならいけます!」

辺りの車は僕の車両を避ける。


「沖田さんも結構無茶しますね!」

中川さんほどじゃないと思う、と思ったが口に出さないでおく。


ようやく、目当ての雑居ビルの付近に到着し

白子さんが乗っていた原付が路駐してあるのを見つける。


「まずいですね…、この分だともう中に入っちゃってますね…。」

僕が状況を中川さんに伝える。


「ええ、急いだほうが良さそうですね。」

中川さんも焦りを感じてるのか車を降りる気満々である。


仕方ない、本来コインパーキングに止めておきたいところだが

ここはひとつ路駐して僕達も踏み込むしかない。


「中川さん、脇に路駐して中に入ります。」

「中川さんは車の中で待っていてください。駐禁取られるのが嫌なんで…。」

率直な感想を述べる。警察官が駐禁とられるとか上司の友近警視に知られたら

どんな愚痴を聞かされるかわかったものじゃない。


「いえ、ここは沖田さんの職権をフルに活用するべきです!」

あぁ、そういえばこの人は何を言ってもダメな人だったんだと思い出す。


「わかりました…。ですが僕から極力離れないようにしてください。」

そして続けて注意事項を言う。


「あとカメラや機材は置いてってください。それが条件です。」

流石にジャーナリストとして現場を荒らされたらたまったものじゃない。


雑居ビルに入ると清掃をしているおばさんを見つける。


「すいません、今高校生くらいの女の子見ませんでしたか?」

こういう者です。と僕は警察手帳を見せつける。


「え、あ…。確かエレベーターに乗りましたけど…。」

おばさんが戸惑ったように言う。


「何階に行ったかまでは覚えてませんよね?」

ダメ元で聞いてみる。


「確か…、ですけど地下に向かったと思います。」

「何やら黒いスーツの方が地下に向かったのを見たのかエレベーターでは地下方面だったかと…。」

おばさんが自信なさげに証言する。


黒いスーツ…。完全に嫌な予感しかしない。


「有難うございます。」

僕はおばさんに礼を言うとエレベーターで地下に向かった。


エレベーターに入ると地下一階までしかないようなので地下一階のボタンを押す。


まさかこんな状況になるとは思っていなかったので

持ってきたのは警察手帳と手錠だけ。


「これって下手したら戦闘になりますよね…?」

勘が鋭い中川さんが僕に尋ねる。


「ええ、覚悟だけはしといてください。」

僕がそう告げると中川さんが自衛用のスタンガンをハンドバックから取り出した。


僕も拳銃くらい所持するべきだったとのちに後悔するのである。


地下一階に着いた時、地下一階は駐車スペースとなっており

車が何台か停まっている。


「人の気配はありませんね…。」

注意深く僕は周りの状況を把握する。


「でも、気は抜けませんね。」

そう言う中川さんは右手にスタンガンを装備し

いつでも戦闘できるように構えていた。


ある程度、進むと【非常出口】と書かれた看板が目に入る。

扉が半開きになっている事からここから侵入した可能性は非常に高い。


僕は慎重に【非常出口】の扉を開け、周囲を見渡す。

見るからに地下空洞、そんなように感じた。


明かりがほとんどない。しかしこちらで明かりを灯せば

いきなり敵に発見されかねない。


慎重に前に進むと途中で白子に遭遇する。


「やっと見つけましたよ!随分とまぁ心配させてくれましたね…。」

僕が白子さんに説教をしようとした時、


「眼鏡の沖田さん。この扉あかないんですけどあけられます?」

見るからに古い形状の鉄の扉、蹴破ることは出来そうにない。


「こういう分野は草薙さんが得意なんですが…。」

渋々、僕が言う。


「ここは私に任せてください!」

そう中川さんは言うと何やらゴソゴソとツールキットを取り出してきた。


「…今回は黙認します。」

とにかく今はその黒いスーツの奴を追うのが先決だ。


「ここをこうして…、OK開きました!」

プロの技と思わせる匠の技を中川さんは屈指し扉を開ける。


開けた扉の先には路線、つまり地下鉄が走る線路になっていた。



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