・第二十三話、結果
・錦糸町時空事変編5
俺の意識が一瞬飛んだ後、俺は膝を地につけまいと踏ん張った。
俺がここで倒れたらミツキが死ぬ!
ただでさえ未来を変えようともがいているのに
ここで俺が気を失ったら全てがまた同じ事、
下手すればそれよりも酷い結末になってしまう。
「くっ!」
踏ん張る俺。
「ほう、この電撃に耐えられるか。」
男は俺に再度電撃を食らわす為、地に手をつけようとする。
それを見て俺は横に飛ぶ。
「感づいたか…。なかなかいい勘だ。」
常人なら何をやられたかわからないだろうが俺には未来の知識がある。
対能力者戦の心得くらいは熟知している。
この男の能力は「電撃」どういうカラクリかはわからんが
電気を伝うもの、そう水とかそういう類に触れてなければ
遠距離の攻撃は怖くない。
だが、しかし男は素早くこっちに突っ込んでくる。
「放て!水の弾丸!!!」
俺は素早く3発連射するが素手で受け止められてしまう。
おいおい、銃弾くらいのスピードはあるこの弾丸を止めるのかよ…。
そして俺は自身の違和感に気づく。
この体は大して鍛えられてない当時の17歳の俺の体だ。
そんな体にこんな負荷のかかる技を連発して使うものではなかった。
水から血が出ており、内出血のような感じで血が広がっていた。
これは長くは持たない。持ってあと一発限り…!
苦虫を噛み潰したような顔をするのが自分自身わかる。
だが、やらねば!
男は突進して俺に拳を振り下ろす。
まずい!?
「守れ、水の…」
駄目だ、間に合わない!
俺が覚悟を決めた瞬間。
パスッと何か小さな音がした。
小さな音がした瞬間、男は倒れた。
その視線の先には先ほど撃たれて意識を失っていたはずのミツキが
左目を手で目を抑えながら「M1911」で男に銃弾を放ったのだった。
「師匠!!!」
俺はミツキにかけよる。
「すまないね、喜助君。ちょっと救急車呼んでくれるかな…。」
「大騒ぎになったら警視庁のこの人に頼って…。」
そう言うとミツキは「高見沢健吾」という男の名刺を俺に渡し意識を失った。
くそ、何も変えられなかったじゃないか!
淡い期待を抱いた俺が馬鹿だった。
だが、まだ沙希からの依頼が終わってない。
魔道書を探さねば…。
俺は救急車を呼ぶ前ミツキに応急処置を施し、小型トラックの中を漁る。
だが、それもかなりの数があってようやく目当ての魔道書を見つける。
手に取ると不思議な感覚がした。
不思議といっても嫌悪感の方が酷く強い。
これ、本当に本なのか…?
開くことは出来ない。黄ばんだ人の皮のようなもので出来た魔道書。
まぁいい、無駄な詮索せずに燃やしてしまおう。
持ってきてたガソリンを魔道書にまきライターで火をつける。
そして癖のようにポケットを漁り煙草を取り出そうとするが
あぁ、俺は今、未成年だったんだったな…。と煙草を持ってない事に気づく。
魔道書を燃やしている最中に119番してミツキの容態を再度見る。
応急処置はしておいたがこれはやっぱり左目は…。
そう思うが諦めきれない。
俺は未来を変えるためミツキの懐に一通の封筒を入れた。
事前に書いた、ただの悪あがきだ。
これでもし、ミツキが未来で…。
魔道書を燃やし終わった瞬間。
「ご苦労」
確かにその言葉が聞こえて俺の意識が暗闇へと吸い込まれていった。




